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きみが「魔法」と言わなくなった日🪄〜ばってん少女隊8周年記念ライブ〜

ばってん少女隊の「8周年記念ライブ」、私にとってはばってん少女隊をがっつり推し始めてから3回目の周年ライブ。
ばっしょーの周年ライブは「この一年、こんな風に頑張りました!」というのを発表している場のように思える。
1回目の6周年はりるみゆを迎え入れた新体制のお披露目、2回目の7周年は和をモチーフにした舞台装置での演出、そして3回目の今回8周年では和とエレクトロニック、且つ映像と舞台装置との融合演出、と着実なばっしょーの歩みを見た。
周年ライブでは特に、「丁寧に紡がれた“今“のばっしょーの世界観」というものを見せてくれるので、毎年7月が近づくにつれ、この1年間はばっしょーにとってどんな年だったのだろう、と思いを馳せながらそわそわわくわくしてくるのである。

「ばってん少女隊」の再定義

「ばってん少女。」から始まったライブは、グループ名の表題曲ということもあり「私たちが“ばってん少女隊”だ!」という改めての自己紹介のように捉えられた。主人公感というか、アイデンティティの原点はここなんだよ、というメッセージを受け取ったような。
個人的に戦隊モノ…正確にはウルトラマンが好きなので、ウルトラマンR/Bの1話目サブタイトル「ウルトラマンはじめました」のような、これから始まりますよ!という提示が大好きなのである。

ライブ中にはシングルリリース順であることに全然気づかなかったので、続けて「おっしょい!」〜「よかよかダンス」と続くセトリに上げ曲まみれ…!とシンプルにテンションがぶち上がっていった。
ばっしょーのライブはいつも、最初の3曲で楽しさのあまり脳みそが弾ける感覚がする。

背景のLEDはいつも通りにゴリゴリのばっしょー世界観を生みだしていた。
お祭りをテーマに屋台やうちわ、提灯などが登場するがそれのどれもがばっしょーのロゴや曲をイメージしたデザインになっていて、まるでばっしょーが支配する世界のお祭りに迷い込んでしまったようで、うきうきする気持ちと少しの怖さが混ざり合うような、妖しさをともなう光景だった。この世界線に行きたい。

「すぺしゃるでい」では、「2」「1」「4」の数字やタイトル「すぺしゃるでい」が映像で花火文字風に書かれており、楽しい!という気持ちをこんなに見事に描写できるのか…と感動した。
あと、声出しで愛ちゃんパートの「とびきりのプレゼント光ってる」に続けて\おいものタルト!/とコールが入っているのが面白かった。おいものタルトが光っているのを想像してしまう。
「ますとばい!」ではりるあちゃんが「ぐるぐる〜」の煽りを継承していて感無量だった。かわいすぎる。たまらない。私の脳みそもぐるぐる〜してくれ。

「MEGRRY GO ROUND」「無敵のビーナス」は周年ライブに来たなあと染み入る曲である。
どちらもかつては何となくかわいい曲くらいの印象だったが、6周年ライブにて振付けの奇妙さやキラキラ感に衝撃を受け、一気に気持ちの奥深くまで入ってきたのだ。
無敵のビーナスでは、女の子を「ドーナツみたいに 真ん中はわかんないけど」と歌う部分があるが、美舞ちゃんという女の子自身が包み込むように歌うのが、「かわいい」だけでは終わらない深みがありすぎてすごく好きである。
「コトバテニス」の歌詞も少し不穏だったりアンニュイさがあるけれど、そういった面に触れる度、ばっしょーが作りたい世界ってずっと同じなんだなあ、とふと思うのだ。

「BDM」のりるあちゃんはベストオブりるあちゃんだった。
終盤のセリフパート「傷だらけになったって這いつくばって 駆け上がってやるけん見ときんしゃい!」はずっとありっさの印象が強かった。りるあちゃんがこのパートを言う時は、いつも過去のありっさが見えるような気がして、実のところ「りるあちゃんがありっさのパートを言っている」というように聞こえていたのだ。
が、この8周年では、特に2部でりるあちゃんがこのセリフを言った時の「見ときんしゃい!」が真っ直ぐ胸に刺さってきて、りるあちゃんはとうとう自分の表現を掴んだんだなあと思わされた。

