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本当は怖い童話の話

夢の案内人(星)「月(るな)お兄様っ!今日はどんなお話を人間たちにお話するの?」

夢の案内人(月)「それは人間たちが集まってからのお楽しみだよ、星(せい)。」

夢の案内人(星)「はぁ〜、今日も楽しみでワクワクしちゃうわ♡♡」

夢の案内人(月)「ほら星、早くおいで、行くよ。」

夢の案内人(星)「はぁーい♡♡…わぁ!今夜も眠れない方々が沢山ね!」

夢の案内人(月)「それじゃ、僕たち夢の案内人がいつものように、お話を聞かせてあげましょう。」

夢の案内人(星)「聞かせてあげましょうー!」

夢の案内人(月)「皆さんは、グリム童話をご存知でしょうか?シンデレラ、白雪姫、人魚姫、眠り姫、ヘンゼルとグレーテル、赤ずきん…。皆さんはどの物語がお好きですか?僕は…そうですね、白雪姫やシンデレラは王道で素敵な物語だと思います。」

夢の案内人(星)「でも、みんなが知ってるお話は、子供向けに作られた偽りの物語…。今日は、私たちがみんなに、本当の物語をお話してあげましょう。」

夢の案内人(2人)「後戻りはもう、出来ない…。さぁ、真実の扉が今、幕を開ける…。」


夢の案内人(星)「皆さんが知ってる白雪姫は、毒林檎を食べた白雪姫が王子様のキスで目が覚めて結婚するというハッピーエンドですよね?本当はそんな幸せいっぱいのお話では無いのです。皆さんが知っている物語は継母と白雪姫という関係ですが、本当は継母ではなく、実母なのです。実母は狩人に、「白雪姫を森に連れて行き殺せ。殺したら肺と肝臓を取ってこい。塩で煮て食ってやる。」と言ったのです。自分より美しい白雪姫に嫉妬してこの言葉。なんで恐ろしいのでしょう…!」

夢の案内人(月)「でも、狩人は殺せなかった。白雪姫を不憫に思い、逃がしてしまったのです。優しい狩人のおかげで、白雪姫は命拾いしたのです。でも逃がしてしまっては、王妃に言われた肺と肝臓は手に入れられません。そこで狩人はイノシシの肝臓を持ち帰り王妃に渡すと、王妃はそれを白雪姫の肝臓だと思い、食べてしまいます。馬鹿なものです。」

夢の案内人(星)「白雪姫が死んだ。そう思った王妃はある日魔法の鏡にこう聞くのです。「鏡よ鏡、この世で1番美しいのは?」と。鏡は、「それは森で小人と暮らす白雪姫。」と答えたのです。白雪姫が死んでいないことに激怒した王妃は、自ら殺害計画を考えるのです。」

夢の案内人(月)「まずは紐で締め上げるのですが、白雪姫は小人に助けられ生き延びます。2度目は毒を持った櫛。これも小人に助けられ失敗。そして最後が皆さんご存知の毒林檎です。今度は成功。白雪姫は死んでしまい、小人はガラスの棺に白雪姫を入れます。」

夢の案内人(星)「悲しくて泣いている小人たちの元へ、どこからともなく王子様が現れ、「死体でいいから持って帰りたい。」と言うのです。…さて、感のいい方ならお気づきでしょう。死体でいいから持って帰りたいっておかしいと思いませんか?いくら絶世の美女だとしても変な話だと思いませんか?」

夢の案内人(月)「そう、王子は死体愛好者なのです。」

夢の案内人(星)「イケメンだと、なんでも許されちゃうんだねー。じゃあ、月お兄様がわるいコトしても許されちゃうね!」

夢の案内人(月)「星、話が脱線しちゃうだろ?」

夢の案内人(星)「だめ??」

夢の案内人(月)「後で沢山お話聞いてあげるから、今は人間たちを眠らせてあげないと、ね?」

夢の案内人(星)「はぁーい♡♡」

夢の案内人(月)「話が逸れてしまってすみません。では続きを…。皆さんが知ってるお話では、ここで王子がキスをして目覚めるのですが、本当はキスなんてロマンチックな展開はありません。期待しちゃいましたか?残念。本当の物語では、この死体を王子は本当に城に持って帰ろうとします。そして、持ち帰る際に棺を運んでいた家来がつまづいてしまい棺が揺れ、その拍子に毒林檎の欠片を吐き出して白雪姫は目覚めるのです…。」

夢の案内人(星)「そして王子と白雪姫は結婚するのですが、さて本当に恐ろしいのはここから…。これまで白雪姫の殺害を企ててきた王妃は、その悪魔のごとき所業がバレてしまい、真っ赤に焼けた鉄の靴を履かされ、死ぬまで踊り続けたのでした!」

