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「メタ視点」を手に入れつつある中国の脅威

高口康太×安田峰俊×山谷剛史「B級中国2022コロナを封じるユニバーサル異国飯教えますスペシャル」というオンラインイベントを視聴しました。

中国関連のライターとして第一線を走る皆様による恒例イベントで、去年も視聴したのですが、今年もたくさん楽しいお話が聞けました。

中国における外国人モデルの賃金事情、反体制中国人になぜか多い「男の娘」の話、日本のDXは意外とイケてるんじゃないか? という話、謎の奇形進化を遂げつつも無駄にそこそこクオリティが高い中華製AVの話……など、まさにここでしか聞けない話が満載で、たいへん勉強になりました。

なんとなくお三方に共通しているように見えたのは、ある種の中国へのテンションの低さというか、明確な「かげり」のようなものを中国に見ているのかな、という部分でした。おそらく、これまでもそれぞれの心の中にはあったことだと思うのですが、それが長引くコロナ禍とそれに対する中国への態度を経て、いよいよ顕在化しているのを感じているのかな、と思いました。

取るに足らない中国崩壊論は相手をする必要はありませんが、このお三方が言うことには耳を傾けておくべきだと思いました。おそらくはっきりした「崩壊」とは違う、いや〜な感じの閉塞感がこれからどんどん広がっていくかも、などという考えが頭をよぎりました。

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さて、イベントの中で特に印象に残った部分についてです。

話し手の一人である山谷さんのお話の中で、中国がある意味で「B級」的なものを自ら売りにするようなものが出てきている、ということを仰っていました。以下はイベント中のプレゼン資料のスクリーンショットです。

中国の大手ECサイトで、「あえて」粗雑に作ったものを面白グッズとして売り出しているものがある、ということです。たしかに、これまでの中国でこういうものを見たことはほとんどありません。

そのほか、「あえて」古臭く作ったレトロなものが少しずつブームになってきているのも耳にします。イベントでは長沙から発信された80年代の中国の街並みを再現したモールが取り上げられていました。

また、これも山谷さんによる紹介ですが、大昔の中国の映像を再現した最新のCM映像なんていうのも出てきています。

これらの「ダメなのが逆に愛おしい」とか「カッコ悪いのが逆に味がある」とか「古臭いものが逆に新しい」というような、「あえて」「逆に」というメタ的な発想のものは、これまでの中国にはあまり見られませんでした。

これは、中国の大きな変化だと思います。

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