今回は特に前半部、りるあちゃんの表情に息を呑むことが多かった。
今までは楽しい!ハッピー!といった陽の感情が全面に出ていたが、このライブでは仔犬のようなきゅるんとした表情が特徴的だった。配信でドアップで見て息が止まった。
喜怒哀楽の“楽“だけでなく“哀“まで表現が広がってきたりるあちゃん、おねいさんはどぎまぎしちゃうよ。

前半と後半で衣装チェンジ(正確にはカスタマイズ)があったのだが、前半衣装のあまりの尊さに目が吹っ飛んだ。
膝上丈のスカート。ばっしょーはここ数年膝下衣装が多かった中、ここで膝上スカートがきたのである。りるあちゃんの膝小僧が…眩しい…。
りるあちゃん、ミニスカであることをうけて前日メディキュット履いたんだって。テェテェ。
九祭の神事的衣装とナナメ上ツアーのアイドル的衣装を合体させたような衣装は、最っっっ高に可愛かった。
あとこの衣装の雰囲気、私、見覚えある。

時代が一周したなあ( ˘꒳​˘ ) 

九祭曲と既存曲を交互に織りなすメドレーを経て、新曲ゾーンへ。
このゾーンは2階席から見る楽しみにも溢れた演出だった。舞台の床面や舞台外の壁面、そして客席を覆うレーザーなどによる全体演出を見ることができたのだ。
「御祭sawagi」では、「1歩2歩3歩〜」の美舞ちゃんソロパートで、床に投影された六角形が美舞ちゃんの蹴りと連動して回転をしていて芸が細かい…!(しかもこの光景、配信にも映っていないという…)
「和・華・蘭」はマイ8周年記念ライブ演出大賞である。
2階席から見ると、舞台の奥まったところに設置されたLEDパネルが見事に舞台やメンバーと融合していて、パネルであることを忘れるくらいの地続きの奥行き感があり吸い込まれそうな光景だった。一つの芸術作品がそこにはあった。
和華蘭のカラーは何故マーブルなのだろう?と思ったけど、翌日に長崎新地中華街に訪れた際に腑に落ちた。
確かにこれはマーブルだわ。

カラフル中華街

新曲「あんたがたどこさ〜甘口しょうゆ仕立て〜」からはヘッドセットでのパフォーマンスに替わったことで、続く「YOIMIYA」「虹ノ湊」が表現力フルスロットルとなり最高だった。
「YOIMIYA」は合掌ができることでいつも以上に神事性が高まっていた。背景の映像で泳ぐ金魚たちに、これは胡蝶の夢ならぬ金魚の夢なのかと思うくらい、神秘的な光景であった。
「虹ノ湊」はMVで見た素敵光景をライブでも見られるなんて…!と感無量。りるあちゃんときいなちゃんの「宿題もやらなくていいや〜」の箇所がいつも以上に自由度が高く、楽しそうに揺れる姿がキラキラとしていて、真夏の砂浜が見えるようだった。

本編最後の「禊 the MUSIC」は、一曲目の「ばってん少女。」と対になり「ばってん少女隊というアイドルのお話」という枠組みでこのライブが作られているようで、綺麗な構成だなあと思った。
背景が花火が打ち上がりまくる映像によるフィナーレ感もよいし、「アイドルは歌い踊るよ music」というありのままの歌詞もよい。
愛にはいらないよlogic、そうだよね、りるあちゃん。

