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当時響鬼を観た人による「桐矢京介」について

Youtubeにて2月から配信が始まった仮面ライダー響鬼。最後に配信したのが2017年末らしいので約6年ぶりの再配信である

久々に観たかったのでありがたい反面、響鬼の後半はあのキャラをきっかけにガラッと路線変更してしまう。
正直今でも苦手なので今回の再配信は前半だけ視聴。

で。響鬼は当時リアタイしていたのでその頃を振り返りつつ桐矢京介について。


⚠️いつものごとくあくまで自分個人が抱いた感想。制作そのものに対しての感想であって勿論俳優さん個人に対しての批判ではないのでご了承を。
何言ってるかわからん方はお引き取りくださいまし…⚠️


響鬼の衝撃

何と言ってもまず誰しもが思うだろう。
これ、仮面ライダーなの?と。

当時の自分はファイズを視聴し何故かは観ていなかった。トランプモチーフがかっこ悪いと思ったのかそれとも裏番組で何かやっていたのか…


ファイズ以来に視聴したライダーなだけに驚いた。如何にもな「和」。必殺技が太鼓。

独自性がありながらもやはりヒビキさん=変な人だけどかっこいい、という作中の少年と同じ視点だからこそ飽きなかった当時小学生。
シュッ!は真似したしあの火打石が妙に欲しかった。

ちなみにクウガ〜電王辺りまでは母親も一緒に視聴していて、とりわけ響鬼が気に入っていたように思える。
作中同様ヒビキさんのおばさま人気は根強いというか、朝ドラのような雰囲気も後押ししたのか。

放送終了後も演じた細川さんが何かしらテレビに映っては「あ、響鬼出てるよ」と言うくらいには印象強かったらしい。

途中トランペットを使う威吹鬼はかっこいいと思い、ギターを使う斬鬼・轟鬼が出た時には「和楽器縛りだと思ったのにギターっていいの?!」と心底驚いた。

威吹鬼とあきらの関係性を、幼稚園ぐらいに観た覚えがある忍ペンまん丸しろうさ?と乱子みたいだなと当時思ったことがあった。

思い返せば実は京介が出る前からしっかり観なくなっていた。
作中で明日夢少年が万引きの現場に遭遇してからである。

小学生の頃の自分には万引き犯の一度ではない報復が見ていてしんどかった。また出てくるのかと。
当時自分も軽い「いじめ」のようなものを受けていたので自然と避けていたが親は見続けていた気がする。



桐矢京介の登場


久々に観たら何か違和感があった。
冒頭の少年による語りがない。
特徴的な筆文字も控えめ。

ここで転校生:桐矢京介の登場である。


言うまでもなくとにかく嫌いだった。
同級生だけでなく歳上の教員にもたてつき昼休みにはピザの宅配。自惚れすぎて大嫌いだった。

その後弟子入りする気はなかった少年の急な心変わりに主題歌の変更。
おまけに「対決」?というBGMがやかましくて嫌いだった。


その後もずーっと他人を見下す桐谷にストレスしか溜まらず、自分だけでなくマメに観ていた母親ですら視聴を辞めていた。
リアタイ当時は最後まで観ることはなかった。


かっこいい響鬼さんとその周辺のドラマが観たいのであって、ポッと出の嫌味ったらしい新キャラのために観てるのではないのだから。

それからたまーにチャンネルを切り替えたらアームド響鬼なる強化形態。に比べて名前がかっこ悪い…と思った。アームドと呼ばず劇中や紅同様「響鬼装甲」じゃダメだったのかなと。


路線変更で制作スタッフ内でもゴタついていた、というのは今では周知の事実だが当然ながら当時はそんなことが分かるわけもなく。


数年後の再視聴と最終的な印象


それから再び響鬼を視聴しちゃんと最後まで観たのはいつだったか。高校生ぐらいになってからだと思う。とすればリアタイから少なくとも5〜7年ぐらいだろうか。


相変わらず自己中心的で生意気な桐谷は大の苦手だったし「対決」のBGMはやかましく最後まで観るのはまあしんどかった。苦手意識はそう簡単には無くならない。


制作の裏側も知った上での視聴になったが、明日夢の鬼を継がない着地点は良かったと思う。
というか桐谷が出てから焦るように弟子入りする展開にずーっと違和感があった。手のひらクルックルの少年…



