『中間管理録トネガワ』『食糧人類』などヒット作を生み出した編集者が次に選んだ場所とは_前編
こんにちは!
株式会社CyberZが昨年より参入したWebtoon事業『StudioZOON』担当広報の城戸(きど)です!
現在多くの作品を鋭意製作している中、さらに作家さんからの持ち込みも多数いただいており、大変ありがたい状況なのですが「せっかく良い作品が集まってきているのにマンガ編集者が足りない!!全然足りない!」という現場の声を受け、急遽採用広報をすることになりました!
ということで、『StudioZOON』の編集長を務める村松 充裕・鍛治 健人・萩原 猛の3名から、数あるWebtoon制作スタジオがある中でなぜ『StudioZOON』を選んだのか、 これまでのキャリアから今に至るまでの経緯や、各々の人間性などを深ぼっていく連載をスタートいたします!
もし現状にモヤモヤしているマンガ編集者の方がいれば、少しでもこの記事を読んで「あれ、面白そうかも」「ここでなら自分のやりたいことができるかも?」と思ってもらえると嬉しいです。(応募については最後に記載します!)
記念すべき第1回は『中間管理録トネガワ』『1日外出録ハンチョウ』『食糧人類』など数々のヒット作を講談社で生み出し、20年の編集者経験を経て現在『StudioZOON』の第二編集部の編集長を務める村松 充裕さんにインタビューを実施しました。
「転職して世界が2.5倍くらいに広がった。今、すごく楽しい」と語ってくれた背景や転職までの気持ちの変化、幼い頃はどんな人物だったのかなどご本人に詳しく話を聞いてきました!
ーまずは、これまでのキャリアについて教えてください。
2002年講談社へ入社し、週刊少年マガジンに配属されました。入社10年後にはヤングマガジンへ異動し、その後新規サービスとしてマンガアプリ制作に携わったのち、モーニングの編集部にて漫画編集に戻りました。
講談社に勤めて20年が経った頃、以前から読んでいたWebtoonに興味を持ち、2023年CyberZの『Studio ZOON』へ転職し、現在に至ります。
ー多くの部署を経験されていますが、特に印象に残った部署などはありますか?
どの編集部も楽しかったんですけど、ヤングマガジンが特に印象的でしたね。男子校感というか、熱い人、いい人が集まっていて部活みたいで楽しかったです。みんなヤンマガを愛していて、異動する部員を見送る時はみんな泣いちゃったりとか(笑)。
ーなるほど、この辺は村松さんがnoteで書いていた「退職エントリ」で細かく書かれていると思うので、今回はもっと遡って幼い頃のことを聞いてもいいですか?
幼い頃のことはあまり覚えていなかったのですが、僕が大学に受かった時に母親がどこからか一升瓶を持ってきて「あのみつひろが大学か〜…」ってコップで酒飲み始めて。普段は酒を飲まない母親なので「え、どうした?どうした?」ってなったんですけど(笑)
そこで母親が始めた僕の幼少期エピソードが、すっかり忘れてたんですけど、まあまあやばくて。遠足で亀追っかけて行方不明になったり、体育の時間に給食エプロンつけてきたり。夜遅くになっても帰ってこないので警察に捜索願い出そうかと話していたら「ペンギン捕まえた!」と言って白サギ抱えて帰ってきたりとか(笑)。とにかく周りとズレてて、親はずいぶん心配してたみたいですね。
小学校5年くらいからは意識がはっきりし始めて(笑)、福井県の田舎で育ったんで山登って遊んだり高校ではレスリングやったりしてました。思えば後に出版社に入ったのに、本とか全然読んでなかったですね。
ー意外です! いつから読むようになったんですか?
大学からですね。ずっと理系だったんですけど、高3で進路を決める時に理系の大学を見ていても興味をそそられなくて。「理系は得意だからやっているだけで仕事にしたいとは思ってないな」と気づいて、文系の大学を見てみたら、学科名だけで面白そうと思ったんですよ。文学部とか「文学ずっとやってんの?面白そう」となって。文転して文学部目指すと言ったら担任に「お前、全然本とか読んどらんやろ!」と猛反対されたんですけど(笑)。
結局某大学の文学部には少し届かず横浜国立大学の教育学部に進学しました。
極端なんですけど、高校でのレスリングがきつすぎて大学では文化部的な生活をするぞと決めていたので、写真部に入ってずっと映画や本を見たりしてました。都会に出たんで最初は浮かれて夜遊びとかしてたんですけど、二十歳の時にクラブ終わりに明け方の増上寺を歩いていたら急に「あ!もう飽きたわ!」となって。そこからは全く遊ばずに家で1日映画5本観るか小説5冊読むみたいな引きこもり生活をしていましたね。これは全然飽きなかったです。
ーマンガじゃなくて小説なんですね。
マンガも読んでましたけど、小説とか思想書とかの方が好きで読んでましたね。元々文芸志望でしたし。それで文芸と関わりあるところにいきたいと思って出版社を受けました。
ー受けたのは出版社だけですか?
そうですね、出版社と名のつくところ全部受けてました。講談社は第1志望でしたけど、さすがに無理かなと思って。まずはどこかの出版社で実績を出して10年くらいかけて講談社に辿り着けるといいなと思っていたらラッキーなことに受かりました。
ーじゃあ『編集者』には本を読み始めた大学くらいの時になりたいと思い始めたんですか?
