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コロナ禍の就活で明暗を分けたのは「情報量」だった、採用のプロが総括

誰も経験したことのない
オンライン就活第1世代

 ご存じの通り、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今年は前例にない就職・採用活動となりました。企業も学生も、何の準備もないまま、いきなりオンラインでの活動を余儀なくされたのです。21年卒は「オンライン就活第1世代」といえるでしょう。

今年は内定を出すまで全てオンラインで、結局、対面の面接をせず、一度も応募者と直接顔を合わせないままで採用を終了した会社も多かったようです。何しろWEB面接は、企業にとっても学生にとってもほぼ初めての体験。それだけに、面白いと言っては語弊がありますが、こんなこともありました。

緊急事態宣言で外出の自粛が要請され、多くの企業で在宅勤務を推奨していました。ところが、ある業界では、「個人情報保護」「守秘義務」などの観点から、面接担当者が自宅で採用のWEB面接を実施することを禁じていたため、わざわざ出社して、社内に特別に設けられたWEB面接専用ブースで面接を行っていたというのです。これなどは笑い話で済みますが、他にも、いろいろと例年通りにいかないこともあったようです。

面接は企業にとって、志望動機などを本人の言葉で聞く場ですが、ドアのノックや開け閉めの仕方、会釈などの作法や態度、そして、ちょっとした立ち居振る舞いから感じ取れる「人となり」を見極める重要な場でもあります。髪はとかしてあるか、靴は磨かれているかといった、上から下までトータルの身だしなみや清潔感もチェックの対象です。オンラインでは、それができません。極端な話、上はビシっとしたスーツ姿でも、下はジャージや短パンかもしれないのです。

学生がカンニングペーパーのように、言うべきことを見える場所に貼っておき、それを見ながら面接することも可能です。対面だと緊張して言いたいことが飛んでしまうような人も、オンラインなら落ち着いて言えるということもあったと思います。もちろん慣れてくれば、企業側も学生が何かを読み上げているのか、本当に考えて話しているかの区別はつくと思いますが。

細かい言外の情報がなく、また内定までに、対面で実際に話をして信頼関係をつくったわけではないので、企業側は、学生に内定を出したものの、これで来年入社してもらったとしても、本当にうちでやっていけるのだろうか、何かちょっとしたことですぐに辞めてしまうのではないかという不安が募っていることは確かです。

クラスター懸念で
内定式も結局非対面に

 では学生にとって今年の就活はどうだったのでしょうか。21年卒の就活では、例年以上に明暗を分けたのは情報量の差だったと思います。早くから動いていた学生は、企業やOB・OGからもらえる情報が多い。当然ながら、情報量が多いと、それだけ企業に対する理解が深くなり、その分、表面的ではない、リアリティーがあって説得力のある志望動機を話せたり、入社後のキャリアイメージを具体的に描きやすくなったりします。

企業は今の時代、さすがにもう大学名だけで学生をスクリーニングするようなことはしていません。学生がいかに自社を深く理解しているか。自社のどこに興味を持って、どのくらい本気で志望しているのかを詳細に注意深く見ています。その意味で、どの学生にもチャンスはあるといえます。

一部抜粋



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