スタッフのこと等を齧った今にして思えば桐矢京介って如何にも井上敏樹要素の塊みたいなキャラだなと笑ってしまった。
あそこまで嫌味ったらしいキャラ響鬼に出す必要があるのか?と今でも思うし、井上敏樹要素が滲んできた時点で響鬼の温かみある良さは死んだとも思っている。

なんかもう、草加雅人が響鬼の世界で好き放題やってるような。それはやっぱ違うよ。

かといって桐谷というキャラクター自体を否定している訳ではなく、

・殉職した父を尊敬していた
・亡き父の面影をヒビキに重ねていた
・運動音痴だったが修行の末変身体を会得した

要点だけ抜き出せば嫌悪感が抜けるのだからあら不思議。

胸熱の塊ではあるものの、だからといって既存のキャラ達を侮辱・否定してまで確立させようとするのはやはり納得いかない。

真っ白な場所に黒を溢したような。単純に「響鬼という作品には合わない」が個人的な考え。
士みたいに違う世界を旅してくれ、ファイズかカブト辺りに居場所あるだろうから


もし路線変更が無かったら?



ただしそうなると路線変更がなければ残りの半年を一体どう展開するつもりだったのだろうか?という疑問。

Wiki頼りで情けないが

⚪︎中盤からは鬼の修行を中途で止めた青年が準レギュラーで登場し、明日夢に鬼の在り方を伝える役割を担うという案
→一応ツトムが部分的には果たした

⚪︎明日夢が最終的に鬼を継ぐか否かは決まっておらず、テレビシリーズの展開を見ながら落ち着くべきところを探っていく予定だった

鬼になる場合
…ヒビキが戦死するか再起不能の重傷を負ったために決意を固めるという展開が考えられていた
鬼にはならない場合
…決断した明日夢をヒビキたちが見守るという案もあった

⚪︎ 魔化魍の異常発生は、実際の番組内で語られた「オロチ現象」と異なり、自然の作用と見せかけてその背後に人の悪意が潜んでいるという想定だった

等が挙げられたそうな…

ただでさえ屋久島での遭遇以来魔化魍退治と少年に直接関わりがなく、おまけに少年視点のストーリーも著しい変化が見られないので自分たち一般人の日常の裏では猛士という存在がいた、ぐらいの舞台装置程度にしか思えなくもなかった。過度な例だとゴーストのキュビちゃん。

それに本編を見返してみると意外と響鬼って起承転結がない。

既に猛士として組織が完成されているので今更内輪揉めだとか煩わしい展開の起こり用はない。
魔化魍や童子と姫周りが強化される一方で猛士側は響鬼だけが強化されるだけ。

あまりに一辺倒すぎて負担がでかすぎるのでは?今までそれでよく成り立ってたな…と思った。

加えて雰囲気自体は良いのだがそれっぽいだけで会話に中身がなかったりすることもしばしば…

序盤はそれで構わないのだが2クール以降も雰囲気だけでゴリ押し回が見られてうん?と首を傾げた。
仮面ライダーである以前にドラマとしての展開が弱い。練り込みが弱いと思った。

響鬼のプロデューサーである高寺さん
現実味がある雰囲気作りは良いのだが神作と崇められるクウガでも意外と少しだけその傾向がある。

何というか人としての成長がない。
職務故に淡々としている警察組織はまだしも、特に桜子さん=解読の人みたいな役割を押し付けられている感じが観ていて怖かった。

ライジングが出始めるEPISODE23だったか、桜子さんから話がある=解読に何かありましたか?の続け様のやりとりが怖かった。
クウガは珍しく本編中の描写以外でも物語は進行しているのでそこで私生活だのは勿論あるだろうが…

