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ダロワイヨのマカロンと父の健康

タイにいる父から平日の日中、ラインが飛んできた。
向こうは午前中の時間帯だった。

ダロワイヨのマカロンかアイスを社販で少しばかり安く購入できるそうで、送ってあげるから住所教えて、とのことだった。

フランスの老舗菓子メーカーで、日本橋や銀座の三越にも入っているそう。
初めて聞いたブランドだけれど、確かに、銀三の地下で見かけて、ケーキが美味しそうだなと思った記憶があった。
ちなみに父はダロワイヨと直接関係のある会社で働いているわけではない。

出社しているけれど、手が少し空いていたのでiPhoneでダロワイヨのサイトを眺めながら、「アイス」の項目は見つけられなかったけれど「マカロン」の項目はいの一番に見つけられたので、マカロンくださいと伝えた。

発送は来月だそうで、夏休み前のお楽しみとなった。

そこから「元気ですか?」と聞いてみた。

タイに単身赴任して、確か2年半くらいになろうかというところだろう。
昨年の頭、まだコロナが激化していない頃、初めてタイへ遊びに行った。

ストイックな人だけれど、変化に対してはとても柔軟に対応する。
だからこそで、アジア辺りを仕事でうろうろしながら、中国も、台湾も、東南アジアも、その国々の良いところや面白いところを見つけてきては、帰国した際に話してくれていた。
文化や言語、日常の作法は多々異なれど、それを一つ一つ学んで吸収していって、まさに「郷にいれば郷に従う」タイプなのだ。

「ストレスを感じない鈍感力と、質素な食生活が元気の源です。レストランが営業していないから美食できないことが利点になっています。コロナをいかに前向きに考えられるかがポイントです」

元気ですかというラインに対して返ってきた返事を、そのまま打ってみた。
ちょっとシニカルな側面がある性格の人なので、それを加味するとなかなかに面白い返信で、社内で一人でふるふると笑ってしまった。

タイでは今、60歳以上の人々は優先的にワクチンを摂取できるらしい。
上記には外国人も含まれているそうだ。
けれど、ワクチンの不足や予約が全く取れないという問題点もあるそう。
どこの国も似たり寄ったりなのかもしれない。

それでも父は、当面は打つ気はないと言っていた。

もともと病院はあまり行かないタイプだった。
一時期マラソンに凝っていた頃があり、その時に膝の痛みがあり、念のため医師に見てもらったところ、半月板を損傷していたらしい。
医師には、可能ならば手術した方が良いと言われたそうだけれど、本人は「手術は怖いからやりたくないじゃん」と言っていた。
その後どうしたのかはわからないけれど、今は普通に元気に歩いている。

そんな50代も終え、今年の3月で60歳を迎えていた。

心身ともに強靭な人ではあるけれど、やはり、人間なので老いには絶対に勝てないと思っている。
飛行機で6時間という少しばかり遠い異国に一人でいる父が心配ではある。
けれど、芯のある人なので、こちらがわーぎゃー喚いても仕方がないこともわかってはいる。

だから、「若くないのだから、無理だけはしないでください」と返すに留めた。
今まで何もなかったのだから、これからも何もありませんようにと、ただただ願うのだった。

おしまい

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