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RTRT(retort)/Mili レビュー

 自称マッドサイエンティストとキョンシーとの奇妙な共同生活が楽曲になった、まるで短編アニメを聴いているかのようなMili RTRT(retort)という作品を紐解いてみた。

 まずMili というアーティストをご存知だろうか。


 世界基準の音楽制作集団と称した日本のグループで、主にリズムアプリゲームDEEMOやCyrusなど、他にはアニメーションのOP、CM等、多岐にわたって楽曲提供を行っている。
 メンバーはバンドのボーカルCassie Wei、リズム隊のギターYamato Kasai、ベースYukihito Mitomo、ドラムShoto Yoshida、とともにミュージック・ビデオ映像のイラストクリエイターAO FUJIMORIを含めた計5人構成となっている。


 このRTRTは、Mili初のアナログシンセサウンドが広がるテクノ楽曲であり、70~80年代を意識したアップダウンが激しくなく日常を表しているかのような、いい意味で平坦で歌いやすいメロディだ。
 そしてボーカルが中国出身だからか、歌詞に食べ物や地名がふんだんに織り込まれている。


 この楽曲の物語は、マッドサイエンティストの研究室に怪我をしたキョンシーがやってくるところから始まる。傷を負ってるためかキョンシーは気性が激しい。その気持ちを和らげさせるために料理の腕を振る舞おうと提案し、美味しく食べてくれて微笑ましいという一場面を切り取っている。


 シンセとイー、アー、サン、スウ(1,2,3,4)の間奏が入ってから、2番では少し刻が経ち、笑顔の練習をするなど、徐々に仲良くなる日常を送っていた。


 そこに、いきなり現れたレーザーガンと八卦図を持った黒い服の人。そして吹き飛んだ頭。そんな状態でも物怖じせずにマッドサイエンティストだから手直しして呪術をかけてあげようと。フカヒレスープ、点心、肉団子に、北京ダック。もうレトルトはないけれど。


 英語でretortは日本語で表す茹でるなど1つ2つの簡単な作業だけでなる"レトルト食品"だけでなく、何か起きた時に行動する"反応"という意味もあり、最後のサビにはこの2つの意味をひっくるめた小洒落た言い回しをして終演になっている。

 さて、君のレトルトはどんな味を出しているのかな。

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