見出し画像

技法の確立

私にとっての最重要年は2008年です。前年の2007年から雷の撮影をはじめて、当時はどう撮ったらいいのかもわからず、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる的に撮影していたものです。今見ても下手クソだな~と思うような写真ばかりで、この頃の写真は全て封印しています(笑)。

そして2008年7月、部屋から雷が光る様子を眺めながら、タイミングを図ってシャッターを切ったところ、奇跡的に写ってしまったのです。恥ずかしながら、それまで雷を狙って撮影するという観念はありませんでした。偶然撮れたらラッキーくらいの感覚です。事実、その日も2枚目の撮影に成功することはなく、そこから孤独な戦いが始まります。まずは動体視力を鍛えようと、バッティングセンターに通うも特に効果は得られず断念。

2008年7月27日、部屋から撮影した雷、ほぼビギナーズラック

やはり無理なのかと思い始めた矢先に、大事なことに気が付きます。被写体(雷)のことを何も知らない。すぐに図書館へ出向き、気象関係の本をパラパラめくるも、専門的すぎて全くわからない。もっと簡単なところからとネットで情報収集すると、徐々に雷の種類や特性がわかってきました。ネットさまさまです。考えてみれば被写体を知ることは最も大事な部分です。基本を疎かにしてはいけません。2008年の自分にカツを入れてやりたいです。

雷の特性を知ることで色々なことがわかりました。まずは距離感、遠くの雷は実際よりも見かけの速度が遅く見えるので、比較的容易に撮影できます。逆に至近距離の雷は実際よりも見かけの速度が速いので、捉えるのは非常に困難になります。例えると、走る電車の写真を撮る場合、至近距離で広角レンズを使うよりも、遠くから望遠レンズで撮影したほうが容易であることと同じです。被写体までの距離で体感速度が違うわけですね。

2008年9月7日、試行錯誤しながら撮影するも、まだまだな1枚

そして撮影する時間帯により、適切なシャッター速度があることがわかりました。夜間は最も簡単です。バルブ撮影で雷が光るのを待っていればいいだけです。薄明の時間帯は1/4秒~1/30秒程度が最適で、こちらも比較的簡単でした。最も難しい昼間は1/100秒以上、出来れば1/125秒以上のシャッター速度が好ましいことがわかり、タイミングを掴むことに集中しました。

2008年10月27日、試行錯誤を繰り返し、完成に近づいた1枚

もちろん、撮影の技法だけでなく、雷発生の条件も学びました。それまでは雷鳴が聞こえてから急いで撮影に出ていましたが、発生する場所を読んで、先回りして待ち構えることで心に余裕が生まれました。

こうして、2008年7月~11月は寝ても覚めても雷撮影に没頭して、自分的に雷撮影の技法を確立した年と言えるのです。それ以外にも、雷の前後に発生する雲や激しい現象にも興味が湧いてきた年でもあります。それまで雷一辺倒でしたが、雲も面白いと気が付いたのです。雹や突風なども意識するようになり、その後の安全対策にも役立っています。

2008年9月7日、ガストフロントに遭遇して、安全面にも気を使うように

この年に確立した技法はあくまでベースとなる部分であって、その後もアップデートを重ねています。雷自体がまだ100%解明されていない現象ですので、その撮影技法もまだまだ発展途上と言えるかもしれませんね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?