石川周平

大学時代思想を専攻していましたが、教授とケンカして大学中退。現在は普通に働いています。…

石川周平

大学時代思想を専攻していましたが、教授とケンカして大学中退。現在は普通に働いています。思想系記事を書いていきます。http://www.stonyriver.qcweb.jp/html/philosophy-index.php

最近の記事

情熱をあおるのは、末節的な対応であり、浅い表面的な激しい情熱が、強引な仕方で、一時的に生じる。効果はあるが限定的である。 真理を与えるのは、根本的な対策であり、深い本質的な静かな情熱が、自然に生じて、いつまでも続く。効果も大きなものになる。

    • 日本に足りない体系的思想。体系的戦略がない原因。 物事の二面性36

      日本人は優秀である。youtubeとかで識者の話を聞いていると非常に面白い。それらは当然ながらとても私では思いつかないようなアイデアばかりである。しかし多くの場合それらは単発的なすぐれたアイデアであって、ひとつひとつのアイデアが有機的に連関しあう体系的なアイデアではない場合が多い。それらのアイデアが体系を成す体系的思想が無いのが、日本人が戦略が不得意である原因のひとつになっている。 今回のシリーズを全部読んでくれた人は少ないと思うし、部分だけ読んでくれてもとてもありがたいの

      • 海外の文化を取り入れるのはそもそも時間がかかる

        現代日本人である我々は西洋由来の文物に囲まれて暮らしている。そして西洋思想を日本的に取り入れることにある程度成功している。ビジネスもアニメもその例のひとつ。 しかし西洋の国に比べ日本人の西洋文化に理解は浅い。私自身大学で思想を専攻し西洋思想を学んだ。しかし私は西洋思想を自分の血肉とすることができなかった。 もちろん西洋文化を深く理解する日本人はいる。しかしそれは例外であって、ほとんどの日本人は西洋文化を血肉化できない。 そもそも海外の文化を血肉化するのは容易ではない。

        • 「本当に大切なことは、みんなもともと知っているんだ」という言葉は腑に落ちる。大切なことを聞くと「それってそういうことだったのか!」と「思い出す」感覚を感じる時がある。思い出すということは、もともと知っていたということかもしれない。

        情熱をあおるのは、末節的な対応であり、浅い表面的な激しい情熱が、強引な仕方で、一時的に生じる。効果はあるが限定的である。 真理を与えるのは、根本的な対策であり、深い本質的な静かな情熱が、自然に生じて、いつまでも続く。効果も大きなものになる。

        • 日本に足りない体系的思想。体系的戦略がない原因。 物事の二面性36

        • 海外の文化を取り入れるのはそもそも時間がかかる

        • 「本当に大切なことは、みんなもともと知っているんだ」という言葉は腑に落ちる。大切なことを聞くと「それってそういうことだったのか!」と「思い出す」感覚を感じる時がある。思い出すということは、もともと知っていたということかもしれない。

          「コスパ主義」の背後にひそむ現代日本の根本問題 物事の二面性35

          「コスパ」という言葉はそれ自体コスパの良い言葉だ。たった3文字のゴロの良い言葉で、コストとパフォーマンスという相対立する要素のバランスを一瞬にして把握できる。 休日においしいランチを食べるときも、私は2000円くらいの範囲で、その時食べたいもっともコスパの良いレストランに入る。「コスパ」とは自分のもっているお金の価値を最大にしてくれる言葉である。 この「コスパ」という言葉は若者の間で過剰に使われているという。仕事や恋愛をコスパで選ぶというのは明らかに行きすぎだし、人生をコ

