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SixTONESと出会って

ジャニーズ事務所所属のアイドルグループ『SixTONES』。今日はSixTONESと僕の出会いについて綴っていこうと思う。
2019年。その頃といえば、僕は中学二年生で、QueenやMALICE MIZERを聴いて悦に浸っていた頃である。
当時の僕は、とにかく70年代〜90年代の国内外のロックが大好きな少年で、現代のJ-POPやヒットチャートを冷めた目で見ていたガキだった。勿論、アイドルの音楽なんてとバカにしていた。逆張り癖なのかなんなのか、米津玄師の曲にまで「これだから今の音楽はだめなんだ」とか毒づいてしまうイキったガキであった。かわいらしい。
僕はロックの中でもヴィジュアル系が大好物だった。これは今でも変わっていない。特にGACKTやX JAPAN、MALICE MIZER(第三期まで全部)が好きで、当時の僕もそれは同じだ。

Imitation Rainの衝撃


そんな青臭い少年に、吉報…と言うべきかはわからないが、驚くべき情報が飛び込んでくる。
忘れもしない、2019年11月27日。僕は後期中間テストに向けて試験勉強をしていたが、居間のテレビからこんな情報が飛び込んできた。
「X JAPANのYOSHIKIがジャニーズアイドルのデビュー曲を作曲した」と。
これは現代のヒットチャートを冷めた目で見て、アイドルを馬鹿にしていたガキからすれば由々しき事態である。自分の大好きなバンドのリーダーが、アイドルグループのデビュー曲を作曲するという。
誰でも、今までの自分の言動が急に恥ずかしくなってくるに違いない。
僕は筆を擱き、テレビの目の前まで行ってじっくりと見つめた。グループの解説なんて聞いている暇はなかった。頭が真っ白になっていたのである。
「なんでジャニーズなんかに」
「いや、YOSHIKIが見込んだなら相当凄いグループなはず」
と、相反する二つの感情が渦巻いていた。
そして明かされた曲名『Imitation Rain』。ヴィジュアル系ファンならすぐにピンとくるはずだ。そう、X JAPANが得意とするバラード曲にして邦楽史上に残る傑作の一つ『ENDLESS RAIN』である。
YOSHIKIは今まで、西城秀樹や松田聖子、サラ・ブライトマン、Queenのドラマーであるロジャー・テイラーなど、国内外問わず著名なアーティストたちに楽曲提供をしてきた。
だが、曲名にまであからさまにXの色を出してくるのは、YOSHIKIが創設したレーベルである『エクスタシーレコード』からデビューしたGLAYのデビュー曲『RAIN』を除いてなかった。
GLAYに続いて『RAIN』の名をYOSHIKIから譲り受けたSixTONES。この文言が曲名に入っているということは…と、僕は期待を膨らませ、最終的には期待が不安を追い越した。
「なんか背のでかい六人のいかついお兄ちゃんたちがYOSHIKIの世界観を見事に表現してくれてる」と、肌で感じたのである。
歌がうまくて幻想的なオーラを醸し出している金髪のお兄ちゃん。当時の僕は六人いるメンバーの中でも特にこの漢に釘付けになった。
その「金髪のお兄ちゃん」こそが、自分が人生で初めて推すことになったアイドルである京本大我、その人であるのは後半で詳しく書くことにする。
さて、話をデビュー曲に戻そう。
『ENDLESS RAIN』や『Silent Jealousy』のイントロを彷彿とさせる泣きのピアノから曲は始まった。
この時点で当時の私は既に心を掴まれていたのだが、京本大我の「戻れない~」のパートで完全にSixTONESの虜となった。
アイドルや現代のポップ・ミュージックをナメていたガキでも、「いいものはいい」と素直に言える精神はまだ残っていたのである。

少年の音楽観を覆した六人の漢


さて、YOSHIKIのおかげで奇跡的にSixTONESと出会った僕は、今まで手を出してこなかった現代のヒットチャートをやっと聴き始めた。
それから、僕は時代など関係なく、ロック・ミュージックを中心に邦洋問わず様々な音楽を聴き漁っている。ちなみに今はSlipknotの最新アルバム『The End, So Far』を聴きながらこの記事を書いている。
現代のヒットチャートを聴き始めてからというもの、当然のことではあるが音楽への視野が圧倒的に広がった。
現代のJ-POPは90年代やそれ以前の音楽、遡れば演説歌や民謡がなければ今の形をしていない、ということもSixTONESとの出会いがなければ学べていなかったであろう。
あの六人の大漢たちは一人の少年の音楽観を根底から覆し、それまでヴィジュアル系やメタル一辺倒だったその少年を虜にしてしまった。
アイドルなんて、と小馬鹿にしているイキった学生には最適な特効薬。
それが『SixTONES』だ。

