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【出身者直伝】戦略系コンサルファームへの転職を実現するには?

ITや組織・人事、シンクタンク、総合系など、業界内で複数のカテゴリーに分類されるコンサルティング業界ですが、戦略系コンサルティングファームは、業界のトップとして位置付けられています。
主に企業戦略や事業戦略など、企業の経営計画の立案に携わる戦略系コンサルティングファーム(以下「戦コンファーム」)ですが、外資系ファームを中心に少数精鋭のプロフェッショナル集団として高いパフォーマンスを発揮しており、戦コンファームへの転職は難易度が高いとして広く知られています。
今回は、戦コンファームへの転職を実現すべく、合格を勝ち取るための対策について言及していきます。ぜひ参考にしてください!

戦コンファームとは?総合系コンサルティングファームとの違い

戦コンファームでは、クライアント企業の経営課題を特定し、解決に向けた戦略の立案から落とし込みまでを担います。企業や事業戦略、業務や組織そのものの改革など、企業の上流、すなわち経営に関する課題の抽出、解決に強みを有します。
戦コンファームの中でもさらに最高峰に位置する、「外資系戦略コンサルティングファーム」の代表として、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ、A.T.カーニー、ベイン・アンド・カンパニー、ローランド・ベルガーなどが挙げられるでしょう。

つづいて、混同されがちな総合系コンサルティングファーム(以下「総コンファーム」)との違いを整理していきましょう。

総コンファームによる、戦コンファームの買収や、両者のDXへの取り組みなどにより、戦略系と総合系ファームの垣根がなくなりつつあるのも現状です。実際に、2013年には、日本国内において大手外資系戦略ファームとして知られていた、ブース・アンド・カンパニーが、会計系の大手総合系ファームとして知られるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)によって買収されました。
さらに、2015年には、大手外資系戦コンファームの一つ、マッキンゼー・アンド・カンパニーが、デザイン会社であるLUNARを買収しました。デザイン業界の買収は、大手金融企業やIT企業など、他業界でも頻繁に見られるようになってきましたが、なかでも、大手戦コンファームによるデザイン企業買収の動きは注目を浴びました。従来、企業経営にかかわる課題解決をメインに行ってきた総コンファームが、戦略実行のフェーズ、つまり総コンファームが得意とする領域にも注力し始めたことから、両者の垣根が徐々に低くなっていることは明らかです。

しかしながら、業界内の変遷によって、業務体系に変化が生じても、「少数精鋭のプロフェッショナル集団」という戦コンファームの位置付けは変わらないといえるでしょう。
総コンファームとの決定的な相違点として、以下が挙げられます。

①強みをもつ領域
上述の通り、戦コンファームでは企業の上流領域に強みを有します。そのため、やりとりを行うのも、クライアント企業の経営者層やPMなど、上級クラスの方であることがほとんどです。また、代表的な案件として、クライアント企業の中長期経営計画の策定が挙げられ、一つの案件に3~5年ほど従事するという特徴も挙げられます。
クライアント企業や案件全体を、中長期にわたって俯瞰的に捉えることが求められるため、企業の根本的な課題にアプローチすることが可能です。

一方、総コンファームでは、企業の経営などの川上から、特定の部署や事業などの川下まで、ワンストップでコンサルティングサービスを提供できる点に強みをもちます。代表的な案件として、人事戦略やM&A、ITに関する戦略立案が挙げられます。
総コンファームにおいては、戦略コンサルタントのように、クライアント企業の事業戦略に従事する方もいれば、ITコンサルタントのように、特定の領域に特化してサービスを提供する方もいます。そのため、配属先によって、クライアント企業やプロジェクトへの関わり方が大きく異なることも、総コンファームの特徴として挙げられるでしょう。

②規模感
戦コンファームと総コンファームの代表的な違いとして、プロジェクトや所属するコンサルタント数などの「規模感」が挙げられます。
プロジェクトにもよりますが、戦コンファームでは、案件1つにつき、3~5名程度のコンサルタントが担当します。また、新卒採用でも、例年10名程度の採用で、かなりの狭き門であるといえるでしょう。大手外資系戦コンファームの国内での従業員数も数百人であることがほとんどです。したがって、入社する際のハードルが高いものの、比較的若いうちから、様々なプロジェクトに従事することができ、コンサルタントとしての経験を着実に積むことができます。

一方、総コンファームでは、事業戦略の立案やIT戦略、システム化構想策定など、あらゆる案件を抱えているため、一つのクライアント企業に対して、多くのコンサルタントが従事するケースがほとんどです。新卒採用では、例年100名以上の採用を行い、総コンファームの従業員数も、数百〜千人規模であるため、戦コンファームと比較しても、多くのコンサルタントが属していることがわかります。

なぜ戦コンファームへの転職は激戦なのか?

