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Story 1 フルーツサンド名人

ある日、町一番のフルーツサンド名人が買い物に行く途中、ツルッと滑って、頭をごつん…。

幸いフルーツサンド名人にケガはありませんでしたが、大事な記憶をなくしてしまいました。フルーツサンド名人が病院から家に帰ると、家の屋根に大きな看板があるのが目に飛び込んできました。

「×××サンド…!?」
年季が入りすぎて看板の文字はサンドしか読めません。
「私はなんのサンド屋さんなのかしら…?」
どれだけ思い出そうとしても思い出せません。
困ったフルーツサンド名人は町でみんなに聞いてみることにしました。

最初に台湾人留学生、タク・ワアンさんに会いました。
フルーツサンド名人が「私は何のサンド屋さんだったのかしら?」ときくと、タク・ワアンさんは、「ほらあれですよ。黄色くてちょっと甘いのですよ。」と教えてくれました。
タク・ワアンさんが「バ…」と言う前に、フルーツサンド名人は「わかった!」と大急ぎで家に帰ってしまいました。
「できた~!!タクワンサンド〜!!」
バリボリバリボリ。
こんなにバリボリ食べてたかしら?

フルーツサンド名人はまた町に行きました。
次に会ったのはロシア人バレリーナのシャッケ・イクラカヤさん。
フルーツサンド名人が「私は何のサンド屋さんだったのかしら?」ときくと、シャッケ・イクラカヤさんは、「ほらあれですよ。まあるいオレンジ色の。」と教えてくれました。
シャッケ・イクラカヤさんが「オ…」と言う前に、フルーツサンド名人は「わかった!」と大急ぎで家に帰ってしまいました。
「できた~!!イクラサンド〜!!」
プチプチプチプチ。
こんなにプチプチ食べてたかしら?

フルーツサンド名人はまたまた町に行きました。
次に会ったのはフランス人研究者のキュウリット・イボンヌさん。
フルーツサンド名人が「私は何のサンド屋さんだったのかしら?」ときくと、キュウリット・イボンヌさんは、「ほらあれですよ。緑色で、冷たくすると美味しい。」と教えてくれました。
キュウリット・イボンヌさんが「キ…」と言う前に、フルーツサンド名人は「わかった!」と大急ぎで家に帰ってしまいました。
「できた~!!キュウリサンド〜!!」
ポリポリポリポリ。
こんなにポリポリ食べてたかしら?

フルーツサンド名人は困りに困ってしまいました
「いったい私は何のサンド屋さんなのかしら…。」

すると、タク・ワアンさん、シャッケ・イクラカヤさん、そしてキュウリット・イボンヌさんがフルーツサンド名人のところに走ってきて、
「タクワンサンド名人でも、イクラサンド名人でも、キュウリサンド名人でもありません!」と言いながら、バナナやオレンジやキウイフルーツをフルーツサンド名人に見せてくれました。

それを見たフルーツサンド名人はようやく自分が何のサンド名人だったのかを思い出したのです。
「私は町一番のフルーツサンド名人だったのね。お礼にみんなにフルーツサンドをご馳走するわ。」

おしまい

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※毎晩息子に読み聞かせならぬ語り聞かせをしています。内容をどんどん忘れていくので書き留めていくことにしました。

フルーツサンド名人のお話は、物語の題材として「フルーツサンド名人」といただいた瞬間にひらめいて作ったお話です。息子にも気に入ってもらえたお話になりました。

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