そうですね。最初は作家になりたいと思ったんですが、別に書きたいこともないなと思って、「じゃあ作家じゃないな、編集者だな」と思って編集者になりました。
ー夢が叶ったんですね!
そうですね、ほんとラッキーでした。
ーでは次に漫画編集者からWebtoonに興味を持ったきっかけまでを教えてください。
最初はcomicoがリリースされた時で、10年以上前だと思うんですが、初めてカラーの縦読みを知り、どんな感じだろうと思って読んでみたら、当時はどちらかというとよく言われてるような『スナック感覚』のものが多くて。
自分たちが普段作家さんと作品のテーマとかを夜な夜な語っている感覚からすると、良い悪いというよりも、ほんとに『スナック感覚』で、自分で作りたいとも作れるとも思わなかったんです。最初は「これ支持されるのかな?」と懐疑的でした。
でも『ReLIFE』がすごく売れていて、「若年層中心にユーザーは増えてるっぽいぞ」とは思ったんですが、やはり「マンガが食われる」とか「マンガやばいな」って感覚にはならなかったんです。
そこからもう少し下って5〜6年前ですかね、ピッコマとかLINEマンガでWebtoonがで始めた時に盛り上がってきたなと感じた時があって、ちょうど僕はコミックDAYSを立ち上げようとしていただったので、Webtoonの状況が気になって韓国や中国に出張へ行ったんですが、その時はマックス危機感を感じました。「これはもうあと数年でWebtoonにとって代わられるぞ」くらいに思いました。
ー何にそんなに危機感を覚えたんですか?
現地のWebtoonの盛り上がり方、関わっているクリエイターの数がすごくて。加えて、日本のマンガが全然読まれてない。Webtoonに慣れてるとマンガが読めないんです。白黒だし内容も複雑でよくわからないってなるんです。
ーマンガを読むにも技術とか能力がいると以前発言してらっしゃいましたね。
そうなんですよ。当時、現地でプラットフォームを運営している世代の人たちは、元々日本のマンガで育った人たちが多かったんです。読むこともできるしリスペクトもある。でも、「日本からあの名作を仕入れてきたぞ!よっしゃ配信したろ!」とアプリで配信しても今の若いユーザーには全然読まれない。そうなると元々マンガ好きで制作を始めた人たちも「あれ?Webtoonの方が上じゃん」ってなって。日本のマンガへのリスペクトが薄れていってる感じ、興味が失われていってる感じを肌身で感じてつらかったですね。
かつ韓国だとプラットフォーマーがWebtoonをやっているので、世界のコミックアプリランキングでもネイバー・カカオなどWebtoonのアプリが上位を席巻していて。そういう流れにマンガが乗れてない状況を見て「…これは数年でまくられるんじゃないか?!」と思っていました。
ーでも、フランスとかは日本のマンガが読まれてる印象なんですが…
確かにそうですね、ちょっと状況を解説するのに前提知識が必要なんですけど。まずマンガの主要な市場って北米・ヨーロッパ・東南アジアとかなんですけど、ほとんど紙で読まれていて、電子で買ったり読んだりする文化が海外では日本ほど伸びてないんです。そんな中でWebtoonは各国のアプリランキング上位に入っていて、スマホでかなり読まれている。グローバルで見ると「紙のマンガ、電子のWebtoon」という感じなんです。近年マンガは紙市場で順調に伸びてますが、スマホで読まれている数でいえばWebtoonの方が圧倒的に多いと思います。
ーなるほどです!そのグローバル市場の状況に危機感を覚えて、Webtoonをやってみようとなったんですか?
グローバル市場を見て危機感を覚えたというより「中韓でこんな人数がこの熱量で作っていたら、数年以内にWebtoonにも『ドラゴンボール』みたいな作品が出てきて、スマホで読むならマンガよりWebtoonだ、みたいに日本でも世界でもになるんじゃないか」と思っていたんです。
でも結果からいうと『ドラゴンボール』みたいなメガヒット作は意外と出てこなかった。普通にヒットはあったんですけど、マンガにあるような巨大IPと言われているようなものがでてこなかったんです。そうしてるうちに『鬼滅の刃』みたいなメガヒット作がマンガの方に現れて市場が盛り上がって「あれ?案外大丈夫なの?」となったのが3年前くらいです。
そこからあまりWebtoonを注視しなくなったんですけど、去年くらいに『マンガの編集者を続けることへの行き詰まり』を感じてWebtoonを久しぶりにまとめて読んでみたら、だいぶレベルが上がってて。作品の幅ももっと広がっていきそう、自分にできることもありそう、そして面白そう!と思い「Webtoonに挑戦しよう」と決めました。
たくさんお話しが聞けたので、続きは後編でお送りいたします!
後編ではいよいよ「なぜ数あるWebtoon制作スタジオの中から『StudioZOON』を選んだのか?」についてなど、さらに踏み込んだ内容に!
経験のあるマンガ編集者を募集中!
現在『StudioZOON』では、マンガ編集者、アートディレクターなどを募集しています。この記事で興味を持った方は、ぜひ一度こちらをチェックしてみてください。
不明点などがあれば以下までお気軽にお問い合わせください。
株式会社CyberZ 広報:城戸
kido-risa@cyber-z.co.jp