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ワタシから目が離せないアナタへ。

うざタイトルで帰らないでください。

我ながらタイトルが鬱陶しくて軽く引いているのだが、今回はヨガレッスンについて。
ヨガレッスンに来てくださる方の多くが
「運動不足で…」「首·肩こりがつらくて…」
「痩せたくて…」「とにかく体力がなくて…」
とフィジカルのお悩みをきっかけに訪れ、
実際に続けていくと、
「気持ちがおおらかになった」
「自分と向き合う時間がとれた」
「思考が前向きになった」
とメンタルの変化を喜ぶ。

レッスン中に生徒さんを眺めていると、「あぁ、この人は今すごく集中しているな。」とか「●●さんは、今日はソワソワして気持ちが外へ行っているな。」というのが、見てとれることがある。
レッスン後に声をかけると「どうしてわかったんですか!?」と驚かれるのだが、私が特殊能力を持っていなくとも、インストラクターの目線から観察すると生徒さんの心身の様子というのは意外とよく見えるものなのである。(「わかった気になる」のは危険だし、「わかった気になられる」のは不快であろうから、常に注意はしているが。)


『インストラクター凝視勢』の皆さま

今回は、グループレッスン複数人の集団の中に2割程度おられる『インストラクター凝視勢』の皆さまについて触れたい。

レッスン中、生徒さんはインストラクターの動きを見る。これは当たり前のことだ。
最初は誰でも見様見真似から入る。それを続けて、キャットアンドカウ、ダウンドッグ、ウォリアー…とアーサナ(ポーズ)を習得していく。
見様見真似をしばらく続けると、多くの方が私のほうを見ずとも、声のガイドを聞くだけで動けるようになってくる。

だが、なかには60-70分のレッスン中、ほぼずっと私の動きを凝視しようとする方もおられるのだ。
「仰向けになって、力を抜き、ぼんやり天井をみてみましょう」と声をかけるときですら、仰向けではあるものの首をダラリと横に向け、常にこちらの動向を窺うので、なかなかホラーである。
「視線を指先に…」と私が背後から声をかけても、首をグリンと180度以上回してこちらを見てやろうとする様子には執念めいたものさえ感じる。

これではなかなか「自分と向き合う時間」とはならないだろうし、各アーサナには正しい視線(ドリスティ:見るべきところ)というものがある。首はよく動くパーツだが、私たちの頭はそんなに軽くはないので、ぐりぐり動かすのはケガのリスクにも繋がる。

そういった場合「私のほうを見すぎず気にし過ぎず…」とガイドしてみるが、あまり変化はなく…。


見ない勇気と、きもちよさ

凝視勢の皆さまに、どうしてそんなにガン見するのかと個別に聞いてみたところ、「動きを間違えたくない」「レッスン内容を取りこぼしたくない」という生真面目派と、「そんなに見てるつもりはなかった」という無意識派に大きく分かれた。
どちらの気持ちもよくわかる。
せっかくお金を払って時間を使っているのなら、きちんと学びたいし、体に効かせたい。そもそも聞くより見たほうが早い。

けれど、見様見真似は見様見真似でしかない。
カタチを似せても、呼吸が深まること·縮んだ身体が伸びていくことの気持ちよさや喜びは、その人自身の体感にしかないのだ。
インストラクターと同じ形をとったからとて、その人の体に効いているかはまた別のことだ。
耳で聞いた情報を脳に伝え、処理してまた四肢に伝えていくことで集中力も磨かれていく。


私は出来れば、たまにポーズを間違えてもいいから、呼吸やポーズをもって得られる体感をフルに得て欲しい。私のほうなんか見ていてはもったいないですよ、と伝えたい。
怪しくもいかがわしくもない、自分の呼吸や身体を動かすことで得られる、健全な陶酔と喜びを。


ということを先日さっくりライトに凝視勢の1人Yさんにお伝えしたところ、翌週から私の方を見ることが減り、みるみる集中力があがってきた。
「見ないほうが、じんわり効いてくるきがします。ずっとヨガ続けてきて、今やっと新しいフェーズに入った感じです!」と嬉しいお声までいただいた。

私のほう見なくて平気勢。


とか何とか言いながら、

インストラクターを始めたばかりの頃は、そもそも生徒さんの前で動きを見せるだけで精一杯だった。そして、それは必要な経験だった。
出来るだけわかりやすく、美しく、無理なく動けるように練習を重ねた。

初めての方はもちろん、何年もヨガを続けている生徒さんだって、わからないときや迷ったときはこちらを見てほしい、とも思う。
「見ること、見ないこと」のよい塩梅を生徒さんとともにこれからも探りたい。

ちなみに私は、マッツ・ミケルセンかエディ・レッドメインがインストラクターだったら、もう60分ずっとガン味する。まばたきさえしない。
シャヴァーサナだって、起きちゃうぜ。

という生臭インストラクターなのでした。
どっとはらい。








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