見出し画像

どうやってゲームプランナーになったか

こればっかりは人によって様々だと思いますが、まずは僕の場合をお話します。
これだけ先にお伝えしておくと、「ゴリゴリの未経験」でゲーム業界に入りました。


営業マン時代

僕の場合は、ゲームプランナーとしてはちょっと変わった経歴でして、まずリクルートという会社に入って営業マンをやりました。

当時、コミカルなCMでおなじみのHot Pepperの飛び込み営業でした。いきなり飲食店に飛び込んで「どーも、Hot Pepperいかがですか~?」をやる仕事です。

ちなみに僕の営業成績はボロボロで、営業マンには向いていませんでした。正確には「営業のやり方を知らなかった」だけなんですが、とにかく「売れないなあ、合わないなあ」と四苦八苦していました。3ヶ月間、新規受注を取れなかった時は流石に心が折れました。

ただ、その時はITの波が凄くて、サイバーエージェントとかがブイブイ言わせてた頃です。そんな中「これからはITだ!」と決意し、小さなITベンチャー企業に入ります。


ITベンチャー時代

入った会社は、良い言い方をすれば文字通り「何でもできる」会社でした。ちょっと悪い言い方をすれば、「何でもしなきゃいけない」会社ですね。DIY精神というか、マルチタスクというか。シンプルに人がいない。まさにベンチャー会社って感じでした。

企画書作成、仕様書作成、デザイン、コーディング、プログラム・・・。
当時隆盛を極めたFlashの仕事も多かったですね。それに加え営業マンとして営業することもありました。

要するに、IT企業で取り扱う仕事を全部やった感じです。会社の中にいてフリーランスやってる感覚ですね。

もちろん毎回一人でこなすわけではないですが、営業マンとして企画書を書きつつ、別の仕事のデザインやりながら、別の仕事のプログラムも書きます、みたいなことはザラでした。

そんなこんなで、営業マンだったり、デザイナだったり、コーダーだったり、Flasherだったり、プログラマだったり、企画マンだったりと、いろんな仕事をチョイチョイかじりながら、IT業界にモミモミと揉まれました。

その時に一番楽しかった仕事は「ある芸能事務所のIT化」という仕事です。事務所主催のライブイベントのペイパービュー化、Webでのファンクラブを作るなど、アナログなものをデジタル化するというプロジェクトです。実際にタレントさんと打ち合わせをしてコンテンツを作った経験は、後のゲーム開発に大きな影響を受けていると思います。


Webデザイナ時代

そんな中で結婚をするんですが、「この暮らしはさすがに無理があるな」と感じ、もう少し自分のペースで仕事ができて、かつ集中して仕事できるところに入ろうと、音楽大手会社の子会社に入社します。

そこでは着メロ・着うたを販売する携帯サイトの運営をしていて、そこのWebデザイナを担当しました。主な業務は、運営サイトの企画、改修提案ですね。ざっくり、ECサイトの運営と思ってもらえればOKです。

一応、そこでもデザインとコーディングはやるんですが、自分が提案した企画や仕様改修を自分でしっかり最後まで面倒見る感じなので、前の会社と違ってPDCAがあるんです。

例えば「このページ、クリック率悪いな」という問題が見つかり、「どうすればクリック率が上がるか」を検討します。「ボタンの色・サイズと位置が悪いのでは?」という仮説を立て、「大きく明るい色のボタンを複数の場所に設置」という仕様を作り、それを自分で実装します。

実装後は「クリック率が上がったかどうか」を検証し、数値に上昇が見られたら、「さらに良くする」か「また別の問題を探して潰していく」という仕事です。

これって当たり前のことなんですが、この反復作業が今の僕に通じる大きな要素になっています。「考えたもの、作ったものを自分で確認する」って凄く大事なことで、ことゲームにおいても重要&重要&重要です。

その会社では最終的にWebディレクターとして、複数の着メロ・着うたサイトを監修する仕事をしました。その頃には、自分で実装することは少なくなって、営業部の方と数字のにらめっこして仕様改善などを議論したり、新サービスの提案など、企画に特化した動き方をしていました。

凄く楽しかったですし、やりがいもありました。ただ、ちょうどその頃が30歳の境目だったんですね。

「今の仕事楽しいけど、このままで良いのだろうか」

正直、サラリー的な理由もありました。

そこで「最後の就職活動」として、転職を決意しました。


最後の転職

実は、最初からゲーム会社に入ろうと思って転職活動を始めたのではなく、最初はWebサービスを提供している会社から当たっていきました。

転職エージェントを通したんですが、こっちが行きたいと思っていても向こうがNG、向こうが来て欲しいと思っていてもこっちがNG、みたいなことを繰り返して・・・しばらく経った頃。

