極める

新年最初のお楽しみは何か?箱根駅伝です。異論は認めません(笑)。

ニューイヤー駅伝、大学ラグビー、高校サッカー、大学女子駅伝、各種格闘技などなど、年末年始はスポーツイベントが目白押し。中学からずっとスポーツの世界に身を置いてきた自分にとって、一年で一番興奮する時期かもしれません

箱根駅伝はその中でも段違いの注目度・規模でのイベントでしょうか。数ヶ月前から特番が組まれ、企業と学生が一体となって準備を進め、学生トップクラスの選手たちが各々ハーフマラソンの距離を走って東京・大手町から箱根・芦ノ湖までタスキを運ぶ。こたつに潜っておせちをつまみながらテレビで観戦する我々には想像もつかないほどに過酷なレースなのでしょう。沿道に立つ人の服装や、死力を尽くした選手たちが後続の仲間にタスキを託して崩れ落ちる姿から、レースの本質が垣間見えます。わずか1時間少々で1年間の弛まぬ努力の全てを出し尽くし、華やかに、泥臭く駆ける選手は見るもの全てを引きつけて止みません。

勘違いしてはいけないのが、これが競技結果と生活が直結したプロによるレースではなく、多感な若者、まして所謂「人生のモラトリアム」とも時に言われる大学生活を過ごしている学生たちのレースだということ。自分と同年代、もしくは年下の選手たちが、プロに引けを取らないどころか、時にプロをも超越した次元で競い合っているのです。自分たち「普通の」学生が勉強し、友人と遊び、飲んだくれ、アルバイトで小遣い稼ぎをしている間も、彼らは生活の全てを走るという、人間が行う最も基礎的な運動に全てを捧げ、時間の流れに抗う術を身につけている。

種目は違えど同じウレタン製の楕円の上に立っていた人間だからわかります。彼らは凄い。大学入学前に頂点を極めていようと、次のステージ、異なる次元でもう一度、高みを目指そうとしているのだから。そしてそれができるだけの能力があるのだから。突き詰めて突き詰めて、どこまでも果てしない道のりを、走っていく。

そうして彼らは、極めていく。走るという単純極まりない行為を、見るもの全てを引きつける極限のパフォーマンスへと昇華させていく。

ひたすらに一つの行為に向き合い、自分のエネルギーを全て注ぎ込む。そして誰にも真似できない究極の何かを生み出す。自分も人生で一度くらいは、そんな瞬間に立ち会いたいと思う。

彼らにとっての走ることがそうであるように、自分が人生をかけてもいいと思えるものに出会うまで、旅は終わらない。でも、自分が本当に目指したいものが最近、少しはっきりしてきたような気がする。

卒論と就活が終わったら、きっと今とは違う世界を見ているんだろうな。


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