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脳機能とパフォーマンス02(PMRFの機能)

 今回は脳機能の中でも“PMRF(橋延髄網様体)”とパフォーマンスの関係についてお伝えしていきます。

大脳皮質と運動

 随意的運動(意識的運動)は対側の大脳皮質がコントロールしています。
つまり、脳からのアウトプットは、右脳からでた信号は左半身へ、左脳からでた信号は右半身へと伝わり、四肢などをコントロールしています。
このことは多くの方々知っている、あるいは聞いたことがあるんじゃないかと思います。

 余談ですが、何故、人間は右利きの人が多いのか?日本人に限らず世界共通で9割以上の人が右利きだと言われています。

 人間に右利きが多い理由についてはいろいろな説がありますが、一説には、動物の中で最も大脳皮質が発達していて、尚且つ言語能力も高い動物は人間だけです。

 そして、言語中枢は主に左脳にあるとされています。このことが右利きが多い事と関係があるという説があります。
 確かに多くの人において左脳が活性化されている傾向にあります〔かく言う私は、左利きなのですが(笑)〕。

 これは何の根拠もない持論なのですが、左利きの人は思考が少し変わっている変人気質な人が多い気がします。(笑)

 本題に戻りますが、随意運動は対側の大脳皮質によってコントロールされ、嗅覚を除く感覚情報は対側の大脳皮質へ送られます。

 そして、左右の大脳皮質は互いに影響し合います。右側が働いているときは、左側は抑制されます。この働きを「半球間抑制(クロスエデュケーション)」といいます。

 仮に抑制されていないと右腕を触られたのに左腕も触られていると感じ取ってしまいます。しかし、抑制されていると言ってもその比率は10:0といった極端な割合ではなく、それぞれの運動や感覚情報によって左右の活性化の割合が変化するようです。

 例えば、聴覚情報は6:4の割合で、左からの視覚情報はダイレクトに右の大脳皮質に入力され、右からの視覚情報は比較的に両側の大脳皮質に情報が入力されると言われています。

PMRFとは

 PMRFは大脳皮質から脊髄の間にあり、同側の身体に影響を及ぼすシステムです。

PMRFのシステム

・同側の痛みの抑制
・同側の交感神経の抑制
・Th(胸椎)6以上の前方筋群とTh6以下の後方筋群の抑制

 PMRFは同側側の姿勢の制御や痛みの抑制など多岐にわたる生体機能をコントロールしています。

PMRFの機能不全が起こると

・同側の交感神経が過活動になる
・同側の体温の低下
・同側の血圧上昇
・同側の身体的な痛み
・同側の筋緊張のコントロールができない
・同側の姿勢のコントロールができない
・同側の発汗

随意運動と姿勢のコントロール

 大脳皮質の運動野を介して対側の随意運動のコントロールをし、PMRFによって同側の姿勢をコントロールしています。

 例えば、左前頭葉は右半身の随意運動とPMRFを介した左半身の筋コントロールをすることで一つの運動が成り立っています。

 ただし、前頭葉からのアウトプット(脳からの指令)は90%が同側の神経筋コントロールに働いています。つまり、同側の姿勢制御や痛みの緩和、筋コントロールに働きます。そして、残りの10%で対側の随意運動ををしています。

脳アウトプット

 PMRFの機能不全は怪我や病気による場合もありますが、多くの場合で、不活性によることが多いです。つまり、PMRFを活性化させるエクササイズを行えば、PMRFの機能不全による問題の多くは解決します。

 PMRFを活性化させるには同側の大脳皮質及び対側の小脳、前庭系を活性化させるエクササイズを行うことです。

 もし、右側の姿勢制御がうまく行えなかったり、疼痛がコントロールできないのならば、左側の前庭感覚や視覚、聴覚、体性感覚に対するエクササイズを取り入れることで解決するかもしれません。


まとめ

 もし何らかの痛みや姿勢不良、筋コントロールがうまく行えなかったら、それは、PMRFの機能不全かもしれません。

 左の筋力が弱いのは単純に筋力がないわけではなくPMRFの不活性が原因かもしれません。

 トレーニング前のウォーミングアップ中のインターバルにPMRFを活性化させるエクササイズを取り入れてみるのもいいですね!

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