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コロナ時代にフリーランスとして生きていくことは、果たして合理的な選択なのか

はじめに

フリーランサーとは『特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人』のことを言います。
近年、労働人材不足と経済縮小に伴い、副業や企業からの独立に対する敷居が低下していることから、フリーランスの人口も増えています。働く時間や環境、年齢などにとらわれないという特徴から、フリーランスは注目を浴びています。
今回は、昨今の世界経済を揺るがす「コロナ時代」において、フリーランサーが生き抜いていくために考えるべきことについて言及していきます。

フリーランスの種類

フリーランスの今後について知る前に、まずはフリーランスの今について理解を深めましょう。

フリーランスは主に『副業系』『複業系』『自由業系』『自営業系』に分かれております。
人口は副業系:409万人、複業系:281万人、自由業系:56万人、自営業系:289万人で、日本国内においては現在合計約1034万人のフリーランサーが活動しています。

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・副業系すきまワーカー
副業系すきまワーカーは常時雇用されている当該人材が自身の隙間時間を使って仕事をするスタイルを指します。本業以外のやりたい事を副業にする及び、生活資金の足しにするなどの 数時間/週 単位の働き方です。限られた時間で高収入を得るためには付加価値を高めて時間を最低限にしていく必要があります。

・複業系パラレルワーカー
フルタイムを前提として複数の企業と雇用契約を結ぶワーカーの事を指します。
本業と副業を分けて捉えず、全ての仕事を本業として複数の事業に属するスタイルを指します。自分のスキルを多方面で活かしたい人向けです。

・自由業フリーワーカー
自由業フリーワーカーとは特定の組織には属さず、限られた時間内でスキルを活かして自由に働くワーカーの事を指します。例えば、育児・介護中に限られた余暇時間を活用して個人事業主として働くケースなどがこれに該当します。

・自営業系独立オーナー
個人事業主としてフルタイム働くワーカーを指します。フリーランサーと聞いてイメージされる像と最も近いのではないでしょうか。プロフェッショナルとしてスキルアップを続けていく必要があります。

フリーランサーと会社員の違い

フリーランサーと会社員の大きな違いとして挙げられるのは『安定性』です。
会社員は所轄が厚生労働省であり、会社から毎月振り込まれる特定の安定的な給料が見込める他、『労働者』であるため労働基準法に乗っとった残業手当や年休も付与されます。また、社会保障も享受できるため、確定申告の必要もありません。
それに対してフリーランサーは、所轄が経済産業省となり、必ず支払われる固定給料の補償もなく全てが『自分次第』になります。『労働者』ではなく『事業者』として扱われるため、労働基準法の適用もありません。保険の選択肢も国民保険のみ、毎年の確定申告も自身で行わねばなりません。
一見すると会社員と比較してデメリットが目立つにも関わらず、なぜフリーランスの道を選ぶ人が増加しているのでしょうか。その背景を探るため、フリーランスのメリットとデメリットについて考えていきましょう。

フリーランスのメリット

・フリーランスのメリット1:所得増加に繋がる
会社員の場合、自社のビジネスモデルや給与制度・評価制度等会社の仕組みによって報酬が確定されます。勿論そこに個人のスキルの大小や仕事の成果・実績は相関しますが、青天井に報酬が増え続ける企業など早々存在しません。フリーランスの場合、自分が作った利益・実績が全て自分の所得に還元されます。スキルや実力があれば所得の可能性に上限はなく、結果的に会社員よりも年収が高くなることも多いです。

・フリーランスのメリット2:働く場所・時間が自由
フリーランスにおける最大の魅力といっても過言ではない点として、「働く場所や時間を自由に設定できること」が挙げられます。クライアント企業への常駐を除き、多くの場合、勤務時間や場所に関する指定はなく、締切に合わせて自身の都合で進めることができます。
wi-fi環境さえ整っていれば、どこからでも業務に従事することができるため、プライベートとの兼合いを自由に調節することができます。フリーランスでは、個々人が考える「理想的な働き方」を実現することができるため、作業が捗るタイミングで業務を行うことで、結果として効率化を図ることにもつながります。

・フリーランスのメリット3:人脈を広げやすい
案件の獲得経由に制限がないフリーランスでは、新規のクライアントと出会う機会が多く存在します。
会社員の場合、たまたまどこかで出会った人と「この人と仕事がしたい!」と熱望したところで、会社の方針と違う場合その願いはかないません。
ですが、フリーランサーは決定権が自分にあるため、名刺交換から仕事へ発展する可能性が無限にあります。また、クライアントの信頼を着実に獲得することで、別のクライアントへの紹介など、人脈をさらに広げることにつなげることにつながります。