幸い階級制のグロンギの強さに比例するよう強化されるクウガ、グロンギの検体から警察組織の装備も強化されるなどインフレに置いていかれず中弛みすることはないのだが。

…勿論クウガは大好きだし幼稚園の頃の将来の夢は仮面ライダークウガアルティメットフォームだった。卒園アルバムにがっつり書いてた。

やはり少年があのまま鬼にならない!バイトとしてずっと支援!だけで残り半年の展開を食い繋ぐのはさすがに無理があるので、鬼になるか云々の葛藤は必要だっただろう。それでも頑張っても3クールの放送枠か。

…まあ序盤の受験校1つに絞ります!だとか先のやっぱ弟子になりたい!は悩む時期にしては「個」としての優柔不断というか端折りすぎと思わなくもないが…

ここだけの話少年自体はそこまで好きではなかったりする。
愛想笑い?というかエヘッアハッみたいな妙な相槌のようなものがずーっと癪に触って…
序盤ならまだしもヒビキさんと会って刺激を受けたのを心持ちだけでなく普段の口調なり言動なんかでも感じ取りたかった。


中村優一のその後



さて桐谷京介を演じた中村優一さん。
その後はご存知の通り、カブトを挟んで電王で桜井侑斗として東映特撮に舞い戻る。

同じ俳優さんが違う特撮作品で違う役を演じるのは当時でも珍しいことではない。

1979年のバトルフィーバーJの翌年の電子戦隊デンジマン、1982年の大戦隊ゴーグルファイブの翌年の科学戦隊ダイナマンなど、外見はさほど変わらないのに間を開けるどころか2年通して同じ俳優さんが違う役を演じることもあった。

とはいえ視聴者にとっては響鬼を大きく動かしたあの桐谷京介の人がまだ記憶に新しい時に帰ってきたのだ。
正直な話が「うわっ…何で?」と当時は引いた。

第一印象も桐谷を連想させるような立ち振る舞いでうっ…と拒否反応があったものの相棒のイマジン:デネブの存在が本当に心強かった。


コミュ力と言うにしては執着と思えるくらいの異常な「侑斗をよろしく!」
善属性すぎて中和してくれたがそれにしてはお節介がすぎるような…

まあ4タロス同様突き抜けてキャラが濃いのがイマジンだから…と思っていたのだがゼロノスの特異性と逃れられない運命を知った途端まあボロ泣きした。彼は紛れもなく仮面ライダーだった。


本編終了後も電王の劇場版に留まらず他作品に何度かゲスト出演するくらい歓迎されるようになったのが本当に良かったな…と温かくなる。

ちなみに「誰だっけ?」ネタは単純に無神経だし大して面白くないから嫌い。ずーっと擦ってるつまらない人はフルフルのBGMネタも一生擦ってそう。何が面白いんだろ?

中村さん自身もゼロノスだけでなくデネブをずーっと好きでいてくれるのが微笑ましくて好きだ。



桐谷再来



特撮界隈がザワついたのは記憶に新しいだろう。

平成仮面ライダー20年分のお祭り作品である仮面ライダージオウ
前作ビルドの戦兎や龍我を皮切りにかつての作品の出演者が毎週ゲスト出演するのだからあれは本当にワクワクした。ゲンムと思わせての火野映司。あれはずるい。

初期は当時の変身者が変身能力を奪われるが後半からは時間軸が入り混じったことで変身できるようになる…だった気がする。当時以来観てないからうろ覚え…

ブレイドで構成が変わってからの神回と名高いアギト。ちょうど帰省してた弟と観たが当時の挿入歌も流してくれるのは熱いて。2人で観ながら泣いてた。これは毎週更に面白くなるぞと。


そんな余韻を砕いたのが次週予告。
響鬼と聞いて辛うじて覚えている母親も「ヒビキさん出るかな?!」とワクワクする。
その直後の貫禄が出たトドロキからのまさかの桐谷。


うわちゃーーーーそう来たかーーー


が素直な反応だった。弟もだった。
母親は当然ヒビキさんと少年のことしか覚えてないので桐谷のことは知らない。

ということはゼロノスが今後出ないということ?とも予想した。まさか桐谷を再演するとは…

相変わらず鼻につくいやーな立ち振る舞いであったが話の内容自体は納得のいくものだった。



明日夢が鬼を継ぐ、という展開はディケイドの並行世界として既に映像化されている。
なのでジオウで改めて「鬼にならなかった少年を再登場させて継がせる後日談」を描くのは違和感があるので桐谷の再登場は道理だったのかもしれない。


