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micro planetary machine α

StudioMarusan.
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「音日記」七日目。宇宙的な、機械が奏でる、雅楽、みたいな。
今回は、前からなんとなくやろうと思っていた、非-平均律的に自由に音が動き回り、交わり、重なり、すれ違うようなコンポジションのアイデアを試してみた(ピッチはMIDIのピッチベンドで動かしている。)。
とはいえ、いきなりぐちゃぐちゃ音を動かしてもよく分からなくなってしまうから、まずはコードを想定して、それを元に動かすことにした。
Dm7 → Em7 ( → C#m7)。
平行移動(コンスタント・ストラクチャーといったりもする)のシンプルな進行。ただ、それぞれのパート(声部)を、同じ音程で同じタイミングで平行移動させても面白くない。そこで、まず移動する音程をバラした。
D → B(長六度上)
F → E(半音下)
A → D(完全四度上)
C → G(完全四度下)
その上で、さらになり始めるタイミングや音程が変わり始めるタイミングをずらした。また、それぞれの声部で周期の違う連続的に増減する速度によって点滅するように発音させたり、それぞれ違う周期でパンを動かしたり、(それに合わせて)それぞれ違う周期で音量を動かすことで、いくつかの惑星が頭の周りでぐるぐると回ったりどこかに行ってしまったりするような効果を作ることを試みてみた。
あとは、平均律で、タイミングを見定めながら、エレピを加工した音でコードのアルペジオを入れたり、(リリース・カット・)ピアノのメロディなどを入れ、ピッチ変化するパートとの微妙な不協和音・共鳴を生み出すことを試みた。

シンセの音作りやリバーブなどのミックス的な要素はあまりいじれていないし、コンポジションに集中しているとついついそういったところがいつもなおざりになってしまうところが、今の僕の課題ではあるかもしれない。
とはいえ、なんでも、慎重に、一個づつやっていくことは重要だ。僕はすぐ、もっと複雑にしたくなってしまって、結局自分でやっていることの正確な把握ができなくなって、創作を持続を頓挫させてしまう。息切れしてしまう。
そういう時に、やはり、足場となる理論や論理、言葉を持っていることは強みになると思うし、だからこそ、僕は、上に書いたように、自分のやっていることを言葉にして、確認するし、それは決して、何かをひけらかしているわけでも、理論に囚われたりしているわけでもない。あくまで過程、ではあるのだ。
今回のピッチを動かすというアイデアも、別に、形式的にそれを目的化しているわけではなく、あくまで、自分がぼんやりとイメージする音像にどうしたら近づけるだろうか、と考えた時に、そういった、新奇にも思えるアイデア(ピッチを動かしたり、テンポを動かしたりという)が出てくるだけなのだ。

ところで、この曲でやったように、様々なパラメーターが動きつつ、ある程度調和している、という状態を普通にMIDIやオートメーションだけで作るのは無理があるのではないか、と半ば諦めていたことがあって、だからこそ、僕はプログラミングを使った音楽とかにも挑戦してみていたんだけど、(それはそれでいいとして、)やはり、諦めずに、一つ一つ積み重ねて自分の追求する音像に近づこうとすることに意味はあるんじゃないか、と今また思い直しはじめている。
音の粒子、惑星、プランクトンが、入り乱れ、なんらかの形=リズムやネットワークを創発し、変化し、また不安定になり、というような音像。音と音楽の間。そんな音楽を誰が求めているのかは知らないし、僕がなぜそういう音楽を作りたいと感じるのかは分からないけど、今はそのような連続性を、手動で、アナログに作り出してみたいと思うのだ。

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