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フリーランスのデメリット

自由な働き方が魅力的なフリーランスですが、その裏には背負うべき「責任」も伴います。考えられるデメリットは以下の通りです。

・フリーランスのデメリット1:スケジュール管理の難しさ
フリーランスでは、複数のクライアントとの契約を結ぶケースがほとんどです。そのため、各クライアントとの契約内容やスケジュール設定などを自身で設定し、管理する必要があります。
案件開始後には、業務量の多さから仕事に遅れが出てしまったり、クライアントからの急な依頼が発生したりなど、トラブルは付き物です。そういった場合でも、自身でスケジュールの再設定、その他案件との兼合い等の調節を行う必要があります。
なかには、案件の増加に伴って、スケジュール管理を外注する方もいらっしゃいます。

・フリーランスのデメリット2:体調管理も徹底しなければならない
会社員との違いの一つに、有給制度の有無が挙げられます。フリーランスでは、有給制度はないため、自身で徹底した体調管理を行話なければなりません。また、病気や怪我等で働けなくなってしまった際の保証もありません。
そのため、日頃から体調や健康管理を心がけるだけでなく、所得補償保険や就業不能保険など、万が一に備えて保険への加入もするようにしましょう。

・フリーランスのデメリット3:不安はつきもの
フリーランス人口の増加に伴い、市場での競争激化に加え、有能な人材の出現も懸念点として挙げられます。自分よりも優秀な人材とどう戦って生き残っていくのか、時代の流れにしっかり乗っていけるのかなど常に将来性への不安を抱え緊迫感に耐えて生きていかなくてはなりません。

コロナ禍のフリーランスへの影響とは

自由な働き方や、やりたいことを実現できるなど、メリットの多いフリーランスですが、昨今の新型コロナウイルス感染拡大によって甚大な影響を被っています。実際に、フリーランスのうち、約75%が収入減少、約85%が仕事量減少を明言し、『生活が厳しい』という状況に陥っています。
「案件が飛んでしまった」「クライアントからの支払いが滞ってしまっている」「営業活動が今まで通りにできない」「稼働しにくくなった」など、様々な悲鳴があがっています。

・ビフォーコロナ
新型コロナウイルス流行前のフリーランスの市場規模は以下の通りです。

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ランサーズ株式会社が実施した「フリーランス実態調査」によると、フリーランスという新しい働き方が普及してきた近年では、2018年の日本国内のフリーランスの市場規模は前年比9%増の20.1兆円、フリーランス1人あたりの平均年酬は、前年比13%増の186万円を記録しています。

同社が実施した調査による、新型コロナウイルス流行前のフリーランス人口は以下の通りです。
(※2020年2月に実施)

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2020年2月には、日本国内のフリーランス人口は1,034万人を記録し、国内における労働人口全体の15%を記録しています。また、2015年と比較して、約13%増加していることから、フリーランス人口が着実に増加していたことがわかります。
アメリカのUpwork社の調査では、2027年にはアメリカ国内のフリーランス人口がフリーランス以外の人口を越え、労働人口の大半を占めることが予測されています。

参照:)「フリーランス実態調査 2018年版を発表」「Freelancing in America 2017

・アフターコロナ
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、フリーランス市場のみならず、経済全体が危機に直面しています。いわゆる「アフターコロナ」において、フリーランスとして生き抜くためにすべきことについて考えていきましょう。

まず現状として、コロナによる影響が出たフリーランサーの中でも、約25%の方が収入増加をしたと回答しています。コロナ渦の中でも着実に成果をあげているフリーランサーによると、「自宅自粛期間を有効活用して新しいことを学習した」「現在遂行している業務の専門性を高めた」「営業活動に工夫を施し、全く新しいジャンルの仕事も受注する事ができるようになった」など、スキル習得や専門性の追求、営業活動などに尽力したことで、利益を上げたことがわかります。

与えられた環境下でいかに「効率的な自己投資ができるのか」という点が収入率の明暗を分ける要因であるといえるでしょう。

ウィズコロナ時代に重要なキーワードとは

新型コロナウィルスの猛威はいまだに衰えず、まだまだ油断できない状況です。このウィズコロナの時代を生き抜くうえで、抑えておきたいキーワードは「情報通信技術の活用」です。

b政府による、緊急事態宣言の発令で、働き方にも大きな変化が起こりました。具体的に、リモートワークにより、オフィスに出勤せずにオンライン上で業務を遂行することが主流となってきたことで、オンライン上でのコミュニケーションツールをはじめとした「情報通信技術の活用」が必須となっています。