夢の案内人(月)「どうですか?本当の白雪姫の物語は…。最高に楽しいお話でしょう?」

夢の案内人(星)「さてさて、お次はシンデレラの物語…。」

夢の案内人(2人)「さぁ、真実の扉が今、幕を開ける…。」


夢の案内人(月)「シンデレラ、それは誰しもが1度は憧れたことがあるのでは無いでしょうか?美しいシンデレラが、王子様の舞踏会でガラスの靴を履いて踊って、12時になると階段を駆け下りガラスの靴を片方置いて行ってしまい、王子様がその靴を頼りに町中の女の子に声をかけて、最終的にシンデレラと結ばれる。というものですよね。」

夢の案内人(星)「なんてロマンチック!…でも実際の物語ではシンデレラはとんでもない人なんです。」

夢の案内人(月)「シンデレラは、継母と2人の姉に召使のような扱いを受けていました。
部屋すら与えられなかった彼女は暖炉の中で眠るしかなく、いつも灰をかぶっていたため、「灰かぶり」と呼ばれていました。」

夢の案内人(星)「そんなある日、王子が花嫁を選ぶため、三夜連続で舞踏会を開きます。
シンデレラは舞踏会に参加することを願いますが、継母たちに意地悪をされ、行くことが出来ませんでした。」

夢の案内人(月)「皆さんが知っているシンデレラのストーリーと少し違うところはここから…。皆さんが知っているシンデレラの物語は、魔法使いが現れてカボチャに魔法をかけてかぼちゃの馬車を作り、魔法使いの魔法で綺麗なドレスとガラスの靴を履いたシンデレラが王子のお城へ向かいますが、本当の物語は、悲しんだシンデレラが、母の墓のそばに生えていたハシバミの木にお願いをします。すると、白い小鳥たちがシンデレラに美しいドレスと靴を持ってやってくるのです。魔法使いなんて存在しません。靴もガラスの靴ではなく、銀の靴なのです。」

夢の案内人(星)「一日目は銀の靴を履き舞踏会へ。その美しさから王子は惚れてしまいます。しかし、12時の鐘が鳴ると逃げるように家へと帰ってしまうシンデレラ。そして二日目は金の靴を履き、またも王子と踊ります。一日目同様、鐘が鳴ると急いで帰りました。そして、最終日。またもシンデレラは逃げ出しますが、王子が階段にあらかじめヤニを塗っていたため、金色の靴が絡めとられてしまいました。」

夢の案内人(月)「王子は靴を手掛かりにシンデレラを探し、ついにシンデレラの屋敷まで辿り着きます。連れ子の娘2人のうちどちらかを妃にする絶好のチャンスだと喜んでいる継母。」

夢の案内人(星)「ここからは皆さんが知ってるストーリーとは全く違ってきます。シンデレラは継母に「たとえ靴が小さくても、足が入ってしまえば今後一生豪華な生活が出来る」と耳打ちします。もちろん、野心をむき出しにした継母の心に、この悪魔のようなささやきはすんなりと入っていきました。継母はとんでもないおバカさんですよね?」

夢の案内人(月)「そして、なんと継母は「妃になれば歩く必要もない」と、ナイフで姉のつま先と、妹の踵を切り落とすのです。ですがストッキングが血まみれ。それでバレてしまいます。もちろん、最後の娘のシンデレラにはピッタリと靴が入って王子は大喜び。花嫁に迎え入れるのです。」

夢の案内人(星)「めでたしめでたし!!…ではありません。本当の物語には続きがあるのです!」

夢の案内人(月)「シンデレラの結婚式に図々しく参加した二人の姉は、シンデレラの両肩にとまっていた鳩に両眼をくり抜かれ失明してしまうのです…。これに対してシンデレラは、当然の報いだという風にただただ微笑むだけなのでした…。」

夢の案内人(星)「あぁ、なんて恐ろしい…!…これが本当のシンデレラなのです。こんな人に、幼き頃の純粋無垢な世の女性たちは憧れていたのね。でも素敵なな話だと思いませんか?いじめられっ子が大逆転。幸せを掴み、更にいじめっ子たちを不幸のどん底に陥れる…。悪くないお話でしょう?」

夢の案内人(月)「まだまだ沢山物語はあります。ですが、今日はここまで。今夜も、最高に最恐の夢を見られるといいですね…。」

夢の案内人(星)「それでは、恐ろしくも楽しい夢の世界へ。」

夢の案内人(2人)「行ってらっしゃい。」

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