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小説版『アヤカシバナシ』

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恐怖・不条理・理不尽…もしかするとそれは、アヤカシの仕業かもしれません。漫画『アヤカシバナシ』の小説版:怪談奇談短編集
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小説版『アヤカシバナシ』確認

これは、高校時代の私が、 休日に街をブラブラしていた時に経験した話です。 ちょっと田舎な街なので、当時は繁華街と言うか、デパートが競い合うように立ち並んだ場所へは自転車で1時間以上かかったと思う。 自転車を駐輪場へ置き、本屋さんへ入った。 古い本屋さんの匂いが好きだったので、持ってる本にわざわざ手を伸ばし、読む時間をつくったりした。 んー・・・そいういう時間が好きだったんですね。 すると気になる男性を見つけた。 カッコいいとかそういう気になるじゃなく、季節外れの

小説版『アヤカシバナシ』狐

信じてもらえなそうな話なので、 人に話したことはほとんどないのですが・・・。 仲の良いA子がある日、相談に来ました。 それはB子にお金を貸したが返してくれないとの事で、 問題はそこではなく、お金を返さずクラブに行ったりして、 遊んでると言う噂を聞いたと言うものでした。 実は当時職場がB子と同じ館内だったので、 様子を伺おうと思えばできない事も無かった。 つまり相談と言うのは、情報収集。 もちろんスパイじみた事はできないものの、 注意してみるね・・・と依頼を

小説版『アヤカシバナシ』行進

小学生の低学年の頃の話です。 それはそれは歴史ある古い小学校でした。 グラウンドも口の字型の校舎の真ん中にあり、 中庭と呼ばれるほどに古かった。 転校してからグラウンドって何?これ?広っ!て思ったくらいだ。 その小学校には施設が設けられており、 家に帰っても親が居ないから遅くまで預かりますと言う場所。 記憶では迎えに来ない親が居て、泊まったと言う話もあった気がする。 今はそんな事ないと思うが、昔は善意で用務員さんが 一緒に泊まってくれたりしたらしい。 現在

小説版『アヤカシバナシ』監視カメラ

私が大きなデパートでアルバイトをしていた時の話です。 以前から飛び降り自殺があった、トイレで自殺していた等、その手の噂はバイトする前からあったのですが、それ気にしていたら働けませんからね、住むわけじゃないので。 閉店するまでのシフトもあるので、電気を全て落として帰る役目が私の場合もあったりした。 真っ暗とは言え非常灯はついているのだが、それが逆に気持ち悪い。 分電盤室にてブレイカーを下ろし、懐中電灯を持って売り場をぐるっと回って居残り者がいないか、火の気が無いかの確認

小説版『アヤカシバナシ』生涯忘れる事はないでしょう

大きなデパートでアルバイトをしていた時の話です。 私は生き物が好きだったので、移動願いを出したわけではないのですが、何となく上が察したのかペット用品担当になりました。 売り場では今まで死にまくっていた1匹100円の金魚を環境改善により死ななくさせたどころか、売れ残りの金魚の巨大化に成功し、500円~1.000円の値段をつけても売れたりした。 売りものじゃないらんちゅうを立派に育てて、らんちゅうマニアが10万だすから譲ってと言われるほど、死んだペットコーナーを活性化させま

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メタル怪談『先輩は幽霊が見えるんでしょう?』suno

如月睦月『アヤカシバナシ』より、実話怪談をメタルサウンドに乗せてsunoに朗読してもらいました。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/61069446/463531008

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漫画『アヤカシバナシ』イメージソング(仮)「アヤカシバナシ」suno

漫画版 アルファポリス→https://www.alphapolis.co.jp/manga/61069446/66530929 小説版 アルファポリス→https://www.alphapolis.co.jp/novel/61069446/463531008

小説版『アヤカシバナシ』親友

これは、鈴木(仮名)先輩が経験したと言う話です。 出張先で、仲の良い幸平(仮名)から携帯に着信があった。 幸平と仲は良いものの、いつも時間を共にしている訳でもなく、 高校時代の親友、疎遠ではないがあまり今は会っていない… そんな感じだったと言う。 『おう、幸平久しぶり!どうした?』 『・・・・』 『もしもし?』 『パチ・・・パチ・・・』 『え?何?』ブツッ・・・ツーツーツー・・・・ 『幸平・・・何だったんだろう・・・』 時間も遅かったし、混線とか色々ある