人生初の『推し』

アイドルを好きになる上で外せないもの。それは『推し』の存在である。
推し活文化の源流といえるようなものは、実はヴィジュアル系に存在していた。
MALICE MIZERで例えれば、Mana様のコスプレをしている人が現代でも溢れかえっているし、ライブでよくMana様とかKöziとか叫んでいる人がいた。
僕はマリスを好んで聴いていたものの、あくまで音楽性を好きになったのであって、推し活的な意味での『推し』はいなかった。GACKTやKlahaが推しだったと言われればそうかもしれないが。
そんな僕に初めてできた推しが、京本大我である。
ライブで力強くも秀麗な歌声を披露してくれる彼に僕は魅せられた。
あの歌声を聴いてhydeやGACKTを思い浮かべた人も少なくないと思うが、
私は彼のこぶしの効いた美しい歌声から『ヴィジュアル系』の遺伝子をひしひしと感じる。
特にLUNA SEAのRYUICHI、GACKT、MALICE MIZER第三期ボーカルであるKlaha。この三人の歌声をミックスさせ、そこに美麗さをふんだんに盛りつけたのが京本大我である。大のヴィジュアル系好きである僕が好きにならないはずがなかった。
さて、『推し活』をする上では、その人の音楽的な部分とは別の部分にも目を向ける必要がある。京本大我、通称『きょも』はライブやMVでの麗しいパフォーマンスがまるで嘘かのように、YouTubeやファンクラブ、テレビ番組ではど天然な様子を披露する。そのギャップに僕はやられてしまった。

邦楽、洋楽、K-POP

さて、今までSixTONESが繰り出してきた楽曲たちを聴いてみると、邦楽はもちろんのこと、洋楽やK-POPを意識した楽曲も多い。
例えば、最新アルバムにして3rdアルバム『声』に収録されている『Outrageous』は邦楽というよりも洋楽のEDM的な側面を意識した楽曲となっていて、とてもジャニーズというかアイドルの楽曲とは思えないような仕上がりになっている。
かと思えば、1stアルバム『1ST』の表題曲である『ST』ではMY FIRST STORYやONE OK ROCKの初期、coldrainを思わせるようなド直球のラウドロックをぶちかましてきた。ここまでド直球のラウドロックを男性アイドルがやるなんてのは世界で初めてだろう。女性アイドルならPassCodeとか我儘ルキアとか色々いるが、男性アイドルはそもそもラウドロック系バンドは男性が大半なため、わざわざ男性アイドルが供給する必要はない。
しかし、SixTONESは果敢にもそこに挑み「男性アイドルだからできるラウドロック」を見事にぶちかました。
ジュニア時代の楽曲では、2ndシングル『NAVIGATOR』に収録されている『Hysteria』は一聴しただけでK-POPを意識しているとわかる曲なのだが、そこに六人の個性がぶつかりあった表現力が合わさり、K-POPがS(ixTONES)-POPに『変身』したかのような雰囲気まで醸し出す。
ジャンルレスなアイドルというのは多々いるが、ここまで多くのジャンルに手を出し、その上、すべてがかなり高レベルにまで昇華させてくるアイドルというのはSixTONESだけではないだろうか。
先述した楽曲以外には、ボーカロイド的な表現を多大に用いた『うやむや』『フィギュア』や、4月12日に発売される最新シングルの表題曲である、アタッカーなHIPHOPチューン『ABARERO』など、本当に数え切れないほど多くのジャンルにSixTONESは挑戦している。

SixTONESは僕の人生を変えた

さて、SixTONESについて色々語ってきたが、ここで言っておきたいことがある。
SixTONESは間違いなく僕の人生を変えた、ということだ。
自分で言うのはなんだか憚られるような思いだが、僕の音楽遍歴は実に奇怪だ。最初に聴いた音楽はGACKTにEXILEにWham!という、なにからなにまでバラバラだが本当に素晴らしいアーティストたちだ。
小学生は音楽とそこまで関わることはなかったが、中学生になると音楽にのめり込むことになった。先述したように、MALICE MIZERやX JAPANを始めとしたヴィジュアル系バンドと出会い、QueenやLINKIN PARKのような洋ロックアーティストたちと出会い…
そんな中学時代の最後に出会ったのがSixTONESだ。彼らとの出会いで僕の音楽への価値観は一気に変わり、良い音楽に時代なんて関係ない、アイドルでも良い音楽は作れるんだということにようやっと気づくことができた。
彼らがいなければ、高校に上がってからBTSやLE SSERAFIMのファンになることなんてなかったし、Vaundyや藤井風、常田大希のような現代のJ-POPを象徴する天才アーティストたちに出会うこともなかったであろう。
SixTONESというアイドルの存在は、僕の人生を変えたアーティストの一つとして胸に刻まれている。
それと同時に、SixTONESは仮面ライダー、スーパー戦隊、ウルトラマンと同じく、僕にとってのヒーローでもある。






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