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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】

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あらゆるアートやフィクションは人に影響を与えると思います。 つまり人の心が清く安らかになる様なフィクションがあれば、良い世の中になると言えます。 どんなに下手で稚拙であろうと気に… もっと読む
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#ホットケーキ

【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「永遠のお客様:後編 Last Part」(No.0104)

後編 Part.2のつづき

 「私は、私を含めた他の店員さんもお客さんも全ての人が、まるでその一番下手な人達のために準備され仕立てあげられた舞台の様に感じたのです。脇役やエキストラのような。」
「マモルは、そのダイコンが主役のように感じたということですか?」
「まさにそうです。あの図太いふてぶてしい態度はまさに自分達が主役であると自覚している顔でした。
ただただお客さんの目線しか持たない人達、ど

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「永遠のお客様 :後編 Part.2」(No.0103)

後編 Part.1のつづき

「別の考えとは何ですか?」
「彼らにはお金を持っているという特徴がありましたから、気づくことが出来ました。つまり殆ど働いていないのです。私のようにホットケーキを楽しむ目線と、提供する目線、これを両方獲得するには両方の経験がいるのです。しかし働く必要がないものたちには、提供する目線は理解できないのです。」

ヨシオは黙って聞いていました。彼のお皿には、まだホットケーキが

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】「永遠のお客様 :後編 Part.1」(No.0102)

「ヨシオがこうやって人の作ったものに深く理解を示してくれるのは、君が私を深く知っていてその作ったものにも関心があり、苦労も含めて興味があるから出来るのです。」

マモルは、目を閉じて厳かなひと口を満喫しているヨシオに言いました。

「しかし知ってしまったのですよ。世の中にはそのような気持ちの欠片も無い人たちがいることを。」

ミルクで口を整えたヨシオはようやく目を向けました。

「それが先ほどから

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「永遠のお客様 :中編」(No.0101)

前編のつづき

「マモル、あなた達の作るこの素晴らしいホットケーキをいただくに相応しく無い者達とは一体誰の事でしょうか?」

厳しい顔つきでそう言うと、ヨシオはチョコレートホイップクリームをぽってりと盛った1切れを、今度こそ口の周りにクリームが付かないよう注意しながら慎重に口へと運びました。

「ヨシオ、一度に沢山のチョコホイップを盛るから口に付くのです。」

友人の適切な忠告ですが、満足げに頬張

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【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 「永遠のお客様 :前編」(No.0100)

 マモルは児童館の催し物で模擬店をやりました。

父兄や職員の作るホットケーキを盛り付けたり、お客さんに渡したり、小銭の受け渡しなどを手伝いました。
とても楽しかったし、目当てのホットケーキも満足でしたが、この経験はマモルに色々な考えを思わせたのです。

「マモルはとても良い経験をしたものです。私はその楽しみを味わう事が出来ませんでした。全く羨ましいです。」

やや不貞腐れたヨシオは愚痴をこぼしな

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