見出し画像

語学力は、バイキルトのようなもの

華村と申します。好きなドラクエの呪文はレミラーマです。何でもないところが光った時の快感がたまりません。

ドラクエを知っている人には出オチであり、ドラクエを知らない人には意味不明のタイトルにも関わらず、クリックなりタップなりして見に来ていただいたことに謝意を表します。

知らない人のために補足しておくと、「バイキルト」とはドラゴンクエストシリーズに登場する魔法で「戦闘の際、攻撃力を2倍にする」効果があると覚えていただければ、以降の文章を読むのに差し支えないかと思います。

この記事ではいちおう外国に住み普段から外国語で生活している人間として、「語学力」のとらえ方について思うところをドラクエに例えながら述べていきたいと思います。

母国語能力が高ければ高いほどいい

バイキルトは対象者の攻撃力を2倍にします。つまり元の攻撃力が高ければ高いほど、その効果も強いことになります。

元の攻撃力が25ポイントしかなければバイキルトがあっても攻撃力は50ポイントにしかなりませが、元が100ポイントであればバイキルト後は200ポイントです。伸び率は同じですが、伸び量がより大きくなることがわかります。

語学における「元の攻撃力」とは、「母国語力」であると考えます。日本人であれば、日本語の能力です。外国語能力を活かすためには、同時に母語の能力を磨く必要があります。

どんなに外国語を勉強しても、自分の母語の能力の範囲を超えて使いこなすことはできません。母語で知らない語彙や概念は外国語でも理解しようがありませんし、母語で表現できる以上のことを外国語で表現できるようにもなりません。

逆に母語が豊かであれば、外国語を解釈するにも表現するにも選択肢が増えることになります。

具体例を出すと、「安排(ānpái)」という中国語があります。直接的には「手配する」くらいの意味なのですが、実際にはもっと広範な意味で使われています。

これを「処理する」「段取りをする」「スケジュールを立てる」「よきにはからう」などの母語と結びつけることができれば、「安排」の意味を多様に解釈できるようになりますし、自分の言いたいことを落とし込む(いろいろな概念を「安排」でアウトプットできる)のも簡単になります。

僕は中国語を学び始めてから自分の日本語力の低さに気づき、自分の言いたいことが日本語でも中国語でも出てこずに会話中に思考がスタックしてしまうことがよくありました。慌てて本をたくさん読んだりして、今も日本語力の向上につとめています。

外国語を学んでいる人は、同時に母語の能力を鍛えることを忘れないようにしてほしいと思います。母語能力を、外国語というバイキルトでブーストしていきましょう。

習得にかかるコストが高い

バイキルトを覚えるためには、魔法使いに転職したうえで経験値を稼ぎレベルを上げてやる必要があります。バイキルトを覚える前に魔法使いをやめてしまったら、そこまでにかけた時間は無駄になるかもしれません。

語学は、ごく一部の要領のいい人を除いては、ある程度使いこなせるようになるまでに時間やコストのかかるスキルです。習得までにつぎ込むリソースは大きなものになりますし、素質や学習の進め方によっては努力が実らない可能性もあります。

僕は中国に来てから中国語の勉強を始め、いろいろ恥ずかしい思いなどもしながら仕事で使い物になるレベルまでだいたい2年かかりました。

僕の素質が低く大して努力もしていないのは脇に置いたとしても、移住して中国語を使わざるを得ない環境に放り込まれても2年ですので、座学や語学教室だけではもっと時間がかかっていたことでしょう。実際、僕自身英語も勉強しているんですが必要に迫られていないせいかちっとも上達しません。

語学の学習にかける時間やコストを埋没費用にしてしまわないよう、学習のやり方を絶えず考え、目的意識を持って語学力の獲得に励んで下さい。

あくまで、数あるスキルの中の一つ

ドラクエのパラメータには、攻撃力以外の要素もたくさんあります。守備力、賢さ、運の良さ、HP、MPなどいろいろです。

呪文にもバイキルトのような補助呪文だけでなく、メラミやバギクロスのような相手に直接ダメージを与える攻撃呪文や、ホイミやベホマラーのようにHPを回復するための呪文など、さまざまな種類があります。

