海外ニュースのいい加減さ。いまこそ「反応しない練習」が必要なんだと思う
Twitterで、こんなニュースがバズっていました。一時はトレンド入りもしていたようです。
なんとも物々しいニュースですね。ウクライナとロシアをめぐって緊迫する国際情勢においては、たいへん由々しき事態にも思えます。
しかし、すでにTwitterで散々ツッコまれていますが、このニュースの内容にはかなり怪しい部分があります。このニュースの元となっているのは、習近平国家主席が全人代に向けた人民解放軍と武装警察の分科会に出席した際の講話ですが、そこに出てくる表現はこういった講話のテンプレートの域を出ないものです。特に重要な話をしている部分はありません。
「戦争準備」の元となったと思われる「备战打仗」という表現も、プロパガンダとして古くから使われている表現であり、大きな意味はないだろうというのが中国に見識ある人の意見です。
中国出身と思しき人からのツッコミも上がっていました。
「軍を海外派遣する根拠法を整備へ」というのも、どの部分をもとに言っているのかいまいちわかりません。講話の全文を確認したわけではないのでひょっとしたらそのようなことも言っていたのかもしれませんが、自分で探した限りではそのような記述は中国国内のニュースなどからは見つけられませんでした。
よってこのニュースは明らかな誤訳……といえるかどうかは微妙なものの、かなりの部分を想像で補っており、正確な事実に基づいているとはとても言えなそう、というのが結論です。
このニュースを出したのは読売新聞です。仮にも大手新聞社がこれを解釈できないとは考えにくいので、おそらくは人目を引くために、フェイクニュースにならないギリギリの範囲まで拡大解釈し、あえてセンセーショナルな見出しをつけたということなのでしょう。
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さて、この件から学べる点が二つあります。
それは、「海外ニュースの解像度なんてこんなもん」ということと、「いまこそ「反応しない練習」が必要」ということです。
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