【雑記】爪痕・後日談
これは先日書いた「【夢日記】爪痕」の後日談です。
齢四十ともなると、体にあちこちガタが来るもので、月イチくらいのペースで医者に通っています。血圧を測定されたり、採血をされたり、最近の生活ぶりについて問診を受けたりしていたのですが、聴診器を当てる段になりました。
私が肌着をまくり上げると、右の脇腹に先日の大きな爪痕が残っているのが先生の目に入りました。
「これは…?」
「いえ、寝て起きたらついていたんです」
「家に猫でも飼っているのですか?」
「いえいえ、いませんよ。猫なんて。動物はなにも飼っていません」
「それなのに、起きたらひとりでについていた?」
「そうなりますね。厭な夢を見ていたので、自分でやってしまったのかも…」
「あれ、こっちの左手は?」
「ああ、これもです。起きたらついていました」
「変ですねえ。どうも動物の爪のように見えるんですがねえ…」
怪訝な顔をしながら、先生はいつもの薬といっしょに軟膏を処方してくれました。
「専門ではないが」と慎重に前置きしながらも、人間が自分の爪で引っ掻いたにしては傷のようすがどうも妙だ、動物の爪のように見える、と先生は云いました。
傷は初日こそ生傷のようになってじくじくと痛みましたが、数日が経過して、もうかさぶたになっています。かさぶたを無理に剥がそうとすれば痛みますが、むしろ治ってきて痒みを感じ始めるほどには回復しました。
ご心配をおかけしました。
祟りだなんてこともないのでしょうが、行き帰りにどうも路上で度々見かけるようになった猫や烏の死骸になにか関わりでもあるのでしょうか…。
夜な夜な文字の海に漕ぎ出すための船賃に活用させていただきます。そしてきっと船旅で得たものを、またここにご披露いたしましょう。