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日本の常識がわからなくなっているかもしれないことへの恐怖

日本の飲料メーカー各社が、ペットボトル飲料の値上げを相次いで発表したというニュースを見ました。

日本でも本格的に値上げの波が始まって、いよいよ大変だなあ……次に日本に帰った時も贅沢はできないな……などと思うと同時に、あることが気になりました。

それは、「そもそもペットボトルの飲み物って、日本でいくらぐらいで売ってたっけ?」ということです。

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僕は2019年の9月以来、日本の地を踏んでいません。あと3ヶ月もすれば、日本に帰っていない暦は3年になります。

「あーもう俺〇年帰ってないわー、あーもう全然日本に帰ってないわー」という、海外在住者にありがちな地獄のミサワ的マウントを取りたいのではありません。むしろ、これはさすがにマズイのではないかとちょっと焦っています。

たとえば僕が日本に帰っていない間、消費税が10%に改定されました。その時点ですでに、たとえば自動販売機で売っている缶ジュースやペットボトルの値段がどうなったのか、まったく把握していません。

そして今回の値上げ。ニュースでは「10円から20円の値上げ」と言われていますが、もとが何円だったのかよくわからないので、いったい最終的にいくらになるのか全然イメージがついていません。

商品にもよるけど、たしか前に日本に行った時は150円くらいだったから、170円くらい……? いやでも、この前の消費税アップでどうなったんだ……? 180円くらいにはなるのか? などと、ひとり悶々と考えています。誰か正解を教えてください(とっとと調べろよ)。

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ジュースの値段程度のことなら調べればどうとでもなるし、もっといえば知らなくてもそれほど困ることはないかと思います。しかし、問題は多分これと同じことが、あらゆる場面で起こっているかもしれないということです。

たとえば、もっと大きな意味での生活費はどれくらいかかっているのか。コロナを経て町並みはどうなっているのか。人々はどんなことを考えているのか。それらが肌感覚として、もうずいぶん薄れていっているような気がしています。

あくまで常識は常識であって、すべてを知っておいたりそのすべてを把握しておく必要はありませんが、かといってあまりに日本の常識から乖離してしまうのも考えものです。なぜなら、僕は日本と中国の違いや、日本人と中国人のマインドの差のようなものをnoteに書き、最近ではあまつさえ生業のひとつにしているからです。

違いを語るにあたって、そのもう一方の「日本人がどういうものか」という基準がブレてしまっていては、正しくそれを比較することができません。ある程度は今の日本がどういう姿をしているのか、正確な像が結べるようにしておく必要があります。

日本の情報はSNSや報道から得ることができるとは思いますが、それらはおおむね偏ったものです。特にSNS、とりわけTwitterは先鋭化・浮世離れが進んでおり、平均的な日本人像を反映しているとはとても言えない状況です。何も考えず鵜呑みにすることはできません。

しかし、そう考えると果たして日本のことをどう知っていけばいいのかな、という気にもなります。次に日本に一時帰国するまで、それを知ることはないのかも。日本にお住まいの読者のみなさまだけが頼りです。僕があまりに的外れなことを言い始めたら、そっと引き戻してくださるようお願い申し上げます。

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——僕はなぜここまで、日本の常識から乖離することを恐れるのでしょうか。他の海外在住者の方の発信を見ても、ずっと日本に帰っていなくとも、ちゃんと日本の受け手に支持されている人はたくさんいます。バランスを保って発信をし続けることは、できないことではないはずです。

それでも僕が日本からの乖離を警戒するのは、中国という国にいることが関係しています。

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