戦コンファームへ所属し、優秀な人材とともに活躍することが、狭き門であることは言うまでもないでしょう。ここでは、戦コンファームへの転職が非常に難しい要因について考えていきます。

①ポテンシャルが重視される
ほとんどの戦コンファームでは、第二新卒クラス、20代半ばから30代前後もしくは半ばまでの採用を積極的に行っています。とりわけ第二新卒の採用に注力している理由として、「ファームの成長拡大に伴う人員補充の必要性」「新卒入社社員の早期退職による、ジュニア層の不足」「新卒よりも育成にかける時間や手間の削減が可能」などが挙げられます。

20代半ば且つ、前職でコンサルティングファームに所属している場合、所属していたファーム、そこでのアナリストやコンサルタントとしての「経験」が評価対象となります。コンサルタントとしての経験や知見、業界に対する理解があることから、即戦力人材として採用されるケースが多いです。

コンサル経験者に限らず、異業界からの転職を成功させる方も一定数いらっしゃいます。この場合、前職の業界というよりは、社会人経験や学歴などの「ポテンシャル」や、論理的思考力、事業推進力など、書類上では判断がつかない部分が、評価対象として重視されます。その際に、高い語学力やITに関する知識など、高い専門性を兼ね備えていると、母集団の多い未経験者枠であっても、転職成功への道がグッと近づくでしょう。

以上から、前職での経験や、学歴、個人の能力やスキルなど、あらゆる点で高い水準を満たしていることが、戦コンファームへの転職を実現するための必要条件であり、難しさの要因であるといえるでしょう。

②高い専門性が求められる
第二新卒以降、30代半ばの方が戦コンファームへの転職を図る場合、高い専門性は絶対条件であるといえます。
まず、前職でコンサルティングファームに所属し、コンサルタントとしての経験がある場合、マネージャーやプリンシパルなど、比較的高いポジションで採用されるケースがほとんどです。そのため、所属していたファームや、コンサルタントとしての経験に加え、前職ファームでのポジション、これまでに従事してきた案件、MBAやその他資格の有無など、総合的に評価されます。前職で残した実績が高ければ高いほど、選考で有利にはたらくことは言うまでもありません。

もともと、戦コンファームの中途採用といえば、比較的若手層のポテンシャル採用が中心でした。しかしながら、DXへの取り組みや、従事する業務範囲の拡張など、近年の戦コンファームを取り巻く変化に伴い、30代後半の「高い専門性」をもつ人材の採用にも注力しています。
ITでもとくに、IoTやAI、ロボティクス、デジタルなど、比較的新しい技術に関して、深い知見や豊富な経験を有する人材を中心に積極採用を行なっている傾向にあります。戦コンファームがこのような人材を確保するためにターゲットとしている業界としては、「完成車メーカー」「通信・ハイテク」「SIer」「ベンダー」などが挙げられるでしょう。

コンサルティング未経験且つ、30代後半の候補者であっても、特定の専門領域に関する、深いスキルと実績を有していれば、戦コンファーム転職実現の大きな可能性を秘めているといってもいいでしょう。言い換えれば、上記のような領域に関して、高い専門性がなければ、戦コンファームへの転職はかなり難しいといえます。

③そもそも採用人数が少ない
高いポテンシャルや専門性が求められる、戦コンファームへの転職ですが、「そもそもの採用人数が少ない」という点も、転職が困難である要因の一つでしょう。

少数精鋭のプロフェッショナル集団の一員として、日本を代表する大企業の経営陣を相手に且つ、「超」優秀な同僚と同じ土俵にたって業務を遂行しなければならないということも念頭に置いておく必要があるでしょう。

戦コンファームへの転職者に多い前職とは?

