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経理は、まずは経営者が求める財務比較分析をしよう。

こんにちは、きくちきよみと申します。
元・舞台照明家の税理士です。

経理の方は、まず最初は経営者が求める財務比較分析をしよう、ということについて書きます。

中小企業の経営者の方にお話を伺うと、経理部に対する不満として、よく挙がるものがあります。

「数字は出てくる。前期比較、前月比較数値もある。でも、差異の理由が分析がされていない。だから、全く意味がない。」ということです。

比較分析は、自己評価をすることです。

その評価が結果的に間違っていようが、的外れだろうが、いちど評価してみることが重要です。今まで通ってきた道と現在地を経理部が示し、経営者がそれに納得すれば、次に進む道を決められるからです。

一方、経営者が欲しい比較分析が出てこないと、経営者が経営判断を下す材料が揃いません。そして、経営者の中に「結局、ウチの経理は使えない」という誤った認識が植え付けられてしまいます。

経理部が差異の理由を書かないのには、いろいろなケースがあると思います。

「理由を書かなくても、社長は知っているはず。見ればすぐ気づくはず。」
「売上が前月よりも減った理由なんて、私にはわからない。営業部に聞いて欲しい。」
「営業部の○○さんの交際費が異常に増えているのは知っている。営業効果はあるのだと思うが、書くと告げ口したみたいになるので、気づかなかったことにしたい。」
「例月に比べて業務委託費がかさんでいるが、ベンダー別に記帳を分けていないので、理由を分析するのは時間がかかる。」

大別すると、主に2パターンにわかれます。
①どこまで分析すべきかという線引きが不明
②人間関係への配慮


まず①についてですが、これは経営者に確認してみれば良いと思います。
・売上の増減説明は営業部の担当で良いか?
・経費の増減分析は、パーセンテージや項目で限定して良いか?
・経営者の要望を全部満たそうとすると、差異分析にかかる工数が増えてしまう。例えば経費精算の提出期限を2日早くしたいが、構わないか?

そして②についても、①と同じく、結局は作業範囲と責任の線引きの問題です。そのため、こちらも経営者に確認すれば良いことです。
・営業部の交際費の増減分析と報告については、営業部長に任せて良いか?
・(具体的に)~という点において細かい経費は見ないようにしてきたが、それでも分析が必要ということがあれば、やる。ただし、経営者発信のアナウンスとして「細かい経費の使い方も分析するよう、自分が経理に指示した」と言って欲しい。

本当は、経営者の側が自分の要望を経理部に伝えていないというのが問題の根幹にあるのですが、中小企業の経営者の場合、ご自身では気づいていないことがしばしばあります。

経理の方から、経営者の要望をヒアリングするように努めてみるのはいかがでしょうか。