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隣り合わせの廃と青春23 「アデン地下世界」血盟設立

さて、これまでお世話になってきた血盟も全て無くなり、私はいよいよ自分で理想の血盟を作ることになった。
まずは親友Yと相談し、血盟の名前を決めようという話になった。名は体を表すと言うし、大事なファクターだろう。

で、紆余曲折を経て(ない。実際はノリだけだった)決まった名前は「アデン地下世界」

当時(色んな意味で)仲間内で盛り上がっていた漫画、「東京アンダーグラウンド」をパロった感じになった。
…ネタ血盟じゃねーか!

血盟主の名前は「華神」
同漫画に出てくるボスキャラ「華泰」と、老人は二度咲くの血盟主である「花神」のダブルミーニング。(よく出来てるでしょう?今でもお気に入りです。…でもネタじゃねーか!!)

余談だが、リネージュではアカウント共有が公式には禁止されているものの、そんなものは建前で、サーバーのトップ層に限らず、かなりのプレイヤーがやっていたと思う。

殊更君主に関しては、血盟員を増やしたりタイトルを変えたりといった庶務は君主にしか出来ない仕様だったので、ある意味仕方ない部分もあるだろう。

しかしYは入れ物プリを良しとせず、しっかりと愛着を持って華神を育てていた。
彼のこだわりや意志の強さが見えて非常に好ましいと私は今でも思っている。

血盟のマークは、USの時代から有名だった「ぷよぷよ」っぽいマークを拝借した。今でも、覚えている人がいるかもしれない。

ノリと勢いで結成した本血盟だったが、当時かなり顔が広くなっていた私が精力的に勧誘しただけでなく、(妙な人物相手には)人望のあるYの手腕も存分に振るわれた結果、満員御礼。サーバーでも一大勢力に成り上がることが出来た。

パッと思い出せるだけでも、「カズマDQN」氏、「KIKOKU」氏、「ジークカイザ」氏、「ハムスター」氏、「Flashback」氏、「DemonHunter」氏、「kosoto」氏、そして伝説の「宣長」氏…
ありがたいことにレベルが高いだけじゃなくて、キャラクター的にも一癖も二癖もある面白いメンバーが集まったのだった。

アデン地下世界血盟のルールは、確か以下のような感じだった。
・PK自由(ただし無差別PKと初心者イジメはNG)
・厨房自由。
・辻Join(こっちに断ったりせず、いきなり血盟に加盟しようとしてくること。要は◯チガイ)歓迎。

この頃は、「要は本当にダサいことはやめよう」という気持ちがあったのだと思う。
理由は極めて単純で、要は格好つけたかったのだと思う。多分、ただそれだけのことである。
今振り返ると、多分、リネージュの世界でイキりたかったんだろうという気持ちがどこかにあったんだろう。

当時の私は、「ゲームやってる奴なんて根暗のオタク(何かにドップリハマってる奴、などという近年の好意的な解釈などではなく、リアルに蔑称)。ネットは所詮アングラ、そこで友人を探したり出会いを求める奴は、リアルでそれが出来ないような底辺」みたいな空気を感じていた。

結構偏差値の高い先進的な大学附属高校に通っていた私がこう思っていたわけだから、理解がない家庭なんてADSLも引かせて貰えなかったんじゃないかと思う。
ゲームのために常時インターネット接続を敷いてもらうのは意外とハードルが高かった。

翻って、現代はどうか?

誰もが、当時のADSLなんて目じゃない速度の端末を手元に持って、死んだ目をして義務のように画面をポチポチしている。
そしてそれは、昔は馬鹿にされていたMMORPGの成れの果てのようなゲームだ。
猪に殺されまくるなんてこともなく、親切に親切に敷かれたレールに従ってタップし、ガチャを回す。ワーオ、SSR!世界が虹色だ!

こんなのは果たしてゲームなのか?与えられたコンテンツを何も考えずに消費するのがメジャーなのか?世界の是なのか?

その通り。これが世界の是なのだ。

現代はネットで友人を探したり出会いを求めることは当たり前になった。

でも、それがマイナーな時代にあっては、人は人をどこまでも貶せるのだ。
私は忘れない。

そもそも、歴史が証明しているのだ。
新しい技術というものは、まずは疎まれ、怪しまれ、拒絶される。

何も考えない群衆はいつだって論理的な根拠もなくそれに拒否反応を示し、新しい技術に適応するのに遅れる。
適応しようとする人間の足を引っ張りながら。
やがてその技術がメジャーになった時、彼らはどうするか。
何も考えずにそれらを受け入れるのだ。今度は受け入れない連中を馬鹿にしながら。
だから私は、新しい技術や考え、感性をなるべく否定せず、自分の頭で考えられる人間になりたいと常々思っている。

さて、大分脱線したが、要は当時はアングラだったインターネット文化、ましてやMMORPGなんてものにハマっていた私は、ゲームの中でこそ覇を唱えたかったのだ。

その時、友人Yが何を思っていたのかは定かではないし、ここで語ることはないと思う。

ともかく私とYは、カノープスワールドの覇権を握るため、アデン地下世界血盟を立ち上げたのである。まるで、太陽に憧れて、蝋の翼を作り上げて飛び立ったイカロスのように。

最後になるが、今でも私が思っていることをここに記して締めたいと思う。

「自分がやろうと決めたゲームにすら本気を出せないような奴は何をやってもダメ」

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