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君を知りたい。
君の前で初めて泣いたあの日。私の中で、何かが溶けた。
人に自分の想いを伝えることは、簡単じゃない。
ありのままの自分をさらけだすことは、とてもとても怖いことだ。
文章では伝えられても、話せないことがたくさんある。
相手の顔を見て自分の声で話すことが、私は、怖い。
でも、それでも、生きていたらいろんなことが起きる。
うまく気持ちを伝えられなくて、傷ついたことも、傷つけられたことも何度もあった。
そんな時、心の中でいつも唱えるのは「にこにこ笑顔」という言葉。
高校時代、悩んでいた私に「にこにこ笑っていたら、良いことがあるよ」と親友が教えてくれた。あれから「にこにこ笑顔」は私にとっておまじないような言葉になっていた。
笑顔でいればきっと良いことがある。いつしか私は、自分の気持ちに蓋をして、ひたすら笑顔を貼り付けるようになった。
だけど、最近どうにもおまじないが効かない。
本当の気持ちが言えなくて、苦しくて苦しくて、ある時限界がきて、ぽろぽろと涙が止まらなくなった。
いつものように笑わないと。そう思っても、止まらない涙に自分でも戸惑っていた。
だけど君は、いつもと変わらない様子で、私のそばにいてくれた。
自分の気持ちに素直でいること。泣いたって良いこと。君は、言葉を使わずに教えてくれた。
「君は、本当の気持ちを言えてる?」
そう聞くと、いつかの私のような作り笑顔を貼り付けて
「大丈夫だよ」と君は言った。
私が初めて泣いたあの日、君は、私の心を溶かした。
人に自分の想いを伝えることは、簡単じゃない。
ありのままの自分をさらけだすことは、とてもとても怖いことだ。
だけど、それでも、君の感じていることを、私に教えて欲しい。
壁を乗り越えて、君を知りたいんだ。
さあ、今度は私が、溶かす番だ。
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