今の会社から「是非会ってみたい」との連絡がありましたが、僕はというと「うーん・・・ゲーム会社かぁ」ぐらいの反応でした。

というのも、ゲームは大好きだけれども作れるわけじゃないし、作れるとも思えない。ゲームを作って来たわけでもない。今の自分が役に立てるとも思えないし、何よりこの一世一代の転職を失敗できません。

20代の頃の転職とはレベルが違うぞ、と慎重になっていました。

ただ、転職エージェントを通している手前、拒否しにくい。断ることで紹介頻度が減るのも問題ですし。なので「話だけでも」と答え、面談に行くことになりました。

面談では早速「この会社でどんなことをしたいですか?」と尋ねられましたが、僕には「何が何でもここに入りたい!」という強い思いはなかったので、下手に猫をかぶるより「どうなってもいい、本音を伝えよう」と思いました。

僕はソーシャルゲームが嫌いです。あれで世の中が良くなっていくとは思わないんです。なので、作るなら僕みたいな人間でも楽しめるものを作りたいです。」と伝えました。

「嫌な顔するかな?」と伺っていると、人事の方が「良いですね、あなたのような人を待っていました」と、各セクションのマネージャーをその場で呼び出し、2対1で始まった面談が一気に7対1になりました。

そこで技能的な質疑応答をし、現時点で何ができるかを伝えました。

それで面談を終了しましたが、その日の夜にエージェントさんから「ぜひうちに来ていただきたいと連絡があったんですが、どんなお話をされたんですか?」と鼻息荒く連絡が来ました。

なかなか一回の面談で決まることは稀だそうで、「ここで決めちゃいましょう!」と圧をかけてくるエージェントさん。嬉しいけれども、これで決めるかどうか、まだ迷っていました。

そして次の日、熟考した結果、会社にはお断りを申し入れたんです。

「心から会社に入りたい人がいる中で、僕みたいな考えの人間が入るべきではないのではないかと思いました。ゲームの制作経験も無いですし、お役に立てると思えません。」と。

すると、「そういう方々はもう既に採用したんです。それで今回の採用を打ち切ろうとしていましたが、まだ素晴らしい人材がいるのではないか、風穴を開けられるような人がいるのではないかと採用期間を延長したんです。そこへ弊社に来ていただけたのがあなただったんです。

と、なんかプロポーズ?みたいな事を言われました。流石にすいぶんと心を動かされました。それでもまだグズっていましたが、最終的には給料の条件面をクリアできたのと、何か縁があるのだと思い入社を決めました。

これがゲーム業界に入った経緯です。


こぼれ話

あとこぼれ話と言うか、入社した途端つまづきに遭った話をします。

結果的にゲーム会社に入社することになりましたが、転職活動中は全ての会社に企画職で受けていました。
なので企画職として採用されたのだと思っていたんです。

入社の契約の時に「ではこの契約で問題ないでしょうか」と人事の方から契約書を見せられた時、自分の肩書きが「デザイナー」と書かれていました。

あれ?企画職なのにデザイナー?」と思ったのですが、ゲームクリエイターのことをゲームデザイナーって言うじゃないですか。

「ああ、この会社ではプランナーのことをデザイナーって表現するのか・・・イケてるやん!」と一人で納得していたのですが、いざ入社してみたら普通にデザイナー採用でした。

「話ちゃうやん!」と肩を落としたのをよく覚えています。

そう、僕は入社当時はデザイナーだったんです。

つまり紆余曲折あってプランナーに転向することになります。

ゲーム業界のプランナーってデザイナーからプランナープログラマーからプランナーに転向した人がほとんどで、現時点では純血なプランナーって結構少ないと思います。


総括

結果、「営業マン」→「Webデザイナー」→「Webディレクター」→「デザイナー」→「ゲームプランナー」という変遷でゲームプランナーになりました。広告業界、Web業界、ゲーム業界ですね。冒頭でもお伝えしましたが、相当変わった経歴ではないかと思います。

ただ昨今だと、ゲームプランナーの中にも運営プランナーという分析専門のプランナーがいるので、Web系からその仕事に就く人は一定数いるかも知れませんが。

後になってみると、営業マン時代やIT系時代のノウハウが今の自分を大きく形成していることに気付かされます。おそらくゲーム会社からキャリアをスタートしていたらわからなかったこと・動けなかったことがたくさんあるように思います。

なので、ささやかながらいくつかの業界を見てきた人間として、他では得られないようなメソッドを提供できればと思います。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?