十数年経った響鬼のIFという形ではあれど桐谷と向き合ったのは感服した。

ここでジオウの厄介なところで、ブレイド以降は本編の後日談という程でありながらも歴史改変も介入してくるから基本パラレルだとは個人的に思っている。繊細なとこなので他者の指摘や押し付けは野暮。なので響鬼編も分岐したIF…という自分の中での捉え方だ。


それとは別に東映のスケジュール調整、オファーの見通しの甘さ。
当時カブトでパンチホッパーを演じた影山役の内山さんも言及していたがお声がかるのが遅すぎて身体を絞るのが間に合わなかったとのこと。
その結果作中の写真とは明らかに似ても似つかぬ外見でワームの擬態ミスとネタにされたりしたり、天道役の水嶋さんにはそもそも何も連絡が来なかったとのこと。

響鬼同様に本編では実現しなかった加賀美カブトを見れたのは嬉しかった反面、もしかしたら細川さんや少年の栩原さんにも一切連絡しなかったのでは…?とも邪推してしまう。

とはいえ栩原さんはジオウ放送前から芸能界を引退されてるのもあり、どのみち少年より桐谷が出ることは確定していたのかもしれないが。


その後電王編でお馴染み4タロスが出た時は相変わらずわちゃわちゃしていて笑ったし、桜井侑斗としても中村さんがまた出演されて驚いた。てっきりNEW電王が再登場すると思い込んでた。

あれ?!ヒビキの人じゃないの??と疑問符が浮かんでいた母親。



駄文:早すぎた脱ライダー



響鬼は元々仮面ライダーとして制作されていなかったのは有名な話。
噛み砕いて言えばシリーズ化するに連れ「仮面ライダー」というブランドが失墜するのでは?という懸念から、仮面ライダーから離れるのが目的だったそうな。
結局バンダイの圧力によりライダーに分類されてしまったが。


この判断、当時では早すぎたように思える。
すっかり販促ありきの販促ライダーの現代でこそこの構想を実現できたのならまた違った評価を受けたような気がする。


少なくとも鎧武やエグゼイド、セイバーなどを初めて見た時はご当地ヒーローみたいでかっこ悪いと思ったし、販促が当たり前のインフレバトルに飽き飽きしている。

どれだけ感動的なエピソードを盛り込んだところで一ヶ月も経たずに新たな力。
ゼロワンのシャイニングホッパーがそこそこ良い過程だっただけに、どうせすぐ使わなくなるんだろうな…と想像するのが容易だった。



当時ウィザードまではリアタイしていたのだが悪い意味でライダー1号のようなテンプレ話ばかり。後半はほとんど録画の消化。

決め手はフォーゼのタチバナさんを経ての白い魔法使い。昨年やった似たような展開をまんまお出しされたのはライダー卒業を促すのに充分だった。


以来ビルドまでリアタイを離れる。
今はどうだか知らないが「仮面ライダー」なのにバイク乗らない問題もあり、一旦仮面ライダー休止してメタルヒーロー等挟まないか?等と本気で思っていた。
正に仮面ライダーというブランドの失墜、というか時代を反映するにしたってやはり露骨な販促ライダーはもう楽しめなくなってしまった。


勿論商業的なことを考えたら現代で響鬼をお出しされてもまず無理だろう。というか当時ですら
採算度外視な気もする…

それでも従来の当たり前を見直したシン・ゴジラや、少なくともキャラクターとしては受け入れられたブレーザーだとかの反応を観測しているとそんな安直な想像をしてしまう。


なんにせよ自分は響鬼は好きだ。
脚本都合のライダー同士の対立もない世界。

従来のヒーローとしてのかっこよさとは別の「憧れ」としてのかっこよさ。
自分の好きな帰ってきたウルトラマンZOのような、日常の世界にいた少年の目線があるからこそ歳上への憧れがより際立つ。

これからもずっと思い出に残る作品なのは変わらないだろう。



昔書いた同様の駄文

真骨彫響鬼の開封

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