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詩集「空を泳いで、地を飛んで」

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箸休めに詩はいかがですか。
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2024年6月の記事一覧

ぱち ぱち ぱち

ぱち ぱち ぱち

ぱち ぱち ぱち
ふわっと上がって はじけてきえる

ぱち ぱち ぱち
こどもが手を叩く

ぱち ぱち ぱち
眼を閉じて開けてみれば

ぱち ぱち ぱち
そこに だれが 

還る

還る

僕が死んだら 海に撒いてください
そうしたら僕は人魚になって海に還るから

僕が死んだら 風に撒いてください
そしたら僕はドラゴンになって空に還るから

どうぞ心配しないで
あなたが僕を悼む間に
僕は次の生を謳歌してるから

あなたはあなたの生を
あなたはあなたの未来を
ただ謳歌してくれればいい

それを僕は 海から 空から
眺めて 笑っていよう

爪

爪を、ぬる
お母さん指、お兄さん指、お姉さん指、赤ちゃん指、そしてお父さん指

虹色に輝くそれは人魚の尾鰭
歌が聞こえるような気がして
天に手をかざす

21日間の人魚
次は誰になろう

そしてまた、爪を、ぬる

魚

空を泳いだ魚は 海を恨めしそうに眺めていて
海を泳いだ魚は 空を懐かしそうに眺めていたって

いつだってそうだ いつだってそうだ

あの魚は海が恋しいと言い
あの魚は空が眩しいと言い

飛び込むことはなく
空を、海を、泳ぐんだ
変わらない世界を泳ぐんだ

何も変えられないまま

泳いでいく 泳いでいく