日中国際結婚がうまくいく秘訣(日本人視点)

深圳で働くゆきのさんが、中国人男性との結婚直前のドタバタを綴っていらっしゃいました。文中に登場するサンボマスターやミスチルなどの引用に同世代感を感じたことに加え、トップ画像が長草くんであることなどは僕を一本釣りしようとしているとしか思えません。

曰くほぼ毎日ケンカで心がすり減っているそうで、ひとりからふたりになるにあたっての痛みや苦悩を存分に感じていらっしゃるようです。僕も結婚前後に数々のドタバタを経験し、ああこういうことって誰しもが経験するんだなーと、なんだか懐かしい気持ちになりました。

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さて結婚4年目に突入し、それなりに安定した日々を送る日中国際夫婦のパイセン()より、日本人視点で見た日中夫婦がうまくいく秘訣のようなものをひとつ。

それは、陳腐な言い方になってしまうのですが、「衝突を恐れず、自分の意見をはっきりと言う」ことに尽きると思います。

このnoteにも書いたのですが、中国の人は相手に自分の願い事を聞いてもらうことで人間関係を作ろうとする傾向が強いです。そして、それは家族や近親者、恋人など近しい人になるほどより典型的に現れてくるのではないか、という印象があります。

これは受け身で人間関係を作ろうとする傾向の強い日本人と決して相性が良いわけではなく、いつの間にか「押す中国人と引く日本人」という構図が出来上がっていることがよくあります。

「だったら、とりあえず日本人の方が強い包容力で受け入れてあげればいいんじゃないの」と思われた方もいるかもしれませんが、これは中国人相手にはあまり良い方策とは言えません。

もしお願いを聞いてもらったら、次のお願いを聞いてもらうことを遠慮するであろう大多数の日本人と違って、中国人にとってお願いを受け入れてもらうことは、むしろ次のより大きなお願いへの準備となります(非難がましく書いていますが、良い悪いではなく「そういうもの」として捉えてください)。

そのうち、「いつも自分が受け入れてるのに、まだなんか言ってくるの?」という被害者意識に近い気持ちが募るようになり、押され押されて崖っぷちに追い詰められた時に日本人のほうが爆発します。「こんだけ聞いてやってるのに、まだ言うか!」と。

そして中国人は返す刀で言います。「だって、君が思ってることを言わないから、わからないじゃないか!」それを聞いてカチンときた日本人は、「言わんでもそれくらいわかれやボケェ!」 …はい、大喧嘩の始まりです。

このような事態を避けるには先に挙げたように、多少勇気が必要でも、自分の意見を言うことが大事です。

たとえ最終的には受け入れ、相手の言うことを呑むのだとしても、それに対して自分がどういう意見を持っているのか、そして「ちょっとしんどいしイヤだけど、あなたの為だから頑張るよ」くらいのことは伝えるようにしたほうがいいと思います。恩着せがましいかも、などと思う必要はありません。

時にはそれ自体が言い争いやケンカの引き金になることもありますが、それはお互いを理解するために必要なプロセスと割り切ることです。特に自己主張に慣れていない人にとっては勇気がいることですし、嫌われてしまったらどうしよう…という気持ちが頭をよぎりますが、そこをなんとか振り切って自分の思っていることを相手に伝えるほうが、結果的に関係は安定します。

僕は結婚式を挙げるにあたり親族を巻き込んで大モメにモメた後、このことに注意するようになり、頑張って自分の思っていることを伝える練習をしました。その過程で言い方を間違えたり、やっぱり意見が合わなくてケンカになることも数え切れないくらいありましたが、それを繰り返しているうちに関係は安定していき、今では世界で最高の、5000兆点の嫁だと思うようになりました。たぶん嫁も同じように思ってくれていることと信じています。

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日中国際結婚は茨の道ではあります。でも、苦しくて痛いことだけじゃなく、ふたりでいれてよかった、一緒になれてよかった、と思う瞬間もあります。生きるためのレシピがないこの世界に、ふたりでどうサバイブしてやろうかと立ち向かうことは、尊く楽しい作業です。

すべての日中国際結婚夫婦、そしてすべての夫婦に、すべての人類に幸多からんことを。

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