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市場規範 vs 社会規範

出典|予想通りに不合理 ダン・アリエリー 第4章社会規範のコスト

企業にとっての顧客は単にお金? 友人? 家族?その一つの解は、顧客とどのような規範で繋がるか。本書では、人・もの・ことの繋がりは、2つの概念のいずれかが優勢と説明しています。このnoteでは、本書で説明されている「市場規範」と「社会規範」という概念をマーケティングでどう使うべきか?を考察します。

社会規範が優勢な世界:
社会的交流。社交性・共同体の必要性とかかわり、誰かになにかをしてもらっても、対価はすぐに発生しない。
  例)他人のためにドアを開ける、友人間の頼みごと
市場規範が規則をつくる世界:
市場的交流。支払った額に見合うものを入手できる 
 例)賃金・価格・利息

予想通りに不合理 ダン・アリエリー

ここでのポイントは、企業と顧客は1つの規範でしか繋がれないことと、一度、市場規範で繋がると、なかなか純粋な社会規範の繋がりには戻れないという、トレードオフを伴う選択であること。

私の現時点の解は、顧客の消費行動を購入体験に明確に分け、繋がり方を変えることで、より満足度の高い消費行動、リピートを促せると考える。
購入は、価値と対価を明示して購入を促す「市場規範」の繋がりを強化し、
体験では、「社会規範」の繋がりが強化された家族や友人のようなもてなしで純粋に人・もの・ことを楽しませるのである。
そのようなことは現実に可能であろうか? 例えば、ディズニーランドはヒントになるだろうか。チケットを購入時点では、オンラインや専用窓口での消費行動になり、もちろん体験する以前に支払いを求められ、厳密に一文たりとも値下げされない、キャンセルもできない。ディズニーランドの1日券はマクドナルドで2ヶ月分の食費では?という大枚を求められる世界だ。ただ、一旦体験に入ると、つまり入園すると、そんなことは一切忘れてしまうような、フレンドリーなキャストや愛くるしいキャラクターに迎えられ、心躍る夢の国の体験をして、また来ようね!と誓ってしまったりする。ここまで明確に、購入と体験を分けるには、相当な作り込みが必要かもしれない。とはいえ、こと・体験を売る場合、事前に精算できるオンライン購入システムと、当日にこと・体験を提供する人・場所がある場合にはかなりの確率で楽しい実験ができるはずである。具体的には、事前購入を促す仕組みの強化、当日に精算・金額を感じさせない工夫、当日の提供スタッフと顧客との距離感についてのスタディなどである。

著者の主張|企業と顧客は市場規範で繋がるべき|
「顧客に提案する企業価値はシンプルにして、自分たちが何を提供し、見返りに何を期待しているかをはっきり打ち出すこと」、つまりビジネスとして割り切るべきと論じられていた。

予想通りに不合理 ダン・アリエリー

市場規範の繋がりと社会規範の繋がりの違い|セックス
社会規範の繋がりでは
「無料で手に入り、(理想としては)愛情に満ちていて心の糧になる」
市場規範の繋がりでは
「要求次第で手に入り、お金がかかる」
セックスをどちらの関係性とするかも基本的には二者択一。一般的には、帰宅して50ドルで寝てくれという妻/夫も、永遠の愛を求める売春婦もいない。

予想通りに不合理 ダン・アリエリー



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