          「コスパ主義」の背後にひそむ現代日本の根本問題 物事の二面性35

          日本人の「繊細さ」をどう生かしていくか 物事の二面性34

          どんな国どんな民族にも長所と短所がある。日本人は繊細で細かいところまで仕事をするという長所がある。たしかにレストランでも料理は丁寧で繊細。2000円台で非常においしいランチを食べられる。電車は時間通りに来るし、街も掃除されている。良いことは多い。 日本車も同様。日本やヨーロッパのようにそんなに国土が広くなく道路が整備されている国ではどんな車でも問題なく走るかもしれない。しかしアメリカのように国土が広いと燃費のいい日本車のほうが有利だろうし、中東の砂漠とか道路の状況が悪いとこ

          日本人の「繊細さ」をどう生かしていくか 物事の二面性34

          スピード感のある学生だけがすぐれた人材なのか? 物事の二面性33

          就職活動ではスピード感がある学生が評価される。人の話を聞いてすぐに鋭い意見を返す。問題を聞くとすぐに答えを提示する。たしかに頭がよく見えるし、実際賢いのだと思う。しかしそのような人材だけが重要な人材だろうか。 前回述べたように、国や社会やコミュニティにおいては、理想とされる人材像がある。例えばあるコミュニティで大胆な人が重要という価値観が支配的だとする。すると繊細な人は日の目を見ないことが多い。繊細な人には確かに短所はある。しかし当然長所もある。しかしそのコミュニティでは認

          スピード感のある学生だけがすぐれた人材なのか? 物事の二面性33

          能力に優劣はある。しかし個性には違いがあっても優劣は無い。 物事の二面性32

          人間は能力に優劣はある。たしかに非常に能力がある人もいれば、能力がない人もいる。しかし個性に優劣は無い。例えば「がさつで大胆な人」と「繊細で神経質な人」という対照的なふたりは個性や持ち味は違うがそこに優劣はない。ふたりともOR型。 ハーモニー型中庸を執るAND型が一番優れている。「繊細にして大胆」な人。バランス型中庸が次。繊細さと大胆さの中間を行く。OR型も人によってはバランス型中庸以上に優れている。NOR型は一番下。「がさつにして神経質」な人。たしかに能力に優劣はある。

          能力に優劣はある。しかし個性には違いがあっても優劣は無い。 物事の二面性32

          傲慢にして卑屈 がさつにして神経質 頑固にして無節操 物事の二面性31

          人はみな長所があり、短所がある。「自信がある」という長所の反面が、「傲慢」という短所であり、「謙虚」という長所の裏に「卑屈」という短所がある。人はみな一長一短なのだ。しかしたまにそれが成立せず、短所しかない人がいる。「傲慢にして卑屈」な人である。 『論語』泰伯篇から引用する。 書いてある通りだが、昔の文章なのでややわかりづらい。分かりやすい例を書いていく。 「がさつ」という短所を持つ人はその反面「大胆」という長所を持つが、がさつなのに大胆ではない人がいる。神経質な人は繊

          傲慢にして卑屈 がさつにして神経質 頑固にして無節操 物事の二面性31

          あなたとは正反対の人こそ貴重な相棒になる 物事の二面性30

          人は長所を持つがその反面短所も持つ。短所があるとどうしてもその仕事の成果は限られてくる。しかし短所を補う方法がある。ひとつは自分を修練し短所を克服する方法。もうひとつは短所を補ってくれる人と組む方法である。 右下と左下はOR型の人である。「大局観があり大雑把な人」と「大局観が無く繊細な人」だ。要はバランスが取れてない人。OR型の人は短所を持つが、長所も保てる。「大局観がある」反面「大雑把」な人は、「大局観がある」という長所と「大雑把」という短所を持つ。バランス型中庸を執ると

          あなたとは正反対の人こそ貴重な相棒になる 物事の二面性30

          かたよっているからこそ個性だ!!あえて中庸をとらない生き方。 物事の二面性29

          中庸をとると物事は自然とうまくいく。大きな失敗もしなくて済む。バランス型中庸の効果は大きい。しかし問題がある。バランス型中庸をとると個性が消えてしまうのだ。かたよっているからこそ個性であってバランスをとり中庸をとると個性が死んでしまう。 OR型は図の左下。スピード感のある人だ。スピード感があるのは長所。しかし多くの場合そのような人はその反面せっかちという短所がある。急ぎ過ぎて表面的でわかりやすい解決方法に飛びつく。図の右下もOR型。遅い人。のろまであることは短所。しかしその

