【全文公開】実践コース:課題.4【横光利一「時間」を読み、作品の概要を書いて下さい】"「私」物語化計画"
オンラインサロン"「私」物語化計画"の「実践コース」。第4回のテーマは『横光利一「時間」を読み、作品の概要を書いて下さい』だ。詳しくはWebサイトを。課題の全文が公開されている。
課題
横光利一「時間」を読み、作品の概要を800文字以内で書いて下さい。
"「私」物語化計画"の「実践コース:作家へのロードマップ」では参加者に毎月課題が出される。課題を提出すると、山川健一さんとプロの編集者による赤字・添削を受けることができるコースだ。
以下、この課題を読んだ感想というか、メモみたいなものだ。
わたしの感想
課題には注意書きがある。
その際、「面白かった」とか「感動した」といったいわゆる感想は一切書かないこと。「時間」の概要を書く際、落とすことのできないポイントがあるはずなので、注意して読んでください。今回は文字数制限を厳守のこと。
概要、すごく苦手っす。高校の現代国語で、この文章の要約を書け、とか逃げてました。もう、ひたすら全速力で。小説の公募でも、最初の1枚に作品の概要を、みたいなことが書いてあるとその時点でパス。読めばわかるだろ、バカ…と思ってしまう。なので、いまの心境をここに書くと、
ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
横光利一「時間」は全部で19571文字。1行空けの改行が11箇所なので12段落。つまり、1段落で60文字ちょっとしかつかえない。やっぱり、逃げたい。あまりに自信がないので、ここでちょっぴりだけ概要を晒してみる。おそらく、この課題で重要なのは、小説を感覚で捕まえるのではなく論理的に整頓することなんだと思う。出来不出来のツッコミはご勘弁いただきたい。
私達を養っていた座長が外出したまま一週間も帰ってこない。どうやら、お金を持ち逃げしたようだ。宿賃を払える良い案はない。次々と皆が逃げていく。最後に取り残されたのは八人の男と四人の女。今度は誰が逃げ出すかとお互いに看視し合っていたが、残された者がどんな目に逢わされないと、一緒に逃げることを誓い合う。十二人は宿屋の警戒が緩む、雨の降る夜を待った。
これが最初の段落の要約。172文字……長すぎる。半分ぐらいにしないと全体で800字以内なんて無理だ。なんか、文章も変。ところどころに横光利一の文章を借りてきているせいか、たどたどしい。あとで削って削って、うまくまとめよう。すでに断念しそうだが、とにかく先に進む。
相談している一同の次の部屋には病に伏せたままの女がいた。一緒に連れて行ってくれと泣いている。女には世話になった、残していくわけにはいかないと皆が言う。何とかなるだろうと女も一緒に逃げることに決まった。
しかし、逃げるには断崖の上の山道を歩かなければならない。病人を背負って逃げるのはたいへんだ。しかも、ぐずぐずしていてはお腹も空く。私は女に歩けるかどうか尋ねたが、女はふらふらとしてうずくまってしまう。結局、私は女を背負って皆と待ち合せした竹林まで雨の中を出ていった。
これで段落は3つ目。すでに半分の400文字を超えた。やっぱり無理だ。厳しすぎる。現代国語をまじめに勉強してこなかったことを悔やんでもしかたがない。
だいたいが、他人様の考えた文章を要約するという行為が野蛮なのだ。横光利一の文章にはムダがない。「時間」という作品だって、悩みに悩んで生み出されたものだ。岩波文庫の「日輪・春は馬車に乗って 他八篇」は愛読書だぞ。そんな貴重な結晶を「機械」的に短くしようなんて行為が愚かだ、残酷だ。
そんな言い訳がぐるぐると頭にめぐる。
文章を要約するAIさん、C'mon....。
横光利一「時間」は青空文庫で読めるので、続きはそちらで。ぜひ、この機会に読んでいただければと。
しかし、皆さんはどのようにして概要や要約をしているのだろ?
Text:Atsushi Yoshikawa
(注)感想はあくまでも、わたし個人の感想です。決して、"「私」物語化計画"の講義に対する正答や正解ではありません。また、ここでのお願い(お誘い)も、わたし個人で勝手にやっていることです。
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