遺伝子治療で不妊治療

こんばんは。

同じマンションに住む先輩宅で宅飲みに少しだけ参加したのですが、久しぶりのお酒を1杯飲んだだけでフラフラです。

今日は「遺伝子治療で不妊治療」というお話です。

こちらの論文から↓

卵子と精子ができる仕組み

卵子と精子ができるときは、減数分裂と呼ばれる現象が起きます。

↓こんな感じで分裂していきます。

要点だけ述べると、染色体の一部分を引き継ぎながら細胞が 1個 → 2個 → 4個と倍々になって増えていく、ということです。

減数分裂

さらに⑤以降から次のように分裂します。

画像2

引用元:産婦人科の基礎知識
http://www.san-kiso.com/sannka/ha-bunnretu.html

上の図では最終的(⑧まで進んだとき)に4つのパターンが作られましたが、実際には23本の染色体で分裂が起きるので、パターン数の『多様性』は莫大な数になります

このメカニズムによって卵子や精子がつくられます。

加齢によって減数分裂に異常が起こる

しかし人の場合、加齢によって減数分裂の以上が起こりやすくなります。

その結果、流産やダウン症などを引き起こしたり、また精子と卵子のクオリティが低下(奇形の精子ができたりなど)してしまいます。

精子と卵子のクオリティが低下すると、妊娠がしにくくなります。

なぜ、このようなことが起きるかというと、一つ前に述べた減数分裂について、染色体が上手く分配されないことが原因のようです。

そもそも、なぜ染色体がこのような分裂を起こすのかは、明らかになっていませんでしたが、今回の研究でようやくそのメカニズムを解明する糸口が見えました。

主役はMEIOSIN !!

減数分裂のメカニズムを調べるために、精巣と卵巣を調べてみたところ、ある遺伝子がスイッチの役割をしていることが発見されます。

その遺伝子をMEIOSIN(マイオーシン)と命名しました。

この遺伝子が精子や卵子をつくるときだけ活性化されることが分かりました。

下の画像(論文先より引用)において、MEIOSINが「スイッチON!!」の状態になると、精子と卵子が作られるというわけです。

画像3

※ちょっと補足
画像の体細胞分裂というのは、精子と卵子の元となるものをつくるはたらきをします。

試しに、このMEIOSINの働きを阻害したマウスを使って実験を行ったところ、オスは精子を、メスは卵子をつくらず不妊になってしまいました。

このことからMEIOSINが卵子と精子の形成に関わる重要な遺伝子であることが判明しました。

新しい不妊治療ができるか?

これについてはまだまだ先の話になりそうです。

このMEIOSINについてですが、正確にはMEIOSINをきっかけに他の遺伝子がはたらくことで卵子や精子を形成しているようです。

そこのメカニズムを明らかにしない以上、遺伝子を使った新しい治療法は確立されないと思います。

一方で遺伝子治療による不妊治療ができる可能性は大きくなった、とも言えます。

また、この技術を応用すれば畜産業や水産業での生産性の向上や、希少種の繁殖の補助にも役立つとも考えられています。

いずれにせよ、この研究はこれから大きく注目され、生殖医療に対して多大な貢献をすると思います。


それでは本日は以上となります。

最後までお読みくださりありがとうございましたー。

【おまけ】
不妊に関しては男性の精子の問題がウェイトを占めているような気がします。
年々、精子数や奇形精子を持った人も増えているようなので、その社会的な原因についても、MEIOSINをベースに探ることができれば面白そうだなー。

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