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最新のイベント開催事情は?コロナ禍の状況を様々な視点から考察。

(こちらは2020年9月18日付にEVENING - 音楽情報バイラルメディアで掲載された記事になります。)


開催の是非が問われる現状に、世間と研究と音楽の視点から考えてみた。


イベント開催制限のあり方について、西村康稔経済再生相は8月24日、現状の感染状況等に鑑み、8月末まで現在の人数上限(5000人)を維持することとされているが、9月末まで、現在の収容率及び人数上限を維持すると発表していたが、9月8日に一転し緩和する報道された。
緩和の内容を簡略化すると、来年行われるオリンピックを考慮しスポーツ観戦は収容人数を50%は維持し、上限人数の5千人を撤廃、クラシックや伝統芸能など私語を慎み鑑賞するものについては、スポーツ観戦とは逆の、収容人数の50%を撤廃し、上限5千人を維持するとの発表があった。そしてライブハウスや普段から耳馴染みがあるポップミュージックのライブは、上限人数の5千人と収容人数の50%の両方とも維持されたままの状態である。

緩和がなされたとしても、まだまだ予断を許さない現象であるのに変わらない。

その要因として、以下の事実が挙げられる。
 ロイターより8月24日に中国 香港大学の研究者は新型コロナウイルス感染症から回復した男性が4カ月半後に再感染したことを確認されたと報じられた。
詳細は、香港の男性(33)は4月、コロナ感染症から回復し退院、今月15日、英国経由でスペインから香港に戻った際、コロナ検査で陽性が判明した。2回目の感染では1回目とは異なるコロナウイルス株に感染しており、無症状だったという。実証された再感染のケースとしては世界初とされている。
実のところ、国立感染症研究所のホームページでは、4月27日に新型コロナウイルスSARS-CoV-2ゲノム情報によるネットワーク解析をすでに公開されており、中国 武漢、EU各国、アメリカで流行している新型コロナウイルスのゲノム配列に異なると報告されていた。ゲノム配列に異なる部分によるが、武漢型とEU型の違いは、ウイルスが体内へ侵入するSpike proteinと呼ばれるタンパク質に変異の影響が出ており、体内に取り込まれる箇所に広がりが生じ、感染のしやすさの証明となっていた。
 薬開発が急務とされているが、感染予防薬ワクチンは現在、世界保健機関(WHO)によると、世界で臨床試験中のワクチンは30種類あり、米モデルナ、英アストラゼネカとオックスフォード大といった欧米勢、世界各国で治験を進めているという。
つい最近、英アストラゼネカのワクチンが臨床試験中に重篤な副作用が発生し、中断された。このように早急な薬開発は困難であり、政治利用しやすい反面、安全を欠く行為であると認識していただきたい。

 新型コロナウイルスの恐ろしさはパンデミックなところだけでなく、重症化した時の対処方法が完全解明されていないのもあるだろう。
 そんな中、大阪大の岸本忠三特任教授らの研究チームが重症化の一例である血栓を引き起こす仕組みを解明したと発表した。
新型コロナウイルスが体内に侵入すると、免疫細胞の一種であるT細胞などが放出するタンパク質「インターロイキン(IL)6」が過剰分泌されると、血液凝固を促進する別のタンパク質「Plasminogen Activator Inhibitor-1 (PAI-1) 」が連動して増加し、血管中に血栓が生じるメカニズムを発見した。
関節リウマチ治療薬 アクテムラを使用すると、血栓の発生が抑えられたとして、国内外で重症患者に対して治験されている。

違う角度の実験として、ドイツ ハレ大学(Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg)の科学者たちが8月22日、混雑した屋内イベントにおいて新型コロナウイルスがどのように広がるかを学ぶため、ボランティアで満員のコンサート会場でライブを開催した。
プロジェクト名 Restart-19は、ライプツィヒのコンサートホールに約2000人を集め、ドイツ人シンガーのティム・ベンツコ(Tim Bendzko)が出演した。検証内容は、被験者全員にコンサートの48時間前にPCR検査を行い、3つのショーに分けられる。1つ目は今までのイベントを再現したもの、2つ目はパンデミック後の衛生管理を意識し、ある程度の距離を置いたもの、3つ目は観客数を半分程度に抑え、厳格な社会的距離を義務づけたものである。実験の結果は、年末までに公開される見通しだ。
国内では無観客配信や規制に基づいたイベントが徐々に開催されているが、まだまだ大規模なイベントを行うまでは至っていない。

インフルエンザウイルスみたいにワクチンや抗ウイルス薬が確立されておらず、"withコロナ"の時代はとっくに幕開けしているのを自覚し行動してもらいたいと願う。


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