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方法序説 (岩波文庫) デカルト

この本は、有名な「我思う故に我あり」の言葉が書かれているデカルトの書物です。フルネームでは、『理性を正しく導き、学問において心理を探求するための方法の話[序説] 加えて、その方法の試みである屈折光学、気象学、幾何学』というタイトルなんだそうです。近代合理主義の基となった考えというのが、一体どのようなものでるのか知りたくて手にとりました。

いずれはこちらも読まなければと思っており、まずはデカルトから。

後から続くものに道を遺す

一番おもしろかったのは、P83-84 第6部

なるほど、現在おこなわれている医学にそれほど効用の著しいものはほとんど含まれていない。しかし、わたしは医学を軽蔑するつもりは少しもないのだが、次のことを確信している。これまでの医学で知られているすべてのことは、今後に知るべく残されているものに比べたら、ほとんど無に等しいと、だれもが、医学を職業としている人たちさえも認めている。身体ならびに精神の無数の病気、そしておそらくは老衰さえも、われわれがその原因を知り、自然が提供してくれる医薬すべてについて十分な知識を持つならば、免れうることである。ところでわたしは、これほどに重要不可欠な学問の探求に全生涯を当てようと企て、わたしの見いだした道が、人生の短さと実験の不足とによって妨げられさえしなければ、その道をたどって間違いなくその学問が発見されるはずだと思われたので、この2つの障害に対して次のこと移譲によい策はないと判断した。それは、自分の発見したことがどんなにささやかでも、すべてを忠実に公衆に伝え、すぐれた精神の持ち主がさらに先に進むよう促すことだ。その際、各自がその性向と能力に従い、必要な実験に協力し、知り得たすべてを公衆に伝えるのである。先の者が到達した地点から後の者が始め、こして多くの人の生涯と業績を合わせて、われわれ全体で、各人が別々になしうるよりもはるかに遠くまで進むことができるようにするのである。

どうですか?

じぶんはこれを読んだ時、少年漫画の熱いシーンを目の当たりにしているような感覚を得ました。

ワンピースで白ひげが死ぬ時。

興味はねェが...あの宝を誰かが見つけた時......
世界はひっくり返すのさ......!!
誰かが見つけ出す その日は必ず来る...
”ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”は実在する!!!

と言ったように。

キングダムで王騎将軍が死ぬ時。

武に生き 一時代を築き
さらに武に死ねることは本望......
頼もしき次の時代の芽にも出会い
思い残すことはなく...
ようやく先に逝った戦友達のもとへ......
摎も笑っています

と思ったように。

先人たちが築き上げてきた歴史の上にさらなる成果を遺し、
先ゆく未来の者たちにとっての礎となす。

”学問において前へ進むとはそういうことである”とでもいうような、胸熱文章として読んでいました。

生きている内に徳を積み、死後よき世界へ進むために。というような世界観とは、似ているようで非なるものであり、むしろ話はすべてこの世に終始し、自らが死した先も人類にとって意義ある所業をなすことを旨とする。

そんな使命感溢れるものであるように感じられました。

ぼくらはそんな風に生きている

この箇所のもう一つおもしろい捉え方は、ぼくはすでに個人レベルで、そんな生き方をしていることです。

自分の発見したことがどんなにささやかでも、すべてを忠実に公衆に伝え、すぐれた精神の持ち主がさらに先に進むよう促すことだ。その際、各自がその性向と能力に従い、必要な実験に協力し、知り得たすべてを公衆に伝えるのである。

ある種とてもインターネット社会的な「シェア文化」のようなものも感じました。

じぶんの発見したものを公衆に伝え、世の中の発展に寄与する。

先日読んだ深津さんという方のnoteに書かれていた「ネット全体に奉仕をすること」という一言も彷彿とさせます。

あるいは、学問の世界そのもの自体がそうであるとも言えると思います。

論文を書くにあたって、「先行研究」を参考にし、自らはその研究の先にまた新たな発見を論文として残す。そうすると、またその論文を読んだ別の誰かが引用して、さらに研究を深める。こうして学問全体は前に進んでいく。

”学問”の世界観というのは、こういうものだと思っています。デカルトのこの文章はまさに、それを描いたものと感じました。

ぼくはそんな風に生きられているだろうか

「世の中は、そんな風にできている」と書きながら、自分自身は "学問(人類)への貢献" が、ちゃんとできているのだろうかと自問すると、応えに窮します。

「はい! できています!」と勢いよく返事のできる人はどれだけいるのでしょうか。

会社でしている仕事を振り返る。

そうすると、仕事のほとんどが使い捨てになっているものばかりであることに気がつく。

焦って作ったのが、ポートフォリオサイト。

死ぬまでの間に一つでも多くの書き物を遺すこと。

そんな風にじぶんに課題を与えながら、結局noteの書籍紹介ぐらいしかまだ書けていないけど、これで0ではなくなりました。

その意味で、家族を持ち子を育てている人を尊敬します。

人類にかけがえのない宝を遺し、育てているのですから。

終わりに

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