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中国(大陸)人の嫁と、台湾について話したことの記録

先日、中国(大陸)人の嫁と、台湾について少し話し込みました。

これだけ書くとなんということはないのですが、台湾のことは大陸の中国人にとっては一種のタブーのような扱いとなっており、まともな議論が成り立つことのほうが少ない話題です。中国で暮らす在中邦人の中には、たとえ配偶者・近親者であっても台湾のことは話題に出さないという場合も少なくありません。

そんななかで、嫁と「普通に」話ができたことはちょっと貴重だと思っています。大陸の人が、自分の言葉で台湾について語ってくれたのは非常に意味があることだと思い、その一部をシェアしてみることにしました。

大陸の人によく見られるような過激な愛国心の発露(の、ように見えるテンプレート的受け答え)ではなく、かといって日本人やその他の国々の人が考える台湾観とはまったく異なる視点から淡々と語られるその内容を、ぜひお読みいただきたいと思います。

台湾は中国か否か

——まず確認だけど、やっぱり台湾は中国の一部だと考えてる?

それはそうだと思う。小さい頃からそうやって教えられてきたし、そもそもいま台湾に暮らしてる人はほとんど大陸からの移民なんだから、もともとは中国だって考えるのが自然だと思ってる。

——なるほどね。たしかに台湾にも原住民って言われる人はほとんどいないし、そういう見方もあるのかもしれない。でも、いま台湾にいる人自身には、そう思ってない人もいるんじゃないかな。

特に、清朝くらいの昔から台湾にいた人……本省人だね。その人たちとか、その子孫たちにとっては、大陸中国の人は「あとから来て勝手に「台湾は自分たちのものだ」って言ってる」みたいに見えてると思うよ。

でもそんなの、昔の話じゃない。さっきも言ったけど、その人たち(本省人)だって、もともとは中国人だったわけだし。だいたい、もうそんなこと覚えてる人なんていないでしょう。特に若い人なんか、そんなこと関係ないんじゃないの。

——まあそうかもしれないけど、逆に言えば若い人は生まれた時から「台湾人」っていうアイデンティティで暮らしてきた人も多いはずだよ。その人から見たら、急に「君たちは台湾人じゃなくて中国人です」って言われても、納得がいかないのは理解できる。

そういうものなのかな。私にはよくわからない。ただ単に、中国が嫌いだから中国の仲間だと思われたくない、と思ってるだけのように見えちゃう。

——まあ、台湾の人が不当に大陸の人を見下してるように見えるっていうのは、僕も時々感じるけどね。でもそういう好き嫌いのことだけじゃなくて、アイデンティティの問題っていうのは複雑なんだよ。僕は迷いなく日本人であるって言えるし、君も中国人として同じだろ。でも、そうじゃない場所や人もあるってことだよ。簡単に割り切れる問題じゃない。

ふーん。そうなのかもしれないね。

中国は台湾に手を出すか

——じゃあもう一つ。中国は台湾に戦争を仕掛けると思う?

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