実際に、戦コンファームへの転職を成功させた方々によくみられる前職をご紹介します。
戦コンファームへの転職は、同業界からの転職者が目立ちます。同じく戦コンファームで、戦略コンサルタントとして経験を積んできた方が、よりご自身の志向に合ったファームを選択するケースは多くあります。
また、コンサルタントとして、経営課題など、企業が抱える根本課題によりダイレクトに携わりたいという方が、総コンファームからキャリアチェンジするケースもみられます。

コンサルティングファーム以外にも、プレイヤーとしてこれまで活躍されてきた方や、異業種でコンサルタントと類似した経験をされてきた方、将来的に経営者を目指されている方などによる転職もみられます。異業界から戦コンファームへの転職を成功させた方に多い前職は、以下が挙げられます。 

・事業会社
・総合商社
・金融機関(外資系投資銀行や日系大手銀行、生命保険会社など)
・官公庁
・IT系企業(SIer、ベンダー)

戦コンファームへ転職された方々の前職も、外資系投資銀行や総合商社など、新卒採用市場において難易度、人気度ともに高いものばかりです。以上からも、戦コンファームへの転職のハードルが高さが伺えます。

戦コンファームへの転職を実現するためには?

では、「超」難関な戦コンファームへの転職を実現するために、必要なことを考えていきましょう。

①高い語学力
近年、日系企業による、著しい成長を遂げているアジア圏や南米地域、アフリカ圏への海外進出が頻繁にみられます。進出を図る国や地域の選定、事業戦略の立案、法や規制との擦り合わせ、進出先の独自の市場や文化・慣習に関する調査など、海外進出を図る際の業務は多岐にわたります。さらに、これらのほとんどを現地の言語を用いて行う必要があることからも、企業の戦コンファームへの需要は非常に高いです。したがって、海外案件を多く抱える戦コンファームへの転職を実現させるためには、高い語学力が必要となります。

選考時に、語学力が重視されないケースもありますが、コンサルティング未経験で、ポテンシャル採用が行われる際には、英語や中国語などをはじめとした高い語学力は、評価対象になり得るでしょう。ただし、高い語学力があるからといって、必ずしも選考で有利になるとは限りません。「その他のスキルや能力があってこその語学力」という認識を心がけましょう。

②業界に対する深い理解
コンサルタントには、コンサルティング業界に対する深い業界理解に加え、クライアント企業が属する業界に対しての知見も求められます。クライアント企業の多くが、大手企業であり、且つ大手優良企業の経営層とやりとりを行うことから、その業界のエキスパートと対等な知見をもって、プロジェクトに携わることが求められます。

プロジェクトが決定するまで、クライアント企業や特定の業界に関して理解を深めることはできかねます。そのため、あらゆる業界やビジネストレンドに対して、常にアンテナを張り、情報を主体的にキャッチアップする姿勢が求められるでしょう。

③高い専門性
クライアント企業が属する業界への深い理解に関していえば、高い専門性を有していることも、選考で有利に働きます。むしろ、コンサルティング未経験の場合、特定領域に関する高い専門性がなければ、戦コンファームへの転職は難しいといっても過言ではないでしょう。
とくに、経営戦略の立案や、近年増加傾向にある事業DD、M&Aなどに関するプロジェクトでは、ファイナンスの知識が求められます。また、近年のトレンドでもある、デジタル案件では、 AIやIoT、ビッグデータ、Web、プログラミングなど、ITに関する幅広い知識そしてスキルが求められます。
先ほど述べたように、戦コンファームの中途採用トレンドとして、第二新卒に加えて、ミドルクラスの採用も増加傾向にあります。そのため、コンサルタントとしての経験がない方はとくに、前職で培った知識やスキルなど、高い水準まで磨きをかけることで、戦コンファームへの転職を実現しましょう。

④MBA
ビジネス界における、エリートの登竜門として知られているMBA (Master of Business Administration)は、大学院修士課程を修了した際に習得することができます。実際に大企業でCEOを務める方の約4割が保有しているといわれています。
MBAでは、経済学や統計学、財務会計、マーケティング、人的資源管理など、経営に必要な高い知識そしてスキルを習得することが求められます。その他の資格と異なり、ビジネススクールに所属し、座学に加えて、プレゼンなどの実践も兼ねて課されるため、非常に難易度の高い称号であるといえるでしょう。
企業の経営に携わる戦コンファームでは、MBAで培った知識を常に活用することができ、MBA保有者であるという事実は、クライアント企業に対して信頼感を与えることにつながります。
しかし、MBA保有者でないことが原因で、不採用になることはほとんどありません。つまり、MBA保有者であるから採用されるとも言い切れません。したがって、戦コンファームへの入社を最終目的として、MBAを取得する必要性は高くないといえるでしょう。