さらに、働き方に関する変化に加え、リモートワークの普及に伴い、「開疎化」が進むことで、従来の都市化の流れにも大きな変化が表れています。「開疎化」とは、ヤフー株式会社CSO 安宅和人氏の言葉で、「開放×疎」つまり「開放された空間」「高密度を避けた活動」「非接触」「ヒトが動かない社会」を意味します。

これまでは、効率性を考慮し「コンパクト・シティ」が推奨されていたことから、人口密度の高い都市は重要視さwれていました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大によって、大都市のパンデミックに対する抵抗力の弱さを思い知った今、様々な環境で開疎化した環境により価値が見出されるようになりました。

つまり、開疎化に伴い、働く場所を問わない「フリーランス」の必要性が高まってきています。ヒトが移動しないフリーランスという働き方では、いかに情報通信技術を活用できるかで、利益を左右するといっても過言ではありません。

参照:)「ニューロサイエンスとマーケティングの間

コロナ時代に必要なフリーランサーの姿勢とは

新型コロナウイルス感染拡大による、フリーランスへの需要低迷の影響下でも、フリーランサーとしての実績を上げるために、必要な姿勢について考えていきましょう。

・時代に合わせたコミュニケーションを図る
上述の通り、コロナ禍を通してテレワークのワークスタイルが主流となってきたことで、様々な会議・商談ツールの活用が余儀なくされました。実際に、東京都庁の調査結果によると、2020年4月時点での企業のテレワーク導入率は62.7%で前月に比べると40%近く上昇している事がわかりました。そのため、各クライアント企業に対して、それぞれ指定されたツールを使いこなす必要があります。

オンライン会議用ツールは複数存在し、そのツール毎に扱い方は異なってきます。
クライアントによっては見た事のないようなツールを指定してくる場合もあるので、複数のツールを使いこなすスキルを持ち、新しいツールに対して抵抗感のない姿勢でいなくてはなりません。また、書類共有などデータの交換に関しても今までよりも遠隔で行われる事が多くなるため、オンライン上での様々な手段を把握しておく必要もあります。

・ネットリテラシー(ITリテラシー)を高める
オンライン上のコミュニケーションツールの台頭に付随して、あらゆる人々にとって、インターネットの活用の重要度が高まっています。とくにフリーランスの場合、対面での商談・ミーティングなどが減少していることから、案件獲得や業務遂行など、あらゆる業務でインターネットを駆使する必要があります。

それに伴い、ネットリテラシーをより高める必要があります。あらゆる情報の中から正しく・信憑性のある情報を見抜く力や、情報漏洩を防ぐためのITに関する知識などを積極的に向上させる必要があります。

・常にアップデートを
今後、今回のコロナショックと同様の事象が起こった場合、大切な事は今回のコロナショックによって学んだ事を生かしながら早急に臨機応変な対応ができるかどうかという点です。その際、環境に応じたスキルのアップデート常時していかないと、競合との差を付けられてしまいます。
とくに、フリーランスは競合率が高いので、いつでも探究心を持って情報とスキルのアップデートを行く必要があります。

コロナ時代でもフリーランスとして活躍が見込める職種とは

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、あらゆる業界が危機に直面し、多くの企業で人材獲得を中断せざるを得ない状況が続いています。転職市場においても、業界によって明暗が分かれています。
そんな中、コロナ時代でもフリーランスとして活躍が見込める職種として以下が挙げられます。

・エンジニア
・Webマーケター
・デザイナー
・コンサルタント

インターネットサービスの需要が高まっているのに対し、人材不足が深刻化するIT業界では、エンジニアやWebマーケター、デザーナーなどへのニーズが高く、フリーランスとして活躍されている方も多くいらっしゃいます。
また、働き方改革をはじめとし、様々な変革が求められる時代であるからことから、フリーランスコンサルタントへのニーズも高まってきているといえるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。自由な働き方が魅力のフリーランスは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、苦境に陥っている方も見受けられます。しかしながら、オンラインツールの活用や、コロナ渦中を利用した、自主的なスキルアップなどで、ビフォーコロナよりも高い収益を得ている方も一定数いらっしゃいます。
ぜひ参考にしてみてください!

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