          かたよっているからこそ個性だ!!あえて中庸をとらない生き方。 物事の二面性29

          変わっていくものの中にある変わらないもの 物事の二面性28

          昔からあり変わらないものは一貫している。しかし単調でもある。逆に変わっていくものは柔軟だ。しかし節操がない。しかし本当に優れたものは変わっていく柔軟性を持ちながらながら、そこに変わらない一貫性があるという。 世界や自然や社会は常に変化している。変化しているのは、世界、自然、社会にそなわる内部の力によって生成発展し変化し続けるのである。しかし変化し続ける中に変化しないものがある。公田連太郎『易経講話』の「雷風恆」から引用する。 例えば国や民族も同じである。日本という国も古事

          変わっていくものの中にある変わらないもの 物事の二面性28

          「対立するふたつのものの調和」の具体例さらに4選 物事の二面性27

          陰と陽という対立するふたつのものが、ささえあい、補いあい、循環すると大きな力を生む。 ひとつめの例は出世と隠居。出世と隠居も対立する矛盾する概念である。極端な人はどちらかを徹底的に目指す。ひたすら出世に邁進する人もいる。逆の極端に走り徹底的に隠居する人もいる。 ちょうどいい中庸を超えて、極端に出世に邁進すると下手すると俗物になる可能性がある。出世に邁進し人間にとって本当に大切なことを忘れる。逆に徹底的に隠居すると下手すると完全な世捨て人になる可能性がある。 両者のバラン

          「対立するふたつのものの調和」の具体例さらに4選 物事の二面性27

          「対立するふたつのものの調和」の具体例6選 物事の二面性26

          相矛盾するふたつものが調和することを説明してきた。自由と秩序も同じである。ひとつめの例は自由と秩序。 自由に走りすぎて放恣に陥ってはいけない。逆に秩序に走りすぎてがんじがらめの圧制に陥ってもいけない。バランス型中庸が大切。松下幸之助はハーモニー型中庸を提案している。以下『一日一話』から引用する。 正しい意味での自主性があれば、自由は正しい意味での自由となり、正し意味での秩序ができると述べている。 正しい意味での自由があるから秩序が保たれ、正し意味での秩序があるから自由が

          「対立するふたつのものの調和」の具体例6選 物事の二面性26

          歴史学における想像力と客観性の調和 物事の二面性25

          以前ケマルアタテュルクと言う人の伝記を読んだ。非常に偉大な人物で、非常に感動した。下がケマルの写真。 その本は優れた本だったが、Amazonのレビューに次のような記載があった。この本の著者がケマルに心酔しすぎていて、興覚めだと言うのである。 偉大な人物の伝記を書くときに付きまとう難しい問題がここにある。偉大な人物を知れば知るほどその偉大さに心酔する。人によっては客観性を失ったり事実を無視したりする。そういう傾向は生じる。それは確かに問題である。しかし逆に冷静すぎる単に客観的

          歴史学における想像力と客観性の調和 物事の二面性25

          理念と利益という対立するふたつのものの調和 物事の二面性24

          理念と利益も対立する関係にある。優れた会社は理念を掲げる。理念はその会社が世の中にもたらす価値である。しかし理念に走りすぎると現実を見ずに利益が出ない可能性がある。逆に利益に走りすぎると理念を軽視して世の中を良くしない可能性がある。理念を重視し理念に走る企業は多くの場合利益を軽視し利益を出さないかもしれない。逆に利益を重視し利益に走る企業は理念を軽視し理念を持たないかもしれない。理念と利益のバランスが大事である。バランス型中庸。 しかしハーモニー型中庸をとる人は違う。ハーモ

          理念と利益という対立するふたつのものの調和 物事の二面性24