中国の人口問題について、ぼんやり見えている2つのシナリオ+α

中国で人口減少が始まったことが大きなニュースになっています。

出生率が急激に低下していることは以前からも言われており、たとえば国連の推計では去年の時点で人口減少が指摘されていました。ただ今回は中国政府による公式発表でそれが明らかにされたことが大きな点です。

今後はインドが人口で中国を上回り、長らく続いた「世界で人口が一番多い国」という肩書きを譲ることになりそうだということも含めて、時代の変わり目が来ています。

人口減少によって、すでに深刻になっている労働力不足や人件費の高騰に拍車がかかることや、将来における社会保障体制の崩壊など、これからの中国ではさまざまな問題が露呈してくることになると考えられています。

なかでもとりわけ深刻そうなのは、「2035年問題」です。2035年には高齢者(60歳以上)の割合が20%を超えると同時に、年金財政が赤字に転じると言われており、その赤字分を何らかの形で補填しなければならなくなります。少なくともわずか12年先には、現役世代の負担が相当に重くなることがすでに見えています。

2035年に待ち受ける苦難を一時的に乗り切れたとして、それから先の将来においても重い負担が続くことを回避するためには、一刻も早い出生率の増加が求められますが、その目処は立っていません。

僕は人口問題や経済について専門的な知識がないので、この先のことを予測するための基礎を持ち合わせていません。なので、これから先中国が経済や社会の面でどうなるのか、どういうことが起きるのかということについては、あまりしっかりとしたものは書けないと考えています。

ただ、中国という国それ自身を多少なりとも知るものとしては、少子高齢化という問題そのものについてどういう対応をしていくのかということについては、ぼんやりとした予想を述べることはできます。整理すると、中国にはおおむね2つの道があり、そのどちらかを選択をしていくことになるのではないかと思っています。

今日はその2つのシナリオについて書いていきます。

シナリオ①:そのままずるずると進んでいく

まず現実的なルートとして考えられるのは、中国も日本など多くの先進国と同じく抜本的な対策を見出せずに少子化が進んでいき、それに伴う問題も大きくなってどうしようもなくなる、というものです。

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