⑤論理的思考力
ファームを問わず、選考で最も重視されるのは「論理的思考力」であるといっても過言ではありません。とくに、選考突破の肝となる「面接」で図られるスキルであり、ほとんどのファームにて、候補者にはケーススタディや、それに基づくプレゼン等が課されます。高い語学力や専門性、MBAなどを有していても、論理的思考力や問題解決力に欠けると判断されれば、戦コンファームへの転職の道は閉ざされるでしょう。反対に、他のスキルが多少劣っていても、それらのロジカル力が評価されれば、採用の可能性も高まります。

具体的に、戦コンファームへの転職を図るうえで抑えておきたい論理的思考力は以下の通りです。

・クリティカルツリー
・MECE
・ロジックツリー
・仮説思考
・問題解決思考
・定量分析
・ゼロベース思考

課題抽出や強いエビデンスをもった裏付け、抜け漏れのない仮説立てなど、コンサルタントのあらゆる業務でこれらの思考力が必須となります。最近では、コンサルタントに限らず、様々な職種でロジカルシンキングが重視され、それにまつわる書籍も多く存在します。書籍を用いた学習に加え、日頃から「結論から話す」「明確そして十分な理由を示す」「相手の発言の意図を考慮する」「シンプルさを意識する」「ミーティングや会話の目的を明確にする」などを心がけ、実践の場で活かせるよう心がけましょう。

⑥事業推進力
プロジェクトには、必ずクライアント企業、案件をともに遂行する複数の同僚が存在します。そのため、独りよがりになるのではなく、協調性を保ちながら案件をやり遂げる「事業推進力」も必要となります。マネージャーやプリンシパルなど、クラスが上がるにつれ、適当な人材を適当な業務に当てるなどといった、マネジメントスキルも求められます。
これらに加え、クライアント企業に対しては、「相手の話を正確に聞き取る、理解する」「潜在的な課題を突き止める」「自身の意見をわかりやすく伝える」「相手をうまく巻き込み、目的や目標を共有する」といったことを意識して接することが必要になるでしょう。

ここまで、戦コンファームへの転職実現のために必要なことについて、いくつか言及してきましたが、決して上記すべてを完全に満たしていなければならない、というわけではありません。コンサルタントとしての経験の有無にかかわらず、自身の武器となる点を見出し、選考過程でアピールするようにしましょう。

フリーランス戦略コンサルタントとは?

戦コンファームへの転職におけるハードルの高さから、戦略コンサルタントとしてのキャリアを諦めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、戦コンファームへ入社することは、あくまで戦略コンサルタントとして活躍するための一手段にすぎません。
そこで、戦コンファームへの転職なしに、戦略コンサルタントとして活躍する別の道として「フリーランスの戦略コンサルタント」が挙げられます。フリーランスコンサルタントとしての、代表的な案件への関わり方をご紹介します。

①クライアント企業との関わりを中心に、案件に従事する
フリーランスの戦略コンサルタントとしての典型的な働き方であるといえるでしょう。
事業会社をはじめとしたクライアント企業の案件を獲得し、クライアント企業直属のコンサルタントとして案件に従事します。クライアント企業に常駐するケースもあれば、定期的なミーティングによってコミュニケーションを図るケースもあり、働き方やクライアント企業との関わり方は、案件次第で大きく左右されます。

②大手コンサルファームの一員として案件に従事する
戦略系や総合系など、大手コンサルティングファームに所属するコンサルタントの一員として、プロジェクトに従事します。ファームに所属はしていないものの、クライアント側から見れば、一コンサルタントに変わりはありません。報酬の高さや、プロジェクトの規模の大きさなどが魅力ですが、コンサルファームに所属しているコンサルタントと同様の働き方が強いられるため、①と比較して、フリーランスの要素が薄いといえるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。戦コンファームは、プロジェクトの規模感や面白さ、クライアント企業や同僚のプロフェッショナルさ、少数精鋭な環境、給与水準の高さなどから、人気が高く、キャリアチェンジを図るうえで、最難関の転職先の一つであるといえるでしょう。業界の中での特徴やトレンドを理解したり、ご自身のスキルを磨いたりすることで、戦コンファームへの転職を実現させましょう。ぜひ参考にしてみてください!

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