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楽曲分析について

はじめに

楽曲分析にはさまざまな方法があります。有名なものとしてシェンカー理論(Schenkerian analysis)があり、私は大学時代、この方法を使ってクラシック音楽の理論や分析を学び、当時は理解が難しく感じることが多くありました。

その後、大学院でジャズの作曲や編曲を学ぶ機会があり、そこで初めてジャズ特有のコード表記やメロディーとコードのみが記載された譜面に触れました。

ジャズの楽曲を読み込んでいくうちに、クラシック音楽で理解できなかったことが次第に紐づいて理解できるようになった、ということが度々ありました。

簡単な楽曲分析方法

当初、私は興味のある部分だけを分析していましたが、数をこなしていくうちに、モチーフの展開、構成、コード進行、歌詞との関係性など、次第に体系化され、楽曲を広く深く理解できるようになりました。

この簡単な分析方法はジャズにとどまらず、ポップスやクラシック音楽などの調性音楽全般に応用でき、楽曲のさまざまな特徴を理解し吸収することで、作曲にも役立てることができます。

楽曲分析の魅力

私は楽曲分析を通じて

・作曲家がどのような意図で作曲したのか?
・なぜ、このメロディーの形なのか?
・なぜこの音程なのか?
・なぜこの楽曲は素晴らしいのか?

といったこれまで意識していなかった別の側面が見えるようになってきました。そして、いつの間にか楽曲分析が趣味となり、興味深い楽曲を見つけると分析するようになりました。

誰でもできる楽曲分析

ある時から私は

「これって誰でもできるよね。だって、音楽を何も知らなかった自分ができるんだもの。」

と思うようになりました。そして、自分が楽曲から受けた感動をもっと多くの人と共有したいと思うようになりました。

本来、音楽は敷居の高いものではなく、誰でも楽しむことができるものです。また、偶然の出会いで特定の音楽を好きになることは一般的ですが、その逆もしかり、情報が特定の音楽を好きになるきっかけになることもあります。

例えば、ジャズのスタンダード曲 “Child is Born”が
・(Sad Jonesではなく)実は別の人によって作曲された。
・その作曲家の子供が生まれた時に作曲された。

というたった2つの情報を知るだけでも、その楽曲を無性に聴きたくなりませんか?きっとあなたは、YouTubeやspotifyでいくつかのバージョンを聴くことになるでしょう。そして、その中のいくつかがあなたの好きな楽曲リストに追加される可能性はかなり高いと思います。

つまり、楽曲分析は楽曲の様々な視点からみた情報です。この情報が様々なさまざまな音楽を好きになるきっかけになるということです。音楽の別の側面を知ることによって、今まで自分が興味を持っていなかった音楽を好きになるかも知れない、ということです。それって凄いことじゃありませんか?

楽曲分析の意義

繰り返しますが、楽曲分析は決して敷居が高く難解なものではありません。音楽をもう少し深く知りたいと思う人全員に与えられた機会であり、楽曲を深く理解し楽しむための手段です。専門用語や情報量が多いので初めは抵抗を感じるかもしれませんが、それはただ慣れていないからです。少しずつ、または何度も見ているうちに見えてくる世界です。

近い将来、皆さんが

「うわ〜この曲スゴい!」
「音楽ってこんな風に作られてるんだ!!」
「まるで精巧に作られたガラス細工のように、よく出来ている音楽だ!!」

などと感動する日がたくさん訪れることを心から願っています。



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