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名作?凡作?ゴジラ映画を全作品観た人の「ゴジラ(1984)」感想

GWも最終日。
ゴールデンゴジラウィークも終わるがゴジラ×コングはまだ上映中だしアマプラで国産ゴジラが一挙配信されたばかり。

前回投稿した「これからゴジラを見始める人におすすめするゴジラ作品」にて是非周知されて欲しいことを書いた。

シリーズ物として避けられない個人的好み等は勿論あるが、声を大にして言いたいのが作品の否定だけはしてほしくないこと。


初代主義の割に他作品を毎回チェックして否定する面倒くさい人もいるが怪獣プロレスと呼ばれヒーローを務めた時代も歴としたゴジラだ。

ウルトラやライダー等と違い昭和も平成も満遍なくゴジラが好きな自分にも勿論好き嫌いが存在する。

その内の一つがゴジラ(1984)
前作から9年ぶりに公開された通称:VSシリーズの一作目である。

やはりファイナルウォーズからギャレゴジまでの10年の間に視聴した気がするが何となくパッとしなかった覚えがあり、以降ちゃんと見返す機会はなかった。


そんな中某Vtuberがゴジラ数本の同時視聴をします!というラインナップの中に何故か本作がランクイン。
投票した奴正気か…?と思いつつもうろ覚え、ちょうどよい機会なので改めて見返そうと思った次第。


ゴジラ(1984)感想

・サイボットゴジラ!

ゴジラは作品毎に顔が違うのはお決まりだが今作で妙に不思議だったことがある。
ポスターとスチル画で顔違くない?と。

上記画像を見比べれば分かるが自分が知っている1984ゴジラは左の目がギョロッとしていて犬歯のような牙が剥き出し、怖いというよりすごい不機嫌そうな顔の印象がある。

1984を観る前に先のVSシリーズを観ていたのでそれに比べたら「怖い」という感情は尚更湧かなかった。

しかし右のポスターのゴジラは角度の問題ではなく、そもそも別物な気がする…


ざっくり調べたところ1984のゴジラは陸用と海用でスーツが2つ製作されたらしい。
それとはまた別に製作されたのがサイボットゴジラと呼ばれるものだ。恐らく右のポスターはそのサイボットのほう。

過去作でも陸地での撮影と水中プールでの撮影とで使い分けられることがあり明確に顔が違かった。
今作の陸用と海用はパッと見ではそこまで違いがわからず…

コンピュータ制御により従来の着ぐるみでは不可能な表情をつけるために製作された、と聞いたことはあるが作中では上唇を犬みたいに捲り上げたりする。言うてそれぐらい。
他にも目が動いたり口が開いたりするが別に過去作で既に描写された仕草なのでそこまで印象に残らなかった。

とはいえまあ面白い試みだな…と昔から思っていたのだが国内外では不評だったらしく、なんと最低の映画に表彰されるゴールデンラズベリー賞最低新人賞にサイボットゴジラがノミネートされている。
にわかな自分でもラズベリー賞は知っていたのでちょっとおもろい。


1984自体がうろ覚えなのもあり1984=サイボットゴジラ!というぐらい印象が根強いのだが上京してから実物をこの目で拝見したことがある。


2年前に開催されたガイガンが50周年の際のゴジラフェス2022である。

コロナが緩和され数年ぶりに現地開催のゴジラフェスに行ったが、だからなのか展示に力が入っていた。その内の一つにサイボットゴジラがあったのだ。

いやこわっっっ!!

思ってたものと大分違かったのでめっちゃびびった思い出…


・空飛ぶ炊飯器スーパーX

やっぱどう見ても炊飯器よね、うん…

自衛隊の秘密兵器でモデルはカブトガニらしいがやっぱり今見ても炊飯器にしか見えません、はい…
登場を渋りに渋ってかっこいいBGMを引っ提げて遂に出現!と思ったらこの見た目なので拍子抜けした覚えがある。

動きもホバー式でそこまでスピードが出ない為観ててすごいはらはらする。
ゴジラの熱線に耐えられる装甲を持つとはいえ、ビルに沿って移動する際完全にゴジラが視界から外れるのでそこが小さい頃から怖かった。もし通り抜けた曲がり角にゴジラが待ち受けていたら…と


一応戦術的には順調でVSビオランテで聞き覚えがあるゴジラ特攻のカドミウム弾で活動停止に追い込む。
しかし核保有国のやらかしが招いた宇宙空間での核爆発でゴジラが復活、結局敗退するという…



とても対ゴジラ兵器には思えなかったのだがそもそもスーパーXは要人用の移動核シェルター、首都防衛移動要塞なので実はゴジラ対策での兵器でも何でもなくその場凌ぎで駆り出されたのを初めて知った。
てっきり熱線を防ぐもんだから完全に勘違いしていた…そう考えたらカドミウム弾の装填にやたら時間がかかったのも納得がいった。

あのゴジラ相手にしては善戦したのでは?


