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#8 株式会社●●バンド、設立してみる!〜バンドマネジメントと会社経営の共通性〜

前回、#7 音楽を生業とする〜音楽事業所得の税金〜でバンドのマネジメントのことにちょこっと触れました。

●バンドの経営
バンド活動の苦労をよく耳にしますが、聞けば聞くほど、会社経営における組織運営の苦労と同じように思います。バンドという組織のマネジメントは会社組織のマネジメントと同じです。誰かがリーダーシップをとり、バンドの方向性をまとめたり、対外的にギャラの交渉をしたり、その配分をメンバー間で行ったり。時には契約やら、請求やら、経理やらという事務も必要になるかもしれません。こうしたマネジメントを委託したりするケースもあるのでしょう。こうしたことを考えると、バンドメンバーで会社を作るというのもアリかもしれませんね。
一人株主で会社を作ったとしても、実質的には個人事業主と変わりはありません。一方で、経理やら、給与計算やら、いわゆるバックオフィス業務が負担になることが多いです。バンドメンバーでこうしたバック業務を共有することできれば、メリットは大きいかもしれません。
#7 音楽を生業とする〜音楽事業所得の税金〜

音楽を生業とするかしないかはともかく、楽しく音楽をやるつもりが、スケジュール、制作、ライブブッキング、お金の管理など、円滑に活動を進めていく為にやらなくてはいけないことが意外とたくさん出てきますよね。音楽センスだけでなく、バンド内外とのコミュニケーション、ギャラの交渉、ファンを獲得していく営業、チームマネージメント、会計といった総合的なビジネススキルを持つリーダーシップが必要となってきます。複数メンバーが協働する「バンド」を持続していくためには、「営利目的」かどうかに関わらず、バンドを「マネジメントする」ことが必要になるということだと思います。
今回の「ミュージシャンのためのお金が整う講座」では、「会社を経営する」ことと「バンドをマネジメントすること」があまり変わらないなら、「株式会社●●会社を設立してみる」ことをテーマにしてみました。

●会社なんて簡単に作れる!
「そもそも会社作るって大変じゃない?」って思っている方がいっぱいいますが、簡単にできちゃいます。「会社を経営すること」が大変なのであって、「会社を作ること」は簡単にできます。「バンドをマネジメントすること」が大変なのであって「バンドを作ること」は意気投合する仲間がいれば、誰でもできちゃいますよね?どうせ同じ大変なことをするなら、「株式会社●●会社を設立してみる」のはいかがでしょう、ということです。
会社を作る前に次の5つのことを決めておきましょうと言われます。
①社名
②会社の場所
③資金(資本金額)とそれを出す人
④役員をどうするか
⑤事業年度

バンドやる上であまり⑤事業年度は決めていないかもしれませんが、バンド名やバンドの連絡先、お金のこと、リーダーあたりは決めてたりしてますよね。
今どき、会社の簡単な設立の仕方はネットでいっぱい出てますね。
やってみよう!と思えば、簡単にできちゃうんです。

●会社作るのにいくら必要なの?
会社を作るのには1000万円とかの資本金が必要なんじゃないかといまだに思っている方がいますが、今は資本金1円でも作れます。ただ、会社が会社として認められるためには一定の手続きが必要で、会社の法定の設立費用は資本金とは別に必要になります。
法定の設立費用とは、会社を設立するために法務局や公証役場をはじめとした各役所に支払う費用をいいます。設立費用は設立する会社形態、資本金によって異なりますが、定款用収入印紙代、定款の認証手数料、定款の謄本手数料、登録免許税がかかり、株式会社では最低25万円、合同会社で最低10万円かかります(電子定款にするとさらにそれぞれ4万円安くなります)。
そんなにお金がないよ、という方もいらっしゃるかもしれません。だけど会社を作ることで、それを上回る経済的メリットがあるとしたら?そういうことを知らずに、会社を作ることを諦めていたら、それはもったい無いですよね?
#7でも書きましたが、個人事業主の場合、一般的には、個人事業の利益が800万円を超えたあたりで法人化するのが税務的にはメリットがあるといわれています。ですが、バンドは複数の個人事業主の集まりであるとも言えますし、ひとつのバンドだけでなくいくつかのバンドでひとつの会社を作る事だってできますよね。そうすることで、設立時のコストだけでなく、会社を運営していくときにかかるランニングコストもみんなで分担することもできます。

●応援団を巻き込め!
資本金は何も全てバンドメンバーだけで出す必要はありません。応援してくれる人に資本金を出してもらうことだって可能です。応援してくれる人って、身内や知り合いだけでなく、ファンやスポンサーなどだっていますね。最近流行りのクラウドファンディングなんかは、ファンの獲得と資金の調達を同時にしかける仕組みとも言えます。
もちろん考えないといけないこともあります。資本の出し手は「会社の持ち主」でもありますので、バンドで会社を作ったつもりなの、いっぱい「タニマチ」に出してもらったりすると、自分達の会社では無くなってたみたいなことになりますね。まあ、でも、そんなタニマチが見つかれば、その方がいいかもしれませんが笑。

●バンドの儲けを見える化する
さて、バンドで会社作ってみようかなって、思い始めましたか?
気軽にバンドで会社作ってみていただきたいと思うのですが、個人事業主が法人成りするのとは少し違って、実はバンドで会社をやる場合、もうひとつハードルがあるように思います。会社作るって、自分ひとりで意思決定すればいいのではなく、バンドメンバーが納得しなければ先に進みませんね。
ただ設立するだけなら、形式的には例えば資本金を4人のバンドで1/4ずつ出すことにすればいいだけなのですが、なぜ1/4なのかとか社長は少し多く出すべきなのかとか、色々出てきますね。給料出すのかとかもそうです。
こうしたことを話し合うためにも、お金の流れを見える化することが必要になります(いつもの講座に戻ってきた!笑)例えば今あるバンドを会社にするなら、今のバンドの活動によるお金の流れを見える化し、さらに、ちょっと先の予測をしてみます。これが事業計画と言われるものになります。
この事業計画ができると、バンドメンバーだけでなくもっと周りの応援団も出資しやすくなりますね。
実はこのように事業計画を作り、広く一般からお金を集めるということがクラウドファンディングであったり、もっと究極の形が株式を公開する(=上場する)ことであったりします。公開会社のこうした事業計画はHP等で公表されていたりします(例えばエイベックス https://avex.com/jp/ja/ir/

●まずは一歩踏み出す
最後に少しハードルを上げ過ぎてしまいました。
でも、バンドをマネージメントするにも、お金の流れの見える化は必要なことになってくるはずですし、何も会社を作る目的だけに必要なことではありません。また、これからバンドを作るなら、そんな大したお金の流れは無いでしょうから、とりあえずあまり考え込まずに会社も作るというのも面白いかもしれません。
「バンドメンバー募集!」のように「(株)〇〇バンド株主募集!」みたいなフライヤーがライブハウスに貼られたりとか。カッコ悪いか笑。


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