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古典×現代2020 時空を超える日本のアート

古典×現代2020 時空を超える日本のアート
2020.6.24-8.24
@国立新美術館企画室2E(東京都港区六本木7-22-2)
入場料:1700円
★★☆☆☆

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コロナウイルスの影響で、実に約4ヶ月ぶりに観た展覧会!!
嬉しいような、まだ収束が見えず不安なような気持ちを持ちながら、マスク・消毒・事前予約を対策として抗じつつ行ってきた。
国立新美術館は、e-tixというチケットサービスを以前から導入していたし、利用したこともあったので、さほど不便さは感じなかった。違っていたことといえば、15分刻みの時刻での予約定員制だったので、時間を守らなければ…という若干のプレッシャーを感じる程度。事前にクレジットカードで支払いも済ませられるのは、個人的に便利で良い。


六本木に来たのも久しぶりだったが、美術館に着いたときあまりにも人の気配がなく、休館日かと思うほど静かだった。
今まで気がつかなかったけど、この建物全体に人の気配や声が反響して心地よい雑音が発生していたのだなと感じた。雑音のない違和感。

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さて、今回の展覧会の趣旨は下記のとおり。
今回写真撮影は、1室のみ可能だった。

故きをたずね、新しきを知る。
現代美術といにしえの美術を組み合わせ、日本のアートの魅力を新たな視点で見つめ直します。 江戸時代以前の名品と、8人の現代作家たちの作品をペアにしてご紹介する本展では、主題や造形の類似はもちろん先達から得た着想や、誰もが知る名品とそのパロディ、古典作品を取り込んだインスタレーションなど時空を超えたアートの対話が繰り広げられます。 出品総点数は古典と現代あわせて約200点。古今の美術をつなぐ豊かな水脈をご覧下さい。

①花鳥画×川内倫子
②刀剣×鴻池朋子
③北斎×しりあがり寿
④仙厓義梵×菅木志雄
⑤円空×棚田康司
⑥仏像(日光月光菩薩)×田根剛
⑦尾形乾山×皆川明
⑧曾我蕭白×横尾忠則
の8組の"ペア"による展示。

今昔のプロフェッショナルのアーティストや職人の作品が見られたのは良かったが、このテーマでこの組み合わせで展示する効果や新しさが少なかったように思う。

この違和感を言葉にするのが難しいのだが・・・ふたりずつピックアップしてペアで展示室をつくったことによる面白さというものがなかった。

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たとえば唯一写真を撮ることができた②刀剣×鴻池朋子の展示室も、「???」となってしまう。2つが関係し合うことも、コラボレーションすることもなくただ展示されているようにしか見えなかった。

鴻池朋子は、「切る道具」としての刀剣に立ち返り、動物の皮に神話的イメージを施した《皮緞帳》に、平安時代以降に制作された太刀や刀、短刀を組み合わせたインスタレーションを構想した。精神性の高い日本刀が、卑近な素材と言える皮や混沌としたエネルギーに満ちた始原の風景と出会うことで、その様式美に潜在する、切り裂くという根源的な力が感じられるようになる。鴻池は、「食べる、食べられる」という自然との関係を模索し、近代社会が失った生命力を取り戻そうとしてきた。芸術と生を繫ぐ刀剣と皮の出会いは、さまざまな二項対立に陥った世界を架橋する試みでもある。

展覧会公式ページではこう説明されているが、これを読んでも、わかったようなようでわからない。この展示室を見て、なにか発見や感動を手にする人っているのだろうか?

③北斎×しりあがり寿では、北斎の「冨嶽三十六景」とそのパロディであるしりあがり寿の「ちょっと可笑しなほぼ三十六景」が展示されていた。これを見て冷静に思ったのは、パロディ作品と原作が一緒に展示されたとき、お互いに資料性が生まれてしまうんだなぁということ。ギャグの説明を求められてしなければならないときの恥ずかしさというか、興ざめというか。どちらの価値も下げてしまうような危うさを感じた。

なんだか、もったいない気持ちがぬぐえなかった。展示されている作品は素晴らしいのに、謎のペアを作って展示されているために集中ができない。

例外として⑥仏像(日光月光菩薩)×田根剛はよかった。鎌倉時代の仏像を、田根氏が空間デザインして展示室をつくっているものだ。非常に暗い展示室になっていて、仏像の近くを数個の電球がゆっくりと明滅しながら上下に動いている。それも、天井の高いところから床すれすれのところまで。途中、すべての明かりが消え、本当に何も見えなくなる瞬間もある。闇のなかで浮き上がったり見えなくなったりする仏像はとても美しく、今までに見たことのない魅力を放っていた。これはお寺でできる表現ではないので、美術館で展示をつくる意義があるといえるだろう。

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残念ながら私のお気に入りの展覧会にはならなかったが、久しぶりの美術館は嬉しかった。あと、円空の作品が一挙に見られたのが良かった。ミュージアムショップでは円空の仏像がたくさん載っている冊子もゲットした。

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展覧会URL


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