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音楽ビジネスで出資を受けるためにはどうしたらいい?【事例あり】

昨今、大きな盛り上がりを見せているスタートアップ業界。音楽業界も例外ではなく、数多くのスタートアップが出てきています。

しかし、音楽業界特有の慣習も多く、他の業界からチャレンジした方や業界経験の浅い方はとまどうことも多いはずです。

今回はそんな音楽業界での起業について、具体的なスタートアップの例や、いま求められているスタートアップのあり方などをご紹介します。


■音楽スタートアップで成功した例は?

では、順調に出資を受けて成功を果たした音楽スタートアップにはどういうものがあるのでしょうか?


1.ファンクラブビジネスの雄「SKIYAKI」

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ひとつめは、アーティストに対してファンクラブサービスを提供するSKIYAKI です。従来のファンクラブビジネスをデジタルに置き換え、音楽企業から受託を受けて着実な成長を果たしました。

成功の要因としては「ファンクラブ」という確実にニーズがあるサービスを扱っていたこと、デジタル化が進んでいない領域でいちはやく取り組みをはじめたことが挙げられるでしょう。



2.映像の効果音にイノベーションを起こした「AudioStock」

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映像用のBGMのマッチングサービスを提供しているAudioStockも音楽スタートアップの成功例のひとつと言えます。

セミプロのアーティストと低予算で映像制作を行う会社がマッチングできるプラットフォームを作り、新たな市場を開拓しました。

安定した需要があるtoBの領域をねらったわかりやすいプロダクトが成功のひとつといえるでしょう。



3.中高生に大人気の音声SNS「nana」

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3つ目は、スマートフォンで簡単に歌声や楽器演奏が録音・投稿できるアプリの「nana」です。中高生に強い人気を誇り、独自のコミュニティに成長しています。

マネタイズが難しいBtoCの領域ですが、DMM傘下に入ったことで新たな可能性を開きました。現在は創業者が株を買い戻し、さらなる成長に挑戦しています。


■音楽スタートアップが出資を受けるにはどうすればいい?

ここまでご紹介してきた音楽スタートアップも、最初から資金が潤沢だったわけではありません。プロダクトを開発し、出資を受けて徐々に成長を重ねてきました。

では、音楽スタートアップを志す場合、出資を受けるにはどんな方法があるのでしょうか?


1.投資家から出資を受ける

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もっともよく知られている方法は、エンジェルやベンチャーキャピタリストと呼ばれる投資家からの出資を受けることです。

音楽業界に限らず、起業を志す際にはスタンダードな方法です。しかし、音楽業界は業界としての市場規模が小さく、投資家から見てあまり魅力的な市場ではありません。
また、小さい業界ゆえに、音楽業界のことに詳しい投資家が日本に非常に少ないという事情もあります。

そのため、音楽スタートアップが出資を受けようとしても、興味を持つ投資家が(想像以上に)少ないという現状があります。


2.音楽系企業から出資を受ける

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音楽業界において比較的多い方法が、レコード会社・音楽出版社などの音楽関連企業から出資を受ける方法です。

デジタル化が遅れている企業などが、シナジーを求めてスタートアップに出資するケースは多く、スタートアップ側にも短期間で出資を受けられるというメリットがあります。一方で、買収元の企業の影響を受けやすいというデメリットもあります。


実際にスタートアップへの出資例が豊富な企業としては

・音楽専門チャンネルの運営で知られる株式会社スペースシャワーネットワーク

・レコード会社の日本コロムビアの親会社として知られる株式会社フェイス

などがあります。


3.音楽スタートアップスタジオから出資を受ける

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あまり知られていない3つ目の方法が、スタートアップスタジオから出資を受ける方法です。

特にエンタメ領域を専門として出資を行っている、我々Studio ENTREであれば、アイデア段階から出資の話を進めることが可能です。

デメリットとしては、法人設立時にスタジオ側が資本を持つため、できるだけ自身で株を持ちたいという起業家は慎重に考慮する必要があります。


■いま音楽業界に求められているスタートアップとは?

それでは、いま音楽スタートアップを立ち上げるならどういったものがよいのでしょうか?


起業家本人がモチベーションを持てる領域であることは大前提ですが、その上で求められているのは音楽業界のデジタル化を促進するイノベーションです。

ストリーミングサービスを始め、日本の音楽業界はグローバルスタンダードに比べておよそ6年ほど後ろにいると言われています。そのため、現在行われている音楽ビジネスをデジタル化するだけで十分にチャンスがあるといえるのが現状です。


まあ、「音楽業界だけ」にターゲットを絞らないことも重要です。成功例で取り上げたAudioStockのように、映像・ゲーム・イベント・広告など音楽業界と隣接している業界はたくさんあります。

そういった親和性の高い業界もねらえるサービスでないと、市場の小さな音楽業界では大きな成長が見込めないという点は考慮しましょう。


例として、Studio ETNREでは、現在NFT技術を使ったマーケット「.mura(ドットミューラ)」を開発しています。

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.muraでは、アーティストがこれまで行ってきたデジタル上での販売を、最新技術を使って置き換えることを目指します。こういった既存のビジネスをデジタルに置き換えるという発想は、音楽業界では有効です。


■音楽スタートアップを始めるときに気をつけるべきこと

最後に、音楽スタートアップを始める際に絶対に気をつけるべきことをご紹介します。


どんな業界・業種でもそれぞれに独自のルールがありますが、音楽業界もそれは例外ではありません。

そして音楽業界の場合、もっとも重要視される原則は「アーティストにリスペクトがあるかどうか」という点です。


音楽を生み出すのはアーティストであり、音楽業界の中心にいるのはアーティストです。

アーティストへのリスペクトを欠いたサービスは、たとえ一時的な成功をしても、アーティストからの反発を受けてクローズしたり、ファンが離れていったりすることになります。その点を忘れず、コンセプトやプロダクト開発を考える必要があります。


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音楽スタートアップを成功させるためのコツはいかがでしたか。
最後に、音楽スタートアップは、人によってはもっともやりがいのあるビジネスです。

好き」という気持ちをもっとも活かせる業界であり、ユーザーからの熱量や愛情も群を抜いて高いです。「このプロダクトを作って良かった」と思えることも、きっとたくさんあるでしょう。


ぜひ、やる気のある起業志望者の方をお待ちしています。


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