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竹内佑
2016年10月23日 23:37
詳しい駅名や地名などは書かない。知り合いの芝居を観に行った帰りのことである。芝居も面白かったし、よく晴れて気持ちも良かったため、劇場の最寄りである小田急線の駅までではなく、北に進んで京王線を超え、更に北の、井の頭線の駅まで歩いて帰ってみることにした。井の頭線まで歩いて、まだ体力も気力もあるようであれば、更に北上してJR中央線へ向かうのもありかな、と思った。そこまでいけば自宅まではも
2016年10月15日 10:41
■「九時くらいです。夜の」及川さんは細かく何度も頷きながら言った。「正確ではありませんけれど、大体そのくらいの時間に、家のインターホンが鳴るんです」及川さんがリビングでテレビを見たり、キッチンでやや遅めの夕飯を食べていたり、お風呂に入っていたりしている時、インターホンは鳴るのだ、という。「確かに遅い時間ではありますが、そこまで非常識に遅いって程じゃありません。宅配の荷物なんかも
2016年10月3日 02:45
「いやあ、俺は別に霊感とかそういうのはないんだけどさ」友人の紹介で知り合った、某テレビ局で美術の仕事を四十年以上しているベテランの長澤さんは、軽快に笑った。「働いてるのがテレビ局だからさ、色々とこう、なんか視た、みたいなことをいう人はいるわけ」渋谷の某居酒屋。長澤さんと、彼の部下である、まだ二十代の衣装班の小野t寺さんと共に酒宴を開いていた時の話。「どこそこのスタジオに白い女の人が