「ばってん少女隊の再定義」をこのライブでは感じとった。
11月の中野サンプラザでは「御祭sawagi」を表題に、アルバム「ふぁん」以降の曲のみで構成していた。その時の挨拶で理子ちゃんが言った「昔の曲をもうやらないわけではなくて、これからのライブでももちろん昔の曲もやっていく」というのがずっと頭に残っていたのだ。
最近のライブでは新曲:旧曲=8:2くらいの割合で新曲重視セトリの印象がずっと強かったが、今回は明確に5:5であった。
一方で、前半部分の昔の曲は「あれ、こんな雰囲気だった?」と思うことが度々あったのだが、今の6人での曲の落とし込みがなされて昔の曲の定義づけが完了したのかな?と思う面も含めて、ようやく「これからも昔の曲をやる」という言葉の実現を感じたのだった。

ばってん少女隊が見せる景色

ライブ終盤のアンコールは、「アイドル」だ!と思う演出が多かった。
アンコール1曲目の「ありがとーと」と共に客席に登場したメンバーたち。中野に続くホールライブでの楽しみな演出として続けてほしい限りである。間近で見たきいなちゃん、おめめ大きかったな…。
ちゃんせたがステージに戻る時、ジェスチャーで「通して〜」と手を掲げた途端に通路に出ていた隊員さんたちが席に戻っていき、モーセの如く道が開いていった光景には笑ってしまった。平和。
そして今回初演出となった銀テープ!!
銀テは前部の席までしか届かない印象だったが、ものすごい量が噴射してまさかの2階席にまで飛んできたのにはとても驚いた。え、え、これリアルに迫ってきてる??と混乱した。
その上いつの間にか床に落ちた分はスタッフさんが回収していて、退場時に大量にカゴに入れて配っていたのには何ともホスピタリティを感じた。優しさ。

周年ライブの理子ちゃんの挨拶は、まとめる立場というのもあるんだろうけど、この一年の総括、それを踏まえた今回のライブの意図、これからの指針、といったところをしっかりと押さえてくれるので信頼がおける。
理子ちゃんの挨拶を聞くと、ばっしょーにはマイルストーンがあって、そのマイルストーンを着実に進めているんだなあ、という印象を受ける。「ばってん少女隊」という組織体は推せるぞ。

そして、ライブが終わった後にじわじわと効いてきたのがりるあちゃんの挨拶だった。
周年ライブで初めて、りるあちゃんは「魔法」という言葉を使わなかったのである。
「魔法」はりるあちゃんを表す上での欠かせないキーワードだった。
6周年では「お姉さんたちは魔法を使っているみたいにキラキラしていて、自分もそうなりたい」と言い、7周年では「まだまだ魔法は使えないけど、キラキラした魔法を使えるようになりたい」と話した。
去年の中野サンプラザでは、「魔法とかいつも言ってるけど、戦力になれているのか、ここにいていいのか不安になることもある」という自己評価を吐露して、私の心は大いに波立ったりもした。「そんなことないよ!」と言いたい気持ちと、りるあちゃんの葛藤はりるあちゃんだけのものなので安易に否定するのは私のエゴではないのか、という2つの感情が心の中で大きくうねっていた。
りるあちゃんの言う「魔法」は、「アイドルであるために必要なもの」だと考えている。
去年までのりるあちゃんからは、挨拶の折々から「自分はちゃんとアイドルできているかなあ…」という不安が感じられた。
だが、この8周年記念ライブでは「アイドルとしてステージに立っているのが嬉しい」だったり、ピンクを身にまとう人(=りるあちゃん推し)への感謝だったりと、前向きな感情での言葉が多く綴られていた。
りるあちゃんがこの一年で、「魔法」に意識的に触れなくてもアイドルだと思えるようになったんだとしたら、私はとても嬉しい。
りるあちゃんの成長を感じさせる挨拶だった。

後日譚

今年はライブ後に佐賀の祐徳稲荷神社・大魚神社(YOIMIYAロケ地)と長崎(和・華・蘭のモチーフ)へ。
和・華・蘭の歌詞にある「どんどん坂」は思ったより遠かった。汗だくの私の隣を駆け抜けていった地元の小学生はきっと健脚になるであろう。
ばっしょーを好きになったことで景色は広がるばかりである。

(キャナルシティ近くにめちゃおいしい明太子屋を見つけちゃったので、来年も周年はキャナルシティだと嬉しいなあ🍚)


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