【高岡浩三】あなたの仕事の93%は、仕事ではなく作業だ②

4年前からリモート環境を整備

 ホワイトカラーの専門職化という話題がありましたが、高岡さんはネスレ日本でホワイトカラーの生産性を高める改革を推進してきました。

雇用形態を変えることの大変さは、よく分かります。とはいえ日本企業の生産性が低いのは明らかで、私がネスレ日本の社長に就任した時も、正直ホワイトカラーは人余りの状態でした。
そもそもホワイトカラーは「考える」ことが仕事。では実際どれくらいの時間を「考える仕事」に費やしているのか社内で調査してみたところ、仕事全体のうち7~8%しかなかったのです。

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覚悟のない経営者が、最大のボトルネックだ


日本企業の生産性の低さや、イノベーションが起きづらい組織については、以前から警鐘が鳴らされていました。それでもなかなか変革が進んでこなかった事実には、どんな背景があるのでしょうか?


正解を探してしまう日本のカルチャーが、大きな要因になっていると感じます。私もドイツに赴任して、日本での成功体験が全く通用しないという経験をしました。思い返すと当初は、手本になる何かを探してしまっていたんです。
ですが変革とは、今までと違うことに挑戦すること。正解なんてないと割り切って、とにかくやってみる。このマインドセットを持つことが、日本企業が変わる第一歩になると考えています。

そもそも変革にはリーダーシップが最も重要と考えているため、私の仕事相手は基本的に社長です。ですがある社長から、「他社の成功事例を見せてほしい」とお願いされてしまい、話が前に進まなくなってしまった。


変革やイノベーションは、誰もやろうとしていないことだから、そのまま真似できる成功例は存在しないんですよね。誰もやったことがないことにチャレンジする、そういった覚悟が経営者にないと、変革は難しい。こういった経営者の不在は、実は企業変革の最大のネックです。

一般的に社長の任期は2〜4年程度、という暗黙の了解も存在していますよね。
高岡 短い任期では、変革へのモチベーションが生まれない。「波風立たせずにやり過ごそう」という気持ちが働いてしまいますよね。これは大きな問題で、日本のガバナンスができていない証拠だと思っています。
この任期の慣習が生まれたのは、人口も経済も右肩上がりに伸びていた高度経済成長期は、誰が経営してもそこそこうまくいったから。その慣習を、理由もなく今も続けているだけなんです。

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Ridgelinezは、山をどう登るかの道筋をお客様と一緒に考え、道に迷いそうになった時や苦しくなった時は、登頂までサポートできる存在でありたいと考えています。
そのためにも私たち自身が、正解のない挑戦を続け、先行してトライ&エラーを繰り返していく。日本企業の変革をデジタル面から支えられるよう、貢献していきたいと思います。

一部抜粋

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