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中国人が会社を辞めたがる3つの理由

昨日のマガジンでは、日本人にとっての会社という観点から、日本には「やめたくてもやめられない」人がなぜいるのかということを、自分なりに論じてみました。

その中で中国人の仕事についても少し触れたのですが、今日はその部分について掘り下げてみたいと思います。

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中国においては、いつかは勤め人をやめ、自分の仕事を持というという志向の人が多いです。少なくとも、「会社員として勤め上げる」ことにはあまり価値を感じていない、とは言えると思います。

データで見てみると、日本の雇用における自営業者(self-employed)の割合が9.7%であるのに対し、中国ではなんと45.8%です(数字、画像はともにworldbank.orgより)。

基準が揃っていない可能性もありますが(たとえば日本で言う派遣労働の人が個人事業主に数えられている可能性がある)、この数字からも中国の人々は仕事に関して日本よりも「雇われ」であることを圧倒的に嫌っていると考えていいでしょう。

周囲で会社勤めをしている人を見ても、いつかは独立して自分の商売を持つことを目標にしていたり、すでになんらかの事業を持っていたりする人がかなり多いです。会社員としての自分は「仮」の自分であり、その立場を重要視していません。

では、なぜ中国の人々はこのようなマインドになりがちなのでしょうか。そこには、3つの理由があるように思います。

①投資家的である

中国の人々は、何をするにしても投資家的に物事を考えます。

仕事のことで言うと、「どんな仕事をするか」という価値の創出や向上よりも、「どこで仕事をするか」という価値の移動や、「自分の仕事を高く買ってくれるのは誰か」という、リソースの投入に対してどのようなリターンが得られるかということに大きな関心を持ちます。

その意味で、たとえば1日8時間の労働に対して固定の給料しか得られない会社員という立場は、得るものが少なく、レバレッジもかけられない、あまりにも効率の悪い投資対象なわけです。そんなことに自分の時間を投資し続けるのは無駄だ、とみんな判断しています。

投資のタネ銭や人脈を作るために雇われの仕事をする必要があったとしても、それはいつまでも続けるようなものではない、というのが労働者としての中国の人々の中心的な価値観です。

②労働者の立場が弱い

次に、中国では労働者が弱く不安定な立場にあることも、人々が早めに「雇われ」を離れなければいけないと思う理由の一つでしょう。

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