いくら攻撃力が高く、バイキルトでそれを増幅できたとしても、物理攻撃がそもそも通じないモンスター相手には太刀打ちできません。

他にも、相手の攻撃力が非常に高い場合などは、防御力を上げたり回復呪文で適宜リカバーするなどの対応ができなければ、すぐに負けてしまうかもしれません。

高い攻撃力とバイキルトだけでは、冒険は前に進みません。語学力もこれと似ていて、手持ちのスキルが語学力だけでは、切り開ける状況は限られてしまいます。

人生を切り開くためのスキルや能力にも様々なものがあります。専門知識や技術、頭の回転の速さ、手先の器用さ、体力、コミュ二ケーション力、人脈、笑顔、押しの強さ…というように、無数に考えられます。語学力はあくまで、その中の一つでしかありません。

また前述のように、語学力はそんなスキルの中でも習得にコストのかかるものです。つまり語学を習得しようとするときには、他のスキルの習得にかけられるリソースが減ると言う意味でもあります。ドラクエで言えば魔法使いとして経験を積んでいる間は、戦士や僧侶としての能力は身につかないのと似ています。

自分の強みは何か、そして強みを最大化できるスキルは何なのか、絶えず考えておきましょう。ひょっとしたら、それは語学力とは別のところにあるかもしれません。

とはいえ、使えると便利だし世界は広がる

ネガっぽい文章ををグチグチと書いている矢先、こんなツイートが目に飛び込んで来ました。

相互フォローさせていただいているまめさん(@chuzaiina)のツイートでした。まめさんは中国駐在の商社マンで、普段のツイートやこちらの記事からも見て取れるように、非常に前向きな人格者で実務能力にも長けたお方と推察されます。ドラクエで例えるなら勇者と言っていいと思います。

勇者の言うことに乗っかるわけではないのですが、確かに語学ができることによって損はありません。行ける場所も、体験できるシチュエーションも格段に増えます。習得にコストがかかる分、使いこなせれば大きく身を助けるスキルであることは間違いないと思います。

逆にバイキルトさえ使えるようになれば=語学さえできれば環境を大きく変えてジャンプアップできる人は、日本人にこそ多いかと思います。自分が日本人であることの贔屓目もあるでしょうが、海外にいていろんな国の人と仕事していると、日本人はやはり真面目で信頼できる仕事をしてくれる印象が強いです。

語学力を身につけて、世界中で冒険できる日本人が増えることを願って止みません。

最後に:ドラクエガチ勢への免責事項

無理やりドラクエを使った雑な例えで暴論を展開してきました。はたしてドラクエを入れ込む必要があったのかは甚だ疑問ですが、言いたいことが言えたので満足しています。

ここまで散々ドラクエを引き合いに出しておいてアレなんですが、僕はドラクエ8までしか知らず、最近流行っているっぽい「ドラクエウォーク」がいったい何なのかわかっていない程度の薄いドラクエファンです。上記してきたドラクエの例えは、細部に誤りを含んでいることが予想されます。

・バイキルト使用時のダメージ計算式は実際には攻撃力を2倍しているのではなく与えるダメージを2倍にしているだけなので、この例えは不適切
・ドラクエ3と6以外のシリーズには転職システムがないからそもそも全員がバイキルトを覚えることはできない
・『ファイトいっぱつ』や『たたかいのドラム』があればバイキルトを覚えていなくても同様の効果が得られるので問題ない
・バイキルトが使えるビアンカは俺の嫁  
・は?嫁はフローラに決まってんだろボケが。やんのか?

などのドラクエガチ勢によるクレームは一切受け付けておりませんのでご了承ください。ちなみに僕は何回やってもビアンカを選んでしまう派です。

お読みいただきありがとうございました。

いただいたサポートは貴重な日本円収入として、日本経済に還元する所存です。