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自治体職員の困りごとは何?【自治体職員のためのサバイバル英語術#1】

はじめに

筆者は地方自治体職員。キャリアの半分以上で国際的な業務に従事してきました。分野は、国際交流、国際協力、インバウンド観光、中小企業の海外展開支援、旅券発給など。我ながら色々やってきたなと思います。

「自治体職員のためのサバイバル英語術」と題したこの連載。執筆の動機は、自分自身の中にあるぼんやりとした状態のノウハウを整理して「見える化」してみたいと思ったこと。

今回は第1回として、自治体職員の困りごとは何か、筆者なりの考えをご紹介します。

国際化が進む地方自治体の業務

21世紀に入り、自治体の業務は国際化が進んでいます。

例えば、海外からの観光客をどのように呼び込むのか、その政策は今や地域振興の成否を左右する重要な要素になりました。

また、外国人住民が増加し、多くの自治体が言葉や文化の違いに配慮して、行政サービスを提供する必要性に迫られています。

さらに、従来は地元でのみ流通していた特産品を海外へ売り込んだり、中小企業の海外進出をサポートしたりするところまで仕事の範囲が拡大しています。

コロナ禍で海外との交流は一時停滞しましたが、国境を越えた「ヒト、モノ、カネ、情報」の流れは再び活発になり、これに伴い、自治体職員に外国語能力や、国際経験が求められる機会はさらに増えることでしょう。

自治体職員の困りごと

筆者は地元志向だったので、生まれ育った地方自治体に就職しました。ひょんなことから英語の学習を本格的に始めたのは20代後半から。そして、数年後に、国際交流を担当する課に配属されました。

実際に国際的な業務を担当するようになると、英語そのものの難しさに加え、仕事を進める上の難しさを感じるようになりました。具体的に言うと、次の2点に集約できます。

  1. 自治体業務で英語が介在すると途端に組織のチェックが働かなくなる点。例えば、日本語の資料には同僚や上司のチェックが入りますが、英語への翻訳は担当者や業者任せで、組織的なチェックが疎かになっていると感じることがよくありました。

  2. ビジネス英語の教材はたくさんあるものの、自治体業務に関するものは殆どない点。例えば、全国で多くの自治体が海外の訪問団を受け入れています。しかし行程表をどう作成するか、表敬訪問の進行や首長の挨拶をどうするかなど、ノウハウはあまり共有されていません。結局、過去の事例を参考に、担当者が自分なりに考える必要があります。

自治体業務とビジネス英語の狭間は「エアポケット」

個人の見解ですが、自治体の国際的な業務は属人的で、個人の裁量に委ねられることが多いのだと思います。そして、そこが面白さや、やりがいにもつながっているのでしょう。

自治体業務とビジネス英語の狭間では、上司や同僚のサポートが薄くなるとともに、教材にもあまり頼れません。このことから、筆者はこの狭間を「エアポケット」と捉えています。

「エアポケット」とは、航行中の飛行機が急降下現象をおこす下降気流域を指し、そこから転じて「空白」という意味でも使われます。

自治体業務とビジネス英語のエアポケット

この「エアポケット」が、自治体職員の困りごとと重なるというのが筆者の考えであり、「自治体職員のためのサバイバル英語術」で取り上げたい領域です。

おわりに

自治体業務の国際化が進む中、職員に外国語能力や国際経験が求められる機会はますます増えるでしょう。この連載が国際業務に不慣れな方々の「サバイバル」の助けになれば幸いです。

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