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リードタイム20日前後のSaaSプロダクトにおける受注金額ヨミの管理手法

こんにちは、株式会社HERPの宮田です。

採用管理システム「HERP Hire」を提供しているBtoB SaaS企業でフィールドセールスチームのマネージャーをしています。

HERP Hire は2021年10月に正式リリースから約2.5年を迎え、フィールドセールスチームでは新規獲得MRRをKGIとして掲げ、Q単位で金額目標を置きつつ月次の金額目標達成に向けて日々活動しています。

が、ヨミ管理は難しい…どの組織でも新規受注金額は重要な指標に置かれているかと思いますが、一方で商材の特徴や案件管理の徹底度合いによってヨミの出し方は様々なのではと思っています。

かくいうHERPもこれまで二度三度とヨミ管理の手法を変えながら、試行錯誤して今の形に落ち着いています。そこで本記事では、月次の受注金額の着地・ヨミ管理について整理してみます。これまでの変遷も書こうと思いましたが長くなりそうなので、一旦今の管理だけ。

💡 本記事でわかること
・(リードタイム20日前後の商材における)ヨミ管理手法
・手法の Good / More

💡 想定している読者
・精緻なヨミ管理に困っているセールスチームのマネージャー/メンバー
・即座に月末着地を把握したい経営層
・セールスチームとのアポ数調整に難儀しているインサイドセールスチームの方

HERP Hire という商材や組織の特徴

まずはヨミ管理の前提となる特徴をかいつまんで整理します。

● 商材
アポ獲得から初回訪問までのリードタイムはおよそ7日程度
・案件は2種類に分けており、初回訪問to受注のリードタイムが異なる
 1.新規導入(即日~長くて30日程度)
 2.他社サービスからの乗り換え(20日以上。長いと数ヶ月)
・価格帯は提供内容に応じて数万~十数万円/月の幅がある
・商談のカウンターパートはHR部門の担当者もしくは経営層がメイン
・一案件における商談回数はざっくりと2~3回ぐらい
・案件ごとに個別提案を作り込んでおり、1度の商談で受注可能性がグンと上がる(上げる)こともある
●組織
fsメンバー4名+マネージャー1名という体制
・これから初回訪問を実施するものをアポ、初回訪問後に検討に乗ったアポをパイプラインと呼んでいる
・各人が月数十件のアポを持つ
・人によっての受注率の偏り等は特になし
・Salesforce で案件を管理、ヨミの算出には一部スプレッドシートを利用

ヨミ管理のポイント

私個人としては、ヨミ管理において大事なことは2つだと思っています。

1.月初の時点での目標達成見込みと、達成への道筋を描くこと
リードタイムが20日前後=新規アポの月内受注可能性が高いということなので、必然的に 持ち越したパイプライン+当月の初回アポ の合計でヨミが構成されます。
よって、以下2点をクリアにすることで、全員が達成までの道筋をクリアに描き動き方がブレないことを意識しています。
持ち越したパイプからどのくらい受注できそうか(fsの必達ライン)
今月何アポ作ればよいのか(isの必達ライン)
THE MODEL 型の組織だと予めQ単位などで決められたアポ数を追うことが多いと思いますが、個人的にはその目標を達成しても最重要KGIである新規獲得MRRが達成されなければ極論意味がないと思っています。顧客にサービス価値を届けてなんぼ、です。事前の目標はもちろん抑えつつ、当月の目標達成のためにしなやかに動きを変えることができるチームを意識しています。
インサイドセールスチームでKGIをパイプライン数に変えて受注までコミットしてもらう体制も良い変化を生んでいます。)

2.中旬~末にかけて、どの案件まで取れれば達成できるのかというラインの確認
だいたい15日ぐらいをすぎると、「今月の目標達成できるかな…(そわそわ)」となりますよね(わたしはなります)。このタイミング頃からは、なんとなくの●件取れればOK~というよりかは、「XX社とYY社まで取れれば100%達成です。保険として薄いですけどZZ社もあります。全部入ったら110%達成もありえます」みたいな正確なヨミが必要だと思っています。
ここまで正確に見るからこそ、「この案件は絶対に落とせない。上長同席でガッと進めよう」等の受注に向かった最適な動きが取れると思っています。