・冷戦真っ只中の時代

そんなわけで1984に関してはサイボットゴジラと空飛ぶ炊飯器しか印象がなかった。

しかし改めて観て驚いたのが当時はまだロシアがソ連だった頃、つまりアメリカと冷戦だった時代なのだ。

全く知らなかったので作中での描写に驚いたし、ゴジラだけでなく特撮全般は時代を反映する歴史的資料だと豪語しているのでちょっと感動した。

内閣でのやりとりも露骨なヘイト役はおらず総理の判断力が良い。核保有国云々のやりとりも極めて自然でストレスなく観れたのは良かった。

こうしてみるとシン・ゴジラもまた核云々の話が挙がっていた上に例え首都だろうが発射する選択をとっていたのが当時とまた違った判断で面白い


・より繊細なジオラマセット

シリーズモノを観ていく上で好きなのが視覚的に明確に伝わる技術的進歩。
ウルトラマンならレオからの80、80からのティガや、特に仮面ライダーはYoutube公式で配信されていたスーパー1の最終回を見届けた翌週から一気に6〜7年飛んでのBLACKなのでワクワク感がとんでもなかった。

キッズの頃はVSシリーズのゴジラの顔がちょっと怖い、というのもあり昭和ゴジラばかり観ていたので尚更1984での段違いの精密なジオラマセットに驚いた。
もう40年前なのではっきりとは認識出来なかったが、上京してから度々訪れている新宿・有楽町辺りをゴジラが蹂躙していたのは感動した。

自分の地元:仙台といえばパッと浮かぶのがガメラ2の親の顔より見た仙台消滅
他にも一応VSメカゴジラにてファイヤーラドンの進路先で一瞬映ったのだが、先に挙げたように昭和ゴジラばかり見返していたので気づかなかった。怪獣同士の戦いが好きだったのも理由の一つかも。

ゴジラに破壊される可能性の高い関東圏は羨ましいな…と思った。


気になった点

さて気になった点。
これはキッズの頃に抱いた感想となんら変わらなかった。

・武 田 鉄 矢

いる?

「上京した時に実際にホームレスに言われた台詞」。だから?


・「避難は順調です」キリッ

どこが??

武田鉄矢よりもダントツではっきり言って嫌いだったのがこれ。一度ゴジラが活動停止した途端ゴキブリみたいに湧いてくる野次馬。そんな近くに避難してたの??

何なら復活直後のワーキャーだけでなくそれ以降ずーっと逃げ回っているのが意味わからん。避難してたカットは何だったの??本当に避難してた?


・初代ゴジラとの関連性

VSデストロイアでも意外だったのが、一見過去作と繋がりがなさそうなVSシリーズでも1984は初代ゴジラの続編だったりする。
その後デストロイアまで触れられることがないので特にそこまで考えられてなさそう


・本作の着地点

冷戦下における核使用の緊迫感やジオラマセットに唸った反面、肝心の物語の着地点がよくわからなかった。

第五八幡丸唯一の生存者だった奥村兄はゴジラに対して激しい怒りを抱いているが林田教授は倒すのではなく生物として帰すと提案する。
奥村兄は反発だとか全くしなかったのかなという疑問。

足元がすぐ火口なのに気にせず超音波に吸い寄せられるゴジラ。


何より三原山にゴジラが親指を立てながら溶岩に沈んでいくラストシーン。
首相が涙を流す理由が正直わからなかった。
人間に生み出されたゴジラが人間の身勝手で対処された罪悪感から?

無理矢理悲しいエンドに着地しようとしてる割にはそこまで悲しい感情が一切沸かずうーん…?となった。

そしてエンディングの謎歌。



総括

ゴジラ単体の映画ならではのセットの破壊、時代を反映した緊迫感ある核を巡る展開などキッズの頃には気づけなかったのでそのあたりが面白く感じた。今尚好きな人が好きだと公言する理由も何となくわかった気がする。

とはいえそれ以外が中途半端な気がした。
キッズの頃に抱いたパッとしなかった印象は間違ってなかったと思う。


個人的に似たような既視感があり、何だろうと辿って気づいたのがウルトラマンギンガ。


円谷の暗黒期を食い繋いだゼロの存在はありつつもリアタイしたメビウスから7年ぶりのテレビシリーズ完全新作。



主役は高校生!
「ギンガ」というシンプルでありながらも良い名前!
ソフビを生かしたギミック!

ワクワクしていたがいざ放送を観ると間延びしてテンポが悪い構成・演出に首を傾げた。
とはいえ7年ぶりなのだ、作品の質よりもウルトラマンが復活した事実を喜ぼう…という気持ちが強かった。


ゴジラ1984が正にこれ。
ギンガで抱いたような作品の質はどうあれ…という感情そのまんまだと思う。




その後次回作のVSビオランテまで5年。
話には聞いているストーリーの一般公募すぎやまこういちさんの起用だとかの試みは今作があったからこそ練られに練られたのではないかなと勝手に思う。


当時はまだ生まれていないので未だにあのゴジラで大々的な一般公募があった事実が信じ難い。
こればかりは実際に見聞きした人が心底羨ましく思う。

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