学士:文系(英文学)から→40歳で修士留学:理系(行動経済学)にてわかった、留学前に準備すべきこと

私は、下記に書いた「すべきだった事」を何一つ準備せずに渡航したので、精神的な苦痛を味わった(現在も辛い)。準備しなかった理由は、日本で英語の勉強さえしておけば、授業の英語は理解できると思い込んでいたから。実際すべきだったことは、英語の勉強はIELTSの指定点数獲得だけして、すぐに経済学、心理学、統計学の勉強。これらを理解していることの方が、入学後心理的にスムーズであったと判明。

文系から理系への大転換に挑戦できた理由

1, 自己肯定感は低いが自己効力感が高い性格。英語さえ理解できれば、なんとかなるのではないかと思った。
2, ダン・アリエリーのプレゼンと書籍が面白くて、行動経済学をもっと学び、人が買いたくなる仕組みを作りたいという強いモチベーション

渡英前に実はすべきだった事(留学後半年経過した今だからわかる):

リスニングでもなく、シャドウウイングでもなく、ボキャブラリーを増やすことでも無かった!!!

1,  学士で学ぶ経済学の理論の名前と論文名、誰が(特にパイオア)
  いつ、どんなモデルで理論を組み立てたかを学ぶか、それを網羅した
  ウエブサイトか書籍を見つけておく
2、学士で学ぶ心理学の理論の名前と論文名、誰が(特にパイオア)、いつ、
  どんな実験
で理論を組み立てたか。その実験を自分で再現するには
  どういうツールを使うのか。それを網羅したウエブサイトか書籍を
  見つけておく
3、学士で学ぶ経済学の数学
4、学士で学ぶ統計学、特に心理学実験分析で必要な統計学
5、ビジネスと政治の両分野において、自国にて現在の専攻分野
  (行動経済学)の応用のされ方

なぜすべきだったか:

渡英したら英語が伸びると思ったが、なんと伸びない。学科の特徴で、グループワークはほぼ無し。イギリスはindependent study推奨の国。年齢のせいもあるかも。英語がわからないから、授業やセミナー、ディスカッションの貢献度が低く落ち込む。さらに、英語も、各学問の理論も理解していないから、予習と復習の時間が膨大になり、美しい世界遺産の街を歩くことも、トレイルランニングを楽しむことも時間と心の余裕を確保できず、自分をどんどん責めて落ち込む。

1, 内容がわかっていれば、発言はできる
最低限理論がわかっていれば、英語がわからなくてもなんとなく内容はつかめるはず。発言は、英語基礎構文の通りにSVO, SVOC, SVOOで最小単語で十分。本質は意見があること、相手が理解できる英語で話すことが重要。綺麗な発音で、難解な単語を、長文で話すことではない。

2, 貢献できたと思うと、ストレスが緩和される。
欧州の20代後半の若者にとって、極東の小さな島(日本)から来た小さな人(150cm)はとても不思議な存在に写っているのが感じられた。発言をすると、「そういうことを考えているのか、この人は。」という雰囲気を味わう。それは、この小さなコミュニティに少しでも貢献できた、という気分にさせてくれた。私の専攻は、「人がより良い選択をするために、経済学や心理学の他に、脳神経学、社会学、文化人類学の知見を考慮してどんな介入ができるのか」を考える学問だから、割と他人の意見に耳を傾ける人が集まっていたからかもしれない。同じ地球に住む日本代表として意見を発表できたと実感した時、英語がうまく話せないこと、文献のリーディング、数学の理解が遅いことも私の個性として受け入れることができた。「だって私は日本人。」

なぜ、留学前に気づけなかったか

今思うと、下記のバイアスに縛られ、未知の数学、統計学、経済学、心理学に手を出せなかった。英語の至らなさはわかっていたので、とりあえず英語の勉強をしておけば最低限しのげると思った。

現状維持バイアス:変化や未経験を避けて、現状を維持したい
損失回避:人は得ることよりも、失うことに二倍の精神的ダメージを感じる



著者背景:
文系特化の高校に進学したので、数1のみ学ぶ
学士は文学部英文学科
仕事はファションマーチャンダイザー



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?