小説版『アヤカシバナシ』ケモノツキ

誰もが聞いたことがあるであろう『憑く』と言う現象。 とある神主さんが、友人から相談された ケモノツキのお話を1つ致しましょう。 神主さんの友人の娘さんが、友達と心霊スポットに行ったそうですが、 翌日から様子がおかしく仕事にも行けずに辞めてしまい、 家でも時折暴れるので何かが憑いているんじゃないかと思う、 一度見てくれないだろうか・・・と相談を受けた。 神主さんには悪霊を払う能力もなければチカラもない。 だが知識は色々とあるので、それらで対応できればと言う話で

小説版『アヤカシバナシ』河童と幽霊

とあるタクシー会社に勤めていた親戚の叔父の話です。 上がり時間が一緒になった運転手仲間の吉田(仮名)が着替えながら叔父にこう呟いた。 『おれ・・・昨日河童乗せたんだよね』 吉田さん、疲れているんだろうと一瞬で理解した叔父は 『そんな日もありますよ、タクシーやってりゃ』 と、対応したのだが吉田は顔を赤らめて、半歩前に出て顔をズイ!と近づけ強い口調で言った。 『信じてないでしょう?本当なんです!長い髪の女だったけど、消えたんだ、真っすぐ進んでくれってそういうから暫く進

小説版『アヤカシバナシ』毛目玉

これは小学生の頃の話です。 イラストクラブ部長の私と副部長の圭子(仮名)、あと2名机をくっつけてクラブの時間を楽しんでいた。 台風接近により教室が暗かったせいもあり、話の流れが『怖い話』に変わってきていた。 家の婆ちゃんが仏壇に吸い込まれたとか、振り向いたら落ち武者が部屋にびっしり居たとか、どれもこれも今作ったろって話のオンパレード。 しかしここで圭子が声を殺してこう言い放った。 『昨日のゲゲゲの鬼太郎見た?』 『見た!毛目玉可愛い!』 『うん、それがさ、家にあ

小説版『アヤカシバナシ』訪問者

親戚の女の子が癌を患ってしまい、 余命宣告をされてから数ヵ月が経った。 私はその日仕事が休みで、午後から異常な睡魔に襲われ、 伴侶も仕事だったため少し眠ることにした。 ボムッ・・・ どれくらい眠っていたかはわからないが、 玄関のドアが閉まる音がした。 当時住んでいたマンションはホテルのような造りで、 ドアはとてもがっしりしており、閉まる時も静かに、 そしてゴムが吸い付くようなボムッと言う音がするのだった。 伴侶が帰って来るのは夜だ、明らかに今は夕方、 帰

小説版『アヤカシバナシ』ご飯ちょうだい

親族の話です。 子供になかなか縁がなくて2度の流産をしてしまいました。 身体も休まり落ち着いてきたある日のこと、 コンコンコン・・・ ノックの音で目が覚めたと言います。 朦朧とする頭の中で思考を巡らせる親族の奈央子(仮名)さん 『ん・・・ノック・・・の・・・音したかな?』 一生懸命脳を働かせようとする。 まずは時間を確認すると、深夜1時。 思考が少しずつ繋がる。 1時・・・ノック・・・そんなわけないか・・・と。 旦那さんは居るのですが夜の仕事なので、午前

小説版『アヤカシバナシ』渇き

我が家で起こった話です。 由来とか一切聞いたことが無いのですが、気づいた時には箪笥の上に日本人形が1体、ガラスケースに入れて飾られていました。いや、正確には置かれていたと言うべきか。要するに場所が無いから箪笥の上に置かれているのだ。 その姿は、とても質の高い日本人形で、子供ながらになんて美しい顔なんだ・・・と思ったほど。足元の何かを気にするように、裾をそっと払いながらうつむき加減でその何かを見つめているような立ち姿。なびく着物、全てにおいて美しすぎる人形でした。 ある日