現状のヨミ管理手法

(効率はさておき)上記のようなポイントを抑えるために、以下3ステップでヨミを出しています。

● 月初(1st STEP)
1.持ち越したパイプラインから今月何件受注できそうか
前月にパイプラインに乗って月を跨いだ案件から何件受注できそうか。例えば持ち越したパイプラインが100件あって、その内10件の受注が狙えそうというイメージ。さらに具体的には100件を Commit/Effort/Best/その他 といった4つに分類しています。Commitは契約手続きに進んでいるのでほぼ100%受注、Effortは50%ぐらいの受注確度、Bestは10~20%ぐらいの受注確度 と主観で分類し、それぞれに何件パイプラインがあって何受注狙うか決めます。

2.今月初回訪問として組まれるアポから何受注したいか=ISへのアポ要望
月間の目標受注数が30件なので、30-10=20件の受注を今月の初回訪問から作りたい。なので 20件/平均受注率50%=40件 の初回アポを今月作って欲しい。というような握りをISとする。
例えば 2 のアポ数目標を作れなさそうであれば、1のパイプラインから受注できる案件を増やせないか?などといった議論をしています。
●月中(2nd STEP)
上記1と2の進捗・着地見込みを追っていきます。
2のアポペースは悪いが、1が調子良いのでリカバリーできそう!など月末着地の温度感を週2回程度すり合わせます(だいた月曜と木曜)。着地が大幅にショートしないかの確認がメインで、まずそうな場合はアポ数をさらに詰めないか(失注掘り起こし頑張るとか)を検討したりしています。

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●月末・だいたい15日すぎぐらいから(3rd STEP)
勝負の月末です。残りの受注目標金額を達成できそうか?この問いに正確に答える必要があります。そのために案件名ベースで当月に受注できるか1件ずつ状況を精査します。その後、先程の Commit/Effort/Best の3つに分けて受注想定金額を出します。添付図のように整理し、どの案件まで取れたら達成できるのか精緻に把握することができます。

受注ヨミ

一連の管理手法のGood

・月初のパイプラインから何受注できそうか?という見立てを立てることで必要アポ数についてisと会話しやすくなった(リードタイムが20日前後なので、その月に入るアポ数も重要)
・月初のパイプラインからの受注予想を立てることで例月と比べて今月の状況はどうか?という比較がしやすくなった(月初時点で危機感を醸成しやすかったり、今月この案件は絶対に落としてはいけない というような共通認識を持ちやすくなった)
月末の追い込みがしやすくなった(この案件まで取れれば達成!こっち逃したらやばい!といった会話がしやすくなった。とても大事)
・月の数字が締まってからの振り返りがしやすくなった(持ち越しパイプラインへの営業が良かったのか、今月入ったアポの質が良かったのかなど)

今後のチャレンジ(現状の管理の More)

・Commit/Effort/Bestが営業マンの主観に依存しており画一的なヨミとして機能していない(HERPの場合営業マン同士でもズレがある。かつ他のチームに伝わりにくい)。何かしら統一された指標を導入したい。(もっとデータドリブンにしたい!)
・(この手法自体ベストだとは思っていないためSFA上に項目を実装しておらず)ヨミを出すためにスプレッドシートを使っていてちょっと面倒くさい。Salesforce 上で見れるようにしたい(もっとデータドリブンにしたい!)
活動まで落ちてくるようなダッシュボードになっていない。数字が足りない場合に「じゃあ何すればよいのか?」がわからない(アポ数が足りていないのか、パイプライン化率が低いのか、パイプラインto受注率が低いのか等)。


以上です!ざっとまとめてみたら改めてアナログな管理をしているなーと感じたので、お勧めの手法があればぜひ教えて下さい。上記を実際にどのようなSFレポートから出して~といった詳細なお話できますので興味がある方はぜひご連絡ください。

ちなみに、本記事のようなHERPレベニューチームについて語るイベントを開催予定です。10/27なのでこちらもぜひ!


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