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中国の「暗黙のルール」をめぐるいろいろ

中国と日本を股にかけて活躍するインフルエンサー・シブルナさんの動画が面白かったです。

シブルナさんは抖音(Tik Tokの中国版)でフォロワー124万人(2022/05/09時点)という、ちょっと想像もつかないような人気を誇るインフルエンサーです。主にさまざまなシチュエーションで起こる中国と日本の文化の違いを、一人コント風のショート動画で紹介しています。

鋭い観察眼で見つけた違いを、ポップにわかりやすく伝えているのが魅力で、こりゃー多くの人に伝わるよなあと思いながらいつも見ています。noteというドメスティックな場所で、オタクっぽい珍説を回りくどい文章でダラダラ書いている、どっかの根暗中年男性とは何もかもが違います。悔しい。

そんな自虐はさておき、僕はこのつぶやきにある「中国の暗黙のルールって意外と多いよね」という言葉に食いつきました。「日本は暗黙のルールが多い」とよく言われますが、それは中国でも割と同じだったりするのです。

今日はそれについて書きたいと思います。

中国にもあるぞ、暗黙のルール

上の動画では、中国の人が紅包hong bao(お年玉に似ているが、正月以外にもいろいろな状況で渡されるお祝い金)を受け取る時の様子として、いちおう表面上は「いいからいいから、いらないよ〜」という素振りをみせながら、ちゃっかりと鞄を開けてごく自然にそれを受け取る様子が描かれています。

要は、紅包をもらう時にただスッと受け取るんじゃなくて、「いらないよ〜」というポーズをいったん演じておいて、「自分は仕方なく受け取ったんですよ」感を演出しておきましょう……というのを中国の人もやっている、ということです。

これ、現象だけ見るといかにも日本人のやっていそうなことにも見えます。たとえば日本では、ご飯を奢られる側の人もいったん出すような素振りを見せときましょう、みたいなのがありますよね。で、目上の人に「いや、ここは俺が出すから」と言わせておいてから「え〜! いいんですか〜! ごちそうさまです〜!」と言ってその場が完成する、みたいな。

こんなふうに「その場にいる人が気持ちよく過ごせるように、明文化されていないルールになんとなく従う」みたいなことは、ほかにも中国にたくさんあります。

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