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事例演習刑事訴訟法解答

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事例演習刑事訴訟法の参考答案です。
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#捜索

事例演習刑事訴訟法 1.任意捜査と強制捜査

第1 小間1について
1 本件捜査は、写真撮影として五官の作用により対象を認識し、その私的領域に侵入する「検証」(刑事訴訟法(以下、略)218条1項)に該当するものであるが、令状の発付を受けることなく実施している。そこで、本件捜査は令状主義とならないか。「強制の処分」(197条1項但書)の意義が問題となる。
2(1)197条1項但書の趣旨は、国民の重要な基本的権利・自由を制約する処分について、厳格

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7 令状による捜索・差押え(1)

1 本件捜索に関して,令状には「同所に存在する者の身体及び所持品」との記載がある。かかる概括的記載は刑事訴訟法(以下、略)219条1項の要求する令状の特定に反し無効ではないか。その判断基準が条文上明らかでなく問題となる。
(1)法219条1項が捜索場所・押収目的物の特定を要求した趣旨は、令状審査に当たり、「正当な理由」(憲法35条)の存在についての令状裁判官による実質的認定を確保する点、及び捜索の

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9 令状に基づく無令状捜索・差押え(1)

9 令状に基づく無令状捜索・差押え(1)

1 Kの逮捕に伴う捜索・差押え(刑事訴訟法(以下、略)220条1項2号)は適法か。
(1)まず、無令状捜索差押えについていかに解するべきか問題となる。
 確かに、憲法35条が令状主義を原則と理解するならば、その例外を限定的に理解する緊急処分説の方が令状主義の趣旨に適合的であると言える。
 しかし、憲法35条は、令状による捜索差押えと逮捕に伴う無令状捜索差押えについて、原則例外の関係ではなく、並列の

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10 逮捕に伴う無令状捜索・差押え(2)

10 逮捕に伴う無令状捜索・差押え(2)

第1 設問(1)
1 本件捜索は刑事訴訟法(以下、略)220条1項2号より適法か。本件ではGを通常逮捕(199条1項)で「逮捕する場合」(220条1項柱書)の「逮捕の現場」(220条1項2号)である411号室で,そこにたまたま居合わせた第三者であるXに対して身体捜索している。
 かかる捜索場所にたまたま居合わせた第三者に身体捜索することを220条1項2号は許容されるか